感想への悩みを聞いてくれ
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私は感想を送るのは得意では無いが好きである。
何故か、だって言いたくないですか!?
ほとばしるこの熱いパトスを、出来ればめちゃくちゃ喋りまくりたい……ああ、でもこの作品を読んでる人周りにいない、誰もわかってくれない……!
それならば、もう本人に届けてしまうしか方法がないのだ。
なんせ誰よりも詳しいはずの作者なら、私なんぞが話すことは全部わかってくれるだろうと思うからである。
私は昔からオタクとしての熱量が強い。好きなものはとにかく読み込みたいし、とにかく知りたいし、とにかく語りたいのだ。
中学時代はヘタリアが好きすぎて全ページの台詞がほぼ暗唱できるような存在だった。
高校時代はクラスメイトに聞かれた「スラムダンクの27巻の表紙どんなんだっけ?」の質問にソッコー答えられる存在だった。
もうわかるだろう、そういうオタク、そういう生き物なのである。
話を戻そう。
私が感想を初めて送ったのは数年前だ。
まだXでは無くTwitterだったSNSに、好きなオリジナルマンガを描いている方がいた。
その人がどうも元気が無いようなので……私は感想を送って、喜ばせたいと思ったのだ。
「貴方のかわいい絵柄がとっても大好きです、応援してます」と書いて送ったのだ。
さぁどうなったか? その方、めちゃくちゃ虫の居所が悪かったのかもしれないが、「絵柄なんか褒められても嬉しくない」と……そりゃあボロクソな文句をツラツラと呟きまくって来たのである!
びっくりしたわ悲しいわで……もうしばらく呆然とするしかなかった。
まさかそんな反応が返って来るなんて思わなかった。
当然、その後その方のマンガを見ても、もう以前と同じ感想は抱けなくなってしまったわけで……怖くて、こっそりブロックしてしまった。
もし私が感想をもらうことがあったら、絶対こんな反応しないぞ! と……固く心に誓って。
さぁさぁ暗い話の次は……私の感想に関する悩み相談に付き合ってもらいたい。
感想送るときって……めちゃくちゃ綺麗な上澄み液の部分しか送れなくないですかっ⁉
だってだって、送った感想って作者本人に見られるわけで……しかもこのなろうだと他の人にも見られるわけで。
みんな一体どうしてるんですか?
ここで、実際に私が作品を読んだときの感情と実際に送れる感想の違いを見ていこう。
まず読む。
「え……尊……」
「ちょっと待って? 世界綺麗じゃない?」←目頭を押さえる。
「はーーー……いい匂いする、いい匂い。文字からフローラルな香りする」
「……ッスー」←落ち着くために一旦息を吸いながらスマホを置く。
「興奮してきた……しんどい……熱出そう」
「え? 鳥肌立ってきた……もう鳥になるんじゃないかな」
「やっぱいい匂いしない? え、ここ花畑? 咲き乱れてる? 皆さーん! 咲き乱れてますよー⁉」
「ちょっと今続き読めない……一回深呼吸させて?」
「……っはーーーーーーー……」←読み終わってクソデカため息
送れた感想
「面白かったです! 応援してます!」
こんなんである。
本当の感情があまりにもキモ過ぎちゃって送れるわけがない。
あと語彙力が足りない、本当に送りたいことの十分の一も言えない。
言いたいことも言えないこんな世の中である。
それでも私は送れるときは感想を送りたいのだ。
だって送って、もし作者様が喜んでくだされば……なんと私の好きな物語がさらに作られるのである。こんなありがたいことって無い。
ああでも本当はやっぱりもっと詳しく届けたい……何で感想って書いた瞬間めちゃくちゃ薄っぺらくなるんだ!
違うんだ、ここはもっとこうなんだ! ここ本当に感動したんだ!
もっと伝えたかったのに……ああ、私が全世界の言葉を知っていればこんな悩みは無かったかも知れない!
そうこう悩みながら、多分私はこの先も感想を送るだろう。
送られる喜びも、送る喜びも知っているから。
ただ送れないときもある。それは……多分、感想がキモくて自分でドン引きしたときだ。
ここでしか言えないから言わせて欲しい。
……ッスー……いい匂いする。