裸眼の空は青いのか
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私は中学の頃から目が悪い。
元より目が悪い家系だったのに、薄暗い部屋で卓球に明け暮れた部活生活がそれに拍車をかけた。
今では眼鏡が無いと生活が出来ないだろう。
コンタクトをしていた時代もあるのだが……コンタクトって正直お金も手間もかかる。
目が痛くなったら嫌だからちゃんと消毒したり、綺麗に洗ったり……はたまた中々入らなかったり出てこなかったり、目の中がゴロゴロしちゃったり。
なので今はもっぱら眼鏡生活だ。
さて眼鏡をしている、それすなわち……一生レンズ越しにしか世界を見られない、ということである。
なんか調子悪い、世界が汚く見えると思ったら、眼鏡のレンズがめちゃんこ汚かっただけ……というのは眼鏡あるあるではないだろうか。
はたしてレンズ越しに見えるこの色は本当の色だろうか。
じゃあ取ってみたらいいのだが……取ったらよく見えないので実際問題わからない。
目が悪くなったあの日から、もう裸眼の世界には居られないのだ。
しかし眼鏡、悪いことばかりでは無い。
なんかしてるだけで賢そうに見えるとかいいところだってあるのだ。
あと私が思う眼鏡の良いところは、お気に入りのアイテムをいつでも身につけられるところである。
スマホケースとか洋服とか、そんな気持ちで眼鏡も自分が好きなデザインを選べる。
かっこいい眼鏡を買おうものなら、朝から晩まで四六時中一緒にいられるのだ。正直テンションが上がる。
あと他に良いところは、相手が眼鏡をしてただけで仲間意識が芽生えるところである。
炊飯器開けたときすごく曇るよね、真ん中の鼻の支えのとこって放って置いたらなんか緑になるよね、古くなってくるとすごく下がってきて桃屋のキャラクターみたいになるよね……などなど。
眼鏡をしているだけで眼鏡あるあるが通じるのだ。これはコミュニケーションに大変役に立つ。
そして私は言いたいことがある。
よくある眼鏡取ったら美少女美少年という描写、あれは大体嘘だと思う。
正直そんな人は眼鏡しててもはちゃめちゃに美しい。眼鏡にそこまで隠す力は無い。
あと眼鏡取らないで欲しい。眼鏡してても……いや、してるからかわいいよ!って思う。
眼鏡は大切な個性。守ろう眼鏡。
こんなわけわからん文章を、古くなった眼鏡をかけて、桃屋のキャラクターみたいになるのをたまに上げながら書いているのである。
ところで最近の眼鏡ってすごく軽くなりましたよね。鼻にあとが出来なくなりました。
……さて、裸眼の空は青いのかも知れないが、私はもうレンズ越しにしかその青さを感じられない。
レンズ越しでも青は綺麗だ。
だがほんの少しだけ、このわずかなレンズの厚みが悔しくなるときがあるのだ。