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神みたいな奴の戯言

自称神の話

「あっはははは!!」


 がちゃがちゃと男は人形を弄って遊んでいた。男の周囲にいる者達はドン引きしているのに気付かずに。


「魔力と感情を引き換えに!?そんなんで足直るわけないじゃん!!こいつ馬鹿だよ」


 馬鹿はお前だよと他の者は思いつつ。

 実際は人形に予備の部品が付いてるからそれに替えただけのようなもので。

 男達が見ているのは小さな箱庭の中で意思と肉体を持った人形が暮らす日々である。

 そこから覗いていた男はアルバとレナを誘導し脚を潰し神殿に向かわせた犯人だ。

 そして神になりきり、アルバとレナの設定を変えてやった。何も知らない奴等からしたら面白いもくそもない。

 男自体性格が悪く、厨二が抜け切れていないので周囲の皆はいつかやらかすだろうとは思っていたが。


「お前さぁ、マジで一生それに触るな?」

「これ以上勝手に弄ったら許さないからね」

「御仕置きするから。具体的にはさっきお前がやったようなこと」

 

 男はこの部屋で一番嫌われてる。

 理由は簡単で、この箱庭の世界を壊しかけているから。

 レナは設定上聖女という立ち位置で、この箱庭世界では重要な役割を持っている。それを男は変えたのだ。


 女が箱庭世界を覗き込み暫し考えて、口に出した。

 

「……こいつが勝手に聖人にしちゃったけどさー、あたし気になるんだよね」

「何が?」


 数人が首を傾げる。


「こんな一途だった男の子がさ?これからどう生きるのか。女の子とどういう結末になるか知りたくない?」


 そして男は追放され、女達は二人(二つ)を見守ることにした。


◇◇◇

「えっ!この子何しちゃってんの!?」


 女の声にどうした?と騒めく。一人が代表して問いかける。


「四肢切っちゃった!!まあ!あいつのせいで魔力変質しちゃってるから仕方ないけど!!」


 若干焦りと興奮気味の女に皆落ち着けと宥める。

 そして周囲はアルバとレナがどういう状態か知った。


「あいつ追放だけじゃ足りなかったろ」

「でももういないし……」

「あいつ今家で引き篭もってるぜ。とゆうかあいつ此処でしか仕事に就けなかったんだろうな。性格あれだし、技術もないし」


 そして追放した男の罵倒大会が始まった。


 箱庭世界では3年が経ち、変わらぬ日常に飽きてきた頃。


「あ、義足だ!」

「え、マジ?あの世界に義足あったんだ」


 物語が再び動き出し、興奮が抑えきれなくなった。


「あ、やっべ、神殿行くみたい」

「え、準備しなきゃ」


 何の準備かと言うと神になりきる準備だ。

 ドタバタとし始めた頃に二人は出発していた。

 現場は混乱しつつ、何とか間に合った。


 そしてある程度のことを終えて。


「なんで神殿壊したの?」


 そんな質問に、女は苦笑しつつも答えた。


「あんないっぱい要らないでしょ。あと演出」


 遊びで作りまくってしまっただけなのでで要らないのだ。というか殆どあの追放した男が作ったものである。


「ほう?それで、あの子の願いってなんだったのー?」

「彼女の平和と自由。健気過ぎるよね?きっと本当はもっとあったんだろうけど、人形の思考までは読み取れないし」


 そして女は『自由』をレナに与えたのだ。

 設定なんて後からいくらでも変えられるのだから朝飯前だ。それに『平和』はアルバが叶えてくれるだろう。



 そんなこんなで神の扱いをされている者達の鑑賞は終わった。

後は趣味でちょこちょこ観る程度だったが、女はアルバとレナを最期まで観ていた。


「えっちや!えっち!!」

「うるせぇ」


「妊娠したぁ!!」

「ほぉん」


「生まれた!!」

「めでたい」


「わぁ喧嘩してる」

「衝突するのも大事だと思う。意見のぶつかり合いとかはしとかないと離婚原因になる可能性あるから」

「「説得力ぱねぇ」」


「子供結婚した!」

「次は孫か」


「孫生まれた!」

「期間短すぎる。デキ婚か」


「すっかりお爺ちゃんお婆ちゃんだね」

「時の流れが違うから仕方ない」


 女が声高に報告し、仲間が相槌を打つのを繰り返していた。

 観察して七年が経過し、箱庭世界では七十年が経ってついにアルバが先に死に、レナも後を追うように亡くなった。

 亡くなった際は、大声で教えずに紙にまとめ記録した。


 女の記録によると、最期は子供や孫に囲まれながら老衰で亡くなったという。

こいつらにとっては彼らはゲームやおもちゃのような物だったんです。というかゲーム。

たぶん男達は彼らが聖人や聖女という肩書きがあったから注目できたんだと思います。


ちなみに追放された男はヒキニートになりました。


此処まで読んでくれてありがとうございます。

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