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羅刹國の女王レイ  作者: 紬鈴蘭
第一章 鬼の国
39/39

37、参

「よおっ!孫さんら」


これは珍しい。

寧さん、恐らくは亮の差金で凶怪党を探りに来た要注意人物から話しかけてくるとは


「おお、これは寧さんじゃないですか」


大切な妹との出かけの時間を邪魔するな、そう思ったがその妹から寧さんの連れに声をかけた。

可奈のする事は全て正しいのだから問題ない


「ご無沙汰してます。そちらの子は妹ちゃん?」

「正確には義妹で、ほら麗華。挨拶は」

「寧兄ちゃん、今は私麗華じゃなくてレイなの」


は?何言ってくるのだろうか、私の可奈の恋敵のレイを名乗るとはこの幼い少女は何を言っているのだろう

彼女は黒目黒髪だ。

寧さんの義妹という事は亮とも繋がりがあるかもしれない

私は少し腰を屈めて麗華ちゃんと目線を合わせた。そうすると麗華ちゃんが猫背で少し足を曲げて立っている事に気づいた。この独特な立ち方は真似できた物ではない


麗華ちゃんは私が見つめていたのに気づいたのだ。顔を赤らめて、最終的に顔を俯けてしまった。

これが演技だとしたら寧さんの上を行く

だが、やはり一番演技が上手なのは可奈だ


可奈を見てみると目で、お兄様理由を聞いてください!、と訴えかけてくる。

やはり可奈は可愛い


「麗華ちゃんどういう意味だい?」

「だいぶ前にねすれ違った人がレイって呼ばれててその人が孫可奈って人とガイっていう人が早くくっつけって言ってて。あなた達はそれで孫さんなんでしょ?それだったら恋の架け橋になれるかなって」


は?レイがそんなこと言っていたのか?可愛い妹の恋路を邪魔しているのはレイ自身だ。

この状態で可奈は大丈夫なのだろうかと不安に駆られた。

咄嗟に見てみると可奈は恥ずかしさの余りふらついていた。その様子もやはり可愛いが少し心配だ


「麗華ちゃん、他にはなんて言っていた?」


可奈が可愛く尋ねているのだから答えないという選択肢はない。もし断ったら生涯呪ってやる


「えっと、孫参って人がシスコンで可奈はガイって人に片想いしているって。でガイはいつまでアクヤクを続けるつもりかって言ってた気がする。ねぇ寧兄ちゃん、アクヤクって何?お料理の時に出るアクを焼いちゃうの?」


しすこんとはなんだろうか。悪役の漢字変換できない少女はいくらなんでもあり得ない。年齢詐称をおこなっている可能性がある、その可能性が高い


「悪役か…ちなみに麗華ちゃんって何歳?」

「今10歳!だから、ええっと8×10+8…じゃなくて2×12で…なんだっけ」


実年齢は八歳ぐらいと考えられる。そんな少女が可奈の恋敵のレイを騙るのははっきり言って頂けない


麗華ちゃんはブツブツ言いながら計算に没頭している。

今集中すべきは寧さんだ。

麗華ちゃんを熱のこもった視線で見つめている、不思議だ


「そう言えばまた今度仙に行くんでしたっけ」

「ええ、ロボットの性能を確かめに行くんですよ」

「ほ?という事はその『ろぼっと』って奴を買いに仙に行くのか?嵬様と」

「ちょっとその言い方はな。ついでだよ()()()あと更に言うとしたら買いにくいんじゃなくて効力を試しに行くんだ」


なんとかロボットについての詮索を避けたい。ならば


「そうだ久しぶりに対決しないか?このまま連敗は兄として妹に面目が立たないんだ」


寧さんの表情が真面目なものに変わった。


「ついでに妹ちゃんもどうだい?そうだな、鬼力を使わずに」

「れ、れいさ…麗華に何を言っているのか分かってる?」

「分かってるよ。いつもみんなに鍛えられてるけど最近調子が良く無いから指導して欲しいんだよ。小さい頃幻鬼の加護を持っている人にボロ負けしていてから時々その子供に相手してもらっていたんだよね」

「おっとその言い方だと孫さんは貴族なのかい?」


寧さんは知っているくせに


「ここだけの話だがそうだよ。参兄様は黙っていてね。孫って言ったら四天王家を思い浮かべるでしょ。普通」


また不思議に感じるのだけれど寧さんより麗華ちゃんの表情が輝いて見えるのは気のせい?


「ま、いいか」


私は思考を早々に放棄して鞘ごと剣を抜いた。

次回は5月31日投稿です。

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