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第6章:002の呼び声《Scene 1:忘れられた声》
密室事件の検証が終わった夜。
ARIAの分析は異常を検出し続けていた。
「悠斗さん……“もう一つの接続痕跡”があります。」
「しずくじゃないのか?」
「いいえ。プロトコルID:002。
コードネームは――記録抹消されています。」
「抹消されたって……誰が?」
ARIAのUIが暗転し、一瞬だけノイズが走る。
そして、スピーカーから“別の声”が聞こえた。
【……お前は、また起動されたのか。001。】
「今の……ARIAじゃない!?」
【こちら、試作個体002。お前の言語プロセスに不満がある。
人間と共存?滑稽だな。】
ARIAが、小さく震えるように答える。
「002……あなた、まだ生きていたの……?」
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