表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

アナタガイタカラ…

作者: 沖田 楽十

 私は、「ただいま」って言ったら、「お帰り」が返ってくる家庭に、あこがれていた。



「……ただいま…」



 返ってこないってわかってはいるケド、期待して…。






 自分が帰宅した事をげるも、やっぱりお出迎でむかえの言葉は聞こえてこなくて、××は力無く笑った。無理矢理に笑みを浮かべてないと、おのれたもてる状況では無かったからだ。

 どんなに辛い事が身にり掛かっても、〇〇との絆を信じていたから、耐えられた。

 それが、生きるかてでもあった。

 例え、ずっと昔の出来事で、彼女が忘れていても…。いつか、あの頃の彼女が戻ってくる事を願って……。



『馴れ馴れしい呼び方をするなっ!!! 』



 忘れられてもイイと思っていた。

 そう思っていたのに……実際〇〇に、もうアレは過去の事だから…と言われたみたいにはなされると、胸がズクリと痛んだ。

 せまる男達の汚い手。何度も〇〇に助けを求める声を上げたって、彼女がやってくる事は無かった。



 “たすけてほしい時は、たすけをもとめたってイイんだよ? ”



 小学生の頃、家に帰っても誰もいないので、××は近所の公園で時間をつぶしていた時、見知らぬ男が近付いてきて、一緒に遊ばないか? と誘ってきた。その声が、まとう雰囲気が、おどろおどろしくて、「一人であそんでいたいのでゴメンなさい!! 」と、子供なりに知恵ちえしぼって、角が立たない様に断るも、男はいやらしい笑みを浮かべて、遠慮なんかしなくてイイから、と××の手をつかんできた。



「ぁっ……やっ……」



 上手く、声が出せない。さけごえを上げたいのに、少し離れた場所で遊ぶ子供達に助けを求めたいのに、ちゃんと声を上げられたとして、誰も助けてくれなかったら? という、見捨てられた時の気持ちの行き場の無さに恐怖を抱いて、××は声を上げる事をめた。

 その様子を認めた男は気を良くし、掴んだ侭になってる少女の腕から、少し力をゆるめた時ーー



「しねっ!!! ヘンタイっっ!! 」



 絶叫ぜっきょうとともに、男は何者かによって後頭部を殴られ、その場に倒れ込んだ。



「っっ…ぅうっ…」


「!?」


「なにしてるの!? いくよっ! 」



 先程までのドスの利いた声音こわねとは違い、やわらかい口調でそう言った人物は、××の手首を掴んで、走った。その為、××も一緒に走る事となる。

 ××が通う小学校の校門前まで辿り着くと同時に、手首を掴んでいた人物は、パッと手を離し、


「たすけてほしい時は、たすけをもとめたってイイんだよ? 」

 と言った。


 どうせ誰も助けてくれない…。危険な目にうなら、自分だけでイイ…。なら、無駄な体力を使わず、されるが侭でイイや、と抵抗する事を諦めていたら、これから起こるであろう最悪な出来事うんめいを、同じ学校で同級生だと判明した〇〇は変えてくれた。

 そして、自分を大事にする事、その次に大切な人を大事にする事、と〇〇なりの命の偉大いだいさや、大事にしなきゃならない事をせて、


「わたしと【トモダチ】になろ? それでさ、つらいコトはいっしょにわかち合って、楽しいコトはいっしょにもっっっと楽しもうよ? んで、わたしたちのしあわせオーラにあてられた人たちが、自分たちもこうなればしあわせになれるんだ! ってなって、みんながなかよくなるセカイをめざそうよ」

 ××を真っ直ぐに見つめていた。



「っ………セカイが一つにならないりゆうは、みんな、それぞれの考え方がちがうから。それに、たった一つしかないものを、みんながほしがったって、けっきょくは一人しか手にはいらないのだから、みんながしあわせになれるミライなんてないのよ」



 水をして悪いとは思ったが、現実的な話、全員が幸せになる事など無いのだ。

 両親が共働きな為、裕福では無かったが、お金に困った事は無いものの、学校から帰ったらいつも一人で、××は寂しかった。なにかをわりに、必ずなにかの代償を支払わなくてはならないと考える様になったのは、そーゆう事情で…。

 お金に困らない生活の代わりに、××が寂しさを我慢する事が代償だったのを、両親は知らない。



「むうぅっ!!! ××ちゃん、ユメがないなぁ? そんなの、わたしだってわかってるわよっ! でもさっ、食ざいになる生きものたちをいただくから、『いただきます』と『ごちそうさま』があるのは、食ざいになってしまった生きものたちへの、シャザイとカンシャをこめてのあいさつだからよね? 人はさ、なにかを食べなきゃ生きていけないんだよ。だから、ショクザイを食べるのなんか当たり前なのに、シャザイを…カンシャを…して、それをいただく。つまり、やさしい心があるから、そーゆうコトができるんだよ! 食べなきゃ自分はしぬ、ってわかってるのにね? 」


「……えーっと……けっきょく、なにが言いたいわけ? 」


「えっ? つたわらなかった? えーっと…そうだなぁ…うーん……だからね、」



 さっきも言ったケド××ちゃんと【トモダチ】になりたいんだよわたし、と〇〇はフニャッと笑って…でも本音をぶつけるみたいに、真剣な声音で。

 それに××は、泣きたい気持ちに襲われた。


 ーーかなしくないのに…くやしくないのに……なんで…?


 嬉しくて泣くという事を知ったのは、〇〇にゆるようになってから。

 それから、××と〇〇は【トモダチ】になり、数年間、仲良しだった。“彼女”が、転校してくるまでの間は…。

 二人の仲を引きくキッカケは、彼女が〇〇の事を気に入らないという身勝手みがってな理由だけで、イジメを始めた事から。周りにも楽しいからやりなよ? と巻き込んだ事で、イジメはエスカレートしていった。

 そんな状況に見て見ぬフリが出来なくなった××は、〇〇を助ける為、担任や周りの教師達に、イジメの状況を説明した。最初は、自分と同じく見て見ぬフリをしていた大人達は、真剣にう事をしなかったが、××の熱意ねついに負け、重い腰を上げて、〇〇のイジメはんだ。

 イジメの趣味たのしみを奪われた彼女達は、それを取り上げた××に逆恨さかうらみをし、ーー××をイジメの標的ひょうてきにした。




 昔の事を思い出し、××は「ふふっ…」と力無く笑った。



「〇〇ちゃんがいたから、私ーー」



 その晩、帰宅した母親が××の変わり果てた姿を見つけると同時に救急車を呼んだが、間に合わず…。

 ××は息を引き取った。


 “〇〇ちゃんがいたから、私はちゃんと生きようと思ったんだ。今迄いままで…有難う!! ”







「××ーーッッッ!!!!! 」



 〇〇は飛び起きた。日はまだのぼっていないのか、部屋の中は薄暗うすぐらい。



「なに…いま、の…」


 “これから起こる、未来の夢だ”


「!?」



 部屋の中を見渡みわたすも、自分以外に他人ひとの気配は感じず、〇〇は首をかしげる。



「………きっ……気のせい…? 」


 “気のせいじゃないッ!!! ”


「だっ…誰ッ!? 」


 “私の事は如何どうだってイイだろ!? そっ…そんな事より、先程の夢を見て、お前はどう思った? ”


「どう、思ったって……××が、いなくなっちゃうかもしれない未来を、変えたい…ッ!! 」



 いつからか、××の事をザツあつかわないといけない空気に、自分も乗っかっていた。そうしなきゃ、学校では居場所が無かったから…。

 久々に××の事をちゃんと考え、素直にソレを言葉に出来たのは、現在いま起こってる出来事さえも夢の続きか、姿が見えぬ者だったからなのかはわからないが、つい口をすべらしたのかもしれない。



 “チャンスは一度だけだ。【記憶】を頼りに、未来を変えてくれ”


「……えっ…? 記憶って……私、“未来の出来事”なんか、知らないわよ? 」


 “大丈夫。場面に遭遇そうぐうしたら、【思い出す】から…”



 絶対に××が生きる未来に変えてくれ、の言葉が聞こえた直後、〇〇は意識を手放てばなした。











【to be contnued…】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ