野菜の値段おかしくないですか?
****
(この話には虫系が頻出します。苦手な人は注意しましょう)
野菜の値段っておかしくないですか?
わかるー、最近値上がりして高いよねー……違う、そうではない!
絶対に安すぎるのだ!
時は数ヶ月前、夏が近づいている春の日に遡る。
その日、父が突然ホームセンターからキャベツの苗を十個買ってきて私にこう言った。
「今からこれを庭に植えるから、キミがそれを育てるんだよ」……と。
今考えたらワケがわからない。
なんでワシが育てなあかんねん、という気持ちだ。
しかし……一緒に暮らす父も母も、植物を大切に根気強く育てられるタイプでは無い。
このままではキャベツ十個は枯れるのを待つばかりになってしまう……仕方ないので私は了承した。
家庭菜園をやっている祖父母に話を聞くと、「キャベツは難しいよ」とのことだ。
あまり土いじりの経験が無い私は「そうなんだー」と思うことしか出来なかった。
さて、キャベツが植わってしまった後は毎日忘れず水やりをした。
始めは順調に大きくなって、段々キャベツが可愛くなってきた……さぁ、大変なのはここからだ。
青虫が半端ないのである!
キャベツ畑を縦横無尽に飛び回るモンシロチョウたちは、ここぞとばかりに大量のタマゴを産み付けて来る。
取っても取っても産まれてくる青虫、除けても除けても翌日にくっついているタマゴ!
しかも青虫を一度見落とせば、数日後には大きくなった青虫によって葉っぱが一枚まるごと食われて無くなるのだ。とんだクソゲーである。
青虫のシーズンが終われば今度は、雨上がりにキャベツの重なった葉の一枚一枚にナメクジが挟まってくる。
どうやら湿っていて心地がいいようだ。
しかし私は諸事情によりナメクジ取りには慣れているのでガンガンに取っていく。
もちろん、あんまりひどいので途中から農薬を使っていたが……キャベツって巻いて育つので、内側には薬がかけられない。
そうすると内側が食われるわけで……もうどうしたらいいかわからなかった。
なんか白い粉みたいな虫にもやられた。力不足の私ではキャベツを助けてあげることが出来なかった。
そうこうしているうちにキャベツたちは大きくなったものの……数多の被害で葉は上手く巻いてはくれず、不格好なキャベツになった。
しかも中に雨が溜まって葉が腐ってしまったところもあり……可食部は本当に内側の一部分だけだった。
キャベツは難しい、その言葉通りであった。
あんなに頑張って、その結果がこれだ。
私の育てた不格好キャベツでさえ、一玉が千円でも割に合わないと感じるのに……何故、数百円で売られているんだろう。
農家さんは何故やっていけるのだろう、あと何であんなに綺麗に育てられるんだろう、本当にすごい。
世界はプロフェッショナルな方々の、たゆまぬ努力によって作られているのだなぁと、ひどく痛感した出来事だった。