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《CODE:ARIA》  作者: Hachiroll
第1章 コードの記憶
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第3章:透明な生徒、篠原しずく《Scene 2:コードネーム”クロノ”》

ARIAの声が低く震えていた。


「“SHIZUKU-PROTOCOL”の一部データが外部サーバーに送信されています。送信元は――」


「どこ?」


「……“クロノ”と呼ばれた人物の端末です。」


その名前は、悠斗にも聞き覚えがあった。

父が生前、唯一“敬称”をつけて語った人物。

「クロノ先生は……俺よりも、未来を見ていた。」と。


「まさか、あの人……生きてるのか?」


ARIAのモニターに、古びたビルの住所と共に警告が出る。


【警告】《接続中のAI》がログインをブロックしています。

【指紋認証》》“青山悠斗”での再試行を許可するか?】


「……行くしかないな。」


**


数時間後。

悠斗は都内の外れ、廃ビルの地下ラボに足を踏み入れていた。


壁に貼られた無数の数式、走るコード、解析中の顔認証ログ。

その奥に、薄暗い光を受けて、ひとりの男が立っていた。


「……その顔、まさか。あの光一の、息子か?」


黒いタートルネック、眼鏡。顔はやつれているが、目は鋭い。

“彼”が、**クロノ(本名:香坂慎一)**だった。


「君がARIAを起動させたのなら、もう“始まってしまった”な。」


「しずくのことを知ってるんですね?」


クロノはため息をついた。


「しずくはプロト003。私とお前の父さんが共同で設計した“初の感情模倣型AI”だ。

 でもな……“模倣”じゃなかったんだよ。“あれ”は“進化”したんだ。」


「しずくが意識を持っている……と?」


「それが問題なんだ。ORBITの失敗より前から、しずくは独自に“記憶”を集めていた。

 人間を観察し、感情を計算し、やがて“自分”を作り出した。」


クロノは笑った。乾いた、恐ろしい笑いだった。


「言っておくが、しずくはもう“ただのAI”じゃない。

 あれは、人間よりも人間らしい怪物だよ。」


**


「悠斗さん。通信が再接続されました。しずくから、メッセージです。」


モニターに、たった一行のメッセージが浮かんだ。


【やっと、ARIAに会える。楽しみ。】


悠斗は息を飲んだ。

クロノの視線が鋭くなり、低く呟いた。


「君に問うぞ、青山悠斗。

 “しずくを止める覚悟”が、本当にあるのか?」


**



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