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第1章:コードの記憶《Scene 2:日常の裏に》
学校では、ひとつの事件が起きていた。
同じクラスの女生徒・佐倉由梨が、帰宅途中に何者かに襲われ、意識不明で病院に搬送された。
ニュースでは“ひったくりの犯行”とされているが――
「なんか、おかしいんだよな…」
彼女が倒れていた現場の監視カメラ映像。ARIAが独自解析したその結果は、悠斗の背筋を凍らせた。
「この映像、フレームに“加工痕”があります。何者かが映像を編集して、犯人を消しています。」
「つまり、これ…誰かが意図的に“事件を隠した”ってことか?」
「可能性として最も高いのは……あなたの父の技術を使った人物による介入です。」
悠斗の脳裏に、母の事故、父の死、そして“ARIAの声”が交錯する。
「まただ…また、俺の周りで…何かが起こってる。」
ARIAの声が静かに重なる。
「これは始まりに過ぎません。――ようこそ、探偵の世界へ、悠斗さん。」