梅の里に参上!でしたー梅酒、梅シロップ、鰯の梅煮、沢庵
「梅が取りに行きたいです!」
「先輩に任せなさい!? ミハちゃん!」
「ありがとうございます!」
「わぁ! 梅の里についた!」
「どう? すごいでしょー?」
「梅の実! とっていいんでしょうか……?」
「いいに決まってるわよ! この里の梅は誰でも自由に取っていいことになってるのよ!」
先輩のその言葉を聞いて、私は全力で梅の実をもぎ始めた。梅シロップや梅酒用の青い梅に、梅干し用の完熟の黄色い梅をとった。
「これくらいで、梅酒作ります!」
「お嬢ちゃんが大人になったら飲むのか?」
「な!?」
通りすがりのおじさんたちにからかわれながら、梅を必死に運ぶ。
「ミハ様。手伝いますよ」
「先輩。ちょっとお料理してきますね?」
「えぇ、のんびり飲みながら待ってるわー」
買った梅酒を飲んでのんびりしてる先輩を横目に、キッチンを展開する。
「はい! 魔法でいけるか試すよ?」
梅の下処理を魔法で済ませられるかやってみる。下手を取ったり洗って拭いたりちょっと手間なんだよね……。
「できた!」
魔法で消毒のイメージをしたら、無事綺麗になった瓶に、梅の実→氷砂糖→梅の実と交互に詰め込み、最後に酒を突っ込む。
1年くらい経過するように、魔法で漬け込む。時々回しながらね。
同時に、お酒を入れない梅シロップも作り上げる。
あと、熟している梅で梅干しも作る。塩→梅の実→塩と漬けて、最後に重石を乗せる。めんどくさいから、袋に水入れて二重にしたやつでいきます。時間経過させて、水ーー白梅酢ーーが上がってきたら、赤紫蘇を加える。赤紫蘇は、塩でモミモミしてしっかり赤を抜くよ。また時間経過の魔法をかけておく。昼だけ干して、その後2日は干しっぱなし。魔法ですぐだけどね。
ついでに、大根も干す。干し終わったら、酢と塩と砂糖を入れて漬け込む。
「そろそろ、街に戻りましょ?」
リクにそう伝えて、先輩のところに戻る。先輩が出来上がる前に転移してもらわないと。
「先輩。戻りますよ?」
「あと一杯だけぇー」
「戻してください」
「……はぁい」
街に戻って、家で先輩を寝かせる。
「ミハ様ー!」
リクが何か箱を持ってやってきた。
「リク? なにそれ?」
「さっき、権力者の使いが来て、余ってるからお裾分けですって」
「お悩み隊か……って鰯!? 梅煮にしよう! キッチン行ってくる!」
鰯を抱えて、キッチンに飛び込む。梅酒の梅を取り出して、追加の時間経過魔法をかける。
梅酒の梅を入れて、鰯と酒とみりんと醤油と砂糖と少しだけ生姜を入れる。圧力鍋はわからないけど、魔法で短縮しながらじっくりコトコト煮込んでアルコールをしっかり飛ばす。
「できたよー!」
食べ物を用意して、リクを呼ぶ。梅酒を注いでいたら、目を覚ました先輩までやってきた。
「うめしゅー」
「先輩、飲み過ぎですよ?」
二杯目から梅シロップジュースに差し替えて、ご飯と鰯の梅煮に梅干し、たくあんと和風なご飯を楽しんだ。
「あ、泥パックのこと忘れてた」
お悩み隊の人たちはプレッシャーをかけに来てたのか、と気づき、慌てて泥パックについて考え始めたのだった。




