お礼の品でしたーーいくらの醤油漬け丼
「食の神様! 遅くなりましたが、お礼の品です。お納めください」
「うわー! 生筋子だ!」
権力者さんたちは、私の好みをわかっているのか旬の筋子を持ってきてくれた。
「ミハ様? それ、たまに見かけたことありますが……美味しいんですか?」
「すっごくおいしいよ!」
膜の張った見た目と独特なにおいがあるから、リクは少し逃げ腰だ。
「お料理タイム……の前に、日本酒ないかな?」
「にほんしゅー……?」
「リクも知らないか! お米から作られたお酒なんだけど……」
「あ! 料理で使う酒ーですね! 清酒ーですか!」
「呼び名はそっちか!」
「ありますよ? 買ってきましょうか?」
「助かる! 口当たりが軽い系ので!」
この見た目だと、食の神といえどもたまーにふざけたおじさんにお酒を捧げてもらえるのと料理用としてもらえるくらいで、なかなか捧げられないんだよね……。
「さてと、筋子の下処理を始めますか! お湯を火にかけて沸騰直前の70〜80度で止める。魔法で止まってくれるかな? それとも泡ポツポツ現れたくらいを自分で見極めないとだめかな?」
魔法でちゃんと止まってくれたから、ついでにアニサキスを除去しておいた。こっちの世界にアニサキスがいるかわからないし、魔法で除去できるならいらないかもしれないけど、日本人的感覚なのか一応殺菌しておきたいよね? 中心70度以上で1分だっけ?
「3%くらいの食塩水になるようにさっきのお湯と塩を混ぜて、ボウルに入れる。お箸で2分くらい混ぜ洗いして、膜とかが取れたらザルにあげる。不安だから、もう一度同じくらいの温度と割合の塩……湯?で洗う」
「同じ濃度の今度は常温の塩水を作って、軽く手で混ぜるように洗う→浮いてきたのを捨ててざるにあげる→もう一度同じ濃度の常温の塩水で洗う、を綺麗になるまで4.5回くらいやったら、つけ汁に突っ込む」
「醤油、酒、みりん、お出汁を軽く火にかけてアルコールを飛ばしたら、魔法で粗熱をとって、ぴったり軽くヒタヒタになるくらい入れる。本当は一晩おきたいけど、魔法でぽんっと使って……あ、リク戻ってきた!」
「戻りました、ミハ様。このお酒でそのにおいを消したりするんですか?」
「いや……私が飲むけど……」
「え?」
「では、炊き立てご飯にいくらをドバーッと乗せて、日本酒と一緒にいただきます!」




