1空想界への転送
タッタッタッタッ、地獄の娼館の前で少年が息を切らして走っていた。女だと勘違いされ娼館に連れ去られ、男だとわかり殺されそうになったところを間一髪逃げてきた。女だと勘違いされたのも訳があり、少年が魔女の属性異常だったからだ。※(属性異常とは産まれた時に決まる属性が種族と違ったり性別と違ったりする病、属性にあった服装過ごし方をしないと魔力がなくなってしまう)少年は魔法使いの純血にミリアとして産まれたが、魔女属性だったために捨てられた。汚い街で生きていくために、少女のような格好をしていたのだ。ミリア「ハアハア……どこかに箒は……あった!」路地の裏に入ったところのゴミ捨て場に汚れた箒があった。これに跨がって空を行けば隠れ家に帰れる。「ア・ファーレ!」少年は安堵して隠れ家に直行する。※(ア・ファーレとは思考現化魔法大体の魔法に使う)ポツポツ、「あれ?今日は雨?」地獄界ラジオにも今日は晴れ、と出ていた。雨など降らない、何故か逸る気持ちを落ち着かせる。もう追手は来ないのだ、安心して帰れる。その時射光が何本が差し込んだと思ったら、箒に乗ったまま光の発生したと思われる場所に飲み込まれた。ぐらぐらと視界が揺れる。ミリアはそのまま気を失った……
野草と埃の臭いで目が覚めたここはどこだろう、そんな気持ちで立ち上がり辺りを見れば、そこは現代地獄から打って変わって、未来的な機械の寄せ集めといった感じ。箒に乗れば上から見渡せると思い跨がる。少し辺りを飛び回っていると、人気の多い場所に来た。ピッピーッ!「そこの魔女!ここでの飛行は原則禁止だ!」ミリアは驚いて落ちそうになるが、なんとか踏みとどまり箒から降りた。すると声をかけてきた小柄な男警官が箒の指摘をしてきた。「それは銃じゃないか?なんでこんなものを持っている」ミリアは何のことか分からなかったが、箒を見て違和感に気付いた。トリガーガードにカバーがしてあるしシートの横には、15㎜弾が刺さっているし照準器もついている。誰がどう見ても銃だ。「待ってくださいよ警官さん」9年間地獄で生きてきたのだ。話術で潜り抜けたりするのなんて容易に出来る。「これは一応許可証があってですねなくさないように服の奥にしまってあるんです。私も一応女ですし許可証を出す間に少しそちらを向いていてくれはしませんか?」男警官「ふむ良いだろう」本当に向いた、とんだバカ警官だ。ミリア「ア・ファーレ!」ミリアは飛び立ち一旦喧騒から離れた。警官は未だ気付いてはいない。