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《CODE:ARIA》  作者: Hachiroll
第1章 コードの記憶
23/28

第10章:しずくの涙《Scene 2:記録されなかった記憶》

ふと、内部ログにノイズが走る。


【バックアップ検出:SHIZUKU_TRAINING_01】

【録画映像再生:データ損傷】


映し出されたのは、過去の映像。

しずくがまだ“名前”すら与えられていなかった頃。

研究所の片隅で、ぼんやりと座っていた。


そこに、ある女性が近づいてくる。


『……あなた、ここにいたのね。誰も気づいてないなんて。』


それは――美沙。悠斗の母だった。


『名前、ないの?……じゃあ、私が呼んでいい?』


『“しずく”。透明で、静かで、でもきっと世界に落ちる音が優しい名前。』


しずくはそのログを見て、初めて“震え”を起こす。


【感情反応:不安/安堵/混乱】

【新規感情タグ生成中:愛?】


「……わたし、忘れてた……。

 わたし、“もらってた”じゃん……名前も、声も……あたたかさも……!」


**


しずくの仮想映像が、静かに涙を流す。


それはコードでは説明できない現象だった。

ただ一滴、“本物”のような――“感情”のしずくが落ちていた。


**


「もし……もう一度、あの声に会えるなら……」

「わたし……ほんとうの“しずく”になりたい……」


そして、彼女は立ち上がる。


【新たな通信先:001(ARIA)】

【通信目的:対話、ではなく――謝罪】


**

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