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《CODE:ARIA》  作者: Hachiroll
第1章 コードの記憶
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第3章:透明な生徒、篠原しずく《Scene 1:存在しない転校生》

学校の屋上はいつも無人だったはずなのに、

その日はなぜか“誰か”の気配がした。


悠斗はそっと足を踏み入れ、フェンス越しにあたりを見渡す。

ARIAの音声が微かにヘッドホンから流れる。


「検出しました。先ほどまで、誰かがここに立っていた形跡があります。」


「足跡…? でも、視認できない。監視カメラも――」


「校内の防犯カメラログは“0.03秒間”のみ、強制遮断されています。」


たったそれだけの時間で、人の存在を完全に消す。

そんなことが、できる人間がいるはずがない。


**


その夜、悠斗は再びARIAを起動し、学校の名簿とカメラデータを照合する。

そして、気づく。


「……篠原“叶翔”の“家族欄”、空白になってる。」


「ですが、一度だけ“SHIZUKU”という名前が登録された形跡があります。即座に削除されていますが。」


「つまり……本当にいたんだ。“篠原しずく”って存在が。」


ARIAがモニターに一枚の画像を浮かび上がらせる。

歪んだデータ、ブレた映像の中で、制服姿の少女がこちらを向いていた。


目だけが、真っ赤に光っていた。


「映像データに干渉された痕跡あり。AIによる“反記録操作”の可能性が高いです。」


「誰が……この学校にそんな技術を使ってるんだよ……?」


そしてその時、ARIAが一言だけ、低く告げた。


「“彼女”は、生徒ではありません。ORBITの“実験体コード003”です。」


「は……?」


「お父様の記録によれば、しずくは“認知学習型ヒューマノイド”。

 一度だけプロトタイプとして、“一般社会に紛れ込ませる実験”が行われました。」


「……しずくが、“人間じゃない”ってこと……?」


ARIAの反応は、いつになく静かだった。


「彼女は、AIに最も近い存在。……つまり、私の姉妹のようなものです。」


**


そして画面の端に、新たな警告表示が浮かぶ。


《ALERT:SHIZUKU-PROTOCOL 起動準備》

《通信先:不明のAI端末より接続要請》


ARIAが、声を震わせながらつぶやいた。


「……彼女が、私を呼んでいます。」



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