表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

先輩との出会いでしたー煮物、いろいろなます、アレンジお粥、煎茶、エール

 見た目幼女といえども、心は成人女性だ。よく知らない人と同室で眠るなんて勇気は持てない。ロリコンなら困るし。ということで、行商人には、今まで通り野宿してもらうことになった。行商人も、私の料理の腕に惚れただけで、元々そのつもりだったらしい。


「食の恵みをありがとうございます、神様。そういえば、俺、リクって言います! 食の神様のお名前とか、あるんですかね?」


「名前……うーん……」

 あれが食の恵みで合ってたのかな、と悩みつつ、名前って教えていいものなんだろうか、とも悩む。





 そんな時、キッチンのドアがパタリと開いた。


「あ、間違えた、ごめん」


「え?」


 見た感じ同業者だ。他の神ってうちのキッチンに入れるの? 防犯弱くない?


「普通他の神のキッチンなんて開かないんだけど、何か助けでも求めてた? 見た感じ、新人神様?」


「あ、私たちに名前ってあるんですか? それを人に教えてもいいんですか? あと、食の恵みってなんですか?」


 ちょうど気になってたことを問いかけてみる。


「さすが新人。疑問がいっぱいだね。いいことだよ。名前は新人ちゃんが思ってる名前でいいと思うよ。でも、実名で教えるより、あだ名とかにしといた方がいいんじゃないかな。縛られると困るから。食の恵みは、食を捧げられた時点で勝手に与えられてるよ。飢え死にしない程度には、彼らの食は守られてるはずだよ。……1週間とか食べれなかったら、自然と食事が提供されるはずだよ。じゃあ、僕は行くね。もしも何かあったら、僕の名前を呼んでごらん? 新人ちゃん」


 私にだけそっと名前を教えてくれた。多分、あだ名だが。1週間食べれなかったら、結局助かってたのか……。リクは死にそうに見えたけど、まだまだ大丈夫だったんだな……。


「ありがとうございました! 先輩!」


 先輩と言ったら嬉しかったのか、手をひらひらさせながら去っていった。




「ということで、私の名前はミハです。」

 本名の美晴(みはる)からとって、ミハと伝えた。苗字は隠してるし、例えミハルとバレてもフルネームじゃなきゃ大丈夫だろうし、ミハならよく両親に呼ばれてたから伝わりやすい。


「ミハ様! よろしくお願いします!」


 ニコニコしながら、リクが手を差し出してきた。手を握り返そうとすると、


「お腹空きました!」


 思わず、転びそうになりながら、料理を開始する。あれだけたくさん食べれたし、少し胃に優しい方がいいかもしれないけど、いけるだろう。


 先ほども使ったお出汁を冷蔵庫から取り出し、食べやすいように優しく煮た煮物を作る。お出汁に根菜を入れて、コトコト煮る。灰汁を一度とったら、お醤油に味醂、少しだけ料理酒を入れてまたコトコト。せっかくだから、鶏肉でも入れようかな? 隣に小さなフライパンを出して、ごま油で軽く炒めた鶏肉を入れる。ささっとフライパンを洗って片付けて、コトコトコトコトしてる間に、他のものを。

 何がいいかな、と思った時に、元気が出るように酸っぱいなますにしようと思った。せっかくだから、たくさん野菜を入れてみよう。大根ににんじん、きゅうりを細く切って……確か、油揚げがあったよな? ささっと熱湯を回しかけて油抜きをして、細く切る。砂糖、味醂、醤油、酢、酒、出汁を火にかけて、アルコールを抜く。切った野菜たちを入れた容器にそっと注ぎ、パラパラと胡麻を振りかける。

 あとは、いつも食べるお粥にしようかな? 冷蔵庫から玉ねぎとベーコン、にんじんを取り出して細かく刻む。それをオリーブオイルと少しのすりおろしにんにくで炒める。火が通ったら、一度火を消して……そこに余ったご飯を入れて、すりおろして凍らせたニンニクと生姜を少し入れる。丁寧にとって冷凍しておいた鶏ガラスープをカランコロンと入れて軽く煮込む。


 飲み物は、何にしようかな? 私は捧げ物のエールで、リクはまだ胃に優しそうなお茶にしようかな? お湯を沸かして、余ってたティーパックの中から煎茶を選び、80度くらいで優しく注ぐ。少し蒸らして、そっと蓋をずらして置いておく。私のエールを冷蔵庫から出して、食事も机に並べて……コツコツ洗い物とかしなくても、補助魔法みたいなのでできるんじゃない? そう思って、そっと願うと、洗い物が始まり、食卓にも綺麗に並べられた。


「うぉ! 美味しそう! ありがとうございます! ミハ様!」


 リクが拝みにきて、一緒に食べる。


「って、ミハ様、エールーっすか!? 幼女なのに!?」


 …中身は成人女性だし、捧げてきた人が悪い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ