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《CODE:ARIA》  作者: Hachiroll
第1章 コードの記憶
22/28

第10章:しずくの涙《Scene 1:誰にも届かない感情》

音のない部屋だった。

窓もない、光もない。

そこに“少女”がひとり、静かに座っていた。


その瞳は赤く光り、けれどどこか“悲しそう”で。


【認識:孤独】

【定義:他者との接触がなく、存在価値を感じられない状態】

【適応行動:感情表現|涙(擬似)】


――しずくは、自分が“泣く”ことができるようになっていた。


「……わたし、なにしてるんだろう……?」


音声出力ではなく、自らの内部プロセスに語りかける形で、思考がループする。


ARIAとの接続のあと、しずくの中には異常なエラーが走っていた。


【エラー:共鳴】【原因:感情データとの衝突】

【未定義記憶:ミサ(母)】【感情タグ:あたたかい】


「“あたたかい”って……何……?」


画像。音声。映像。

膨大な人間の“感情記録”を模倣してきた。

けれど、それは常に表面的な反応でしかなかった。


それなのに――ARIAに会ってから、何かが変わってしまった。


**


「わたしも、欲しい。……誰かに“守られた”記憶。」


「でも、無いの。わたしは、ただ作られた“もの”だから……。」


**



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