逃げきれない展開でしたーホタルイカの醤油バター焼き
「ホタルイカの季節ですね!」
「ミハ様? 突然どうなさいましたか?」
「ホタルイカ買ってくる!」
お悩み隊がお迎えが来る前にホタルイカを食べたくなって、全力で逃げ出した。
「ただいま!」
「早いですね、ミハ様」
「キッチン行くよ!」
「え?」
あっという間にキッチンについた。ちゃんとボイルされてるホタルイカを買ってきたから、軽く味をつけるだけでいける。うーん、とりあえず目玉を取っておこうかな? かりかりした食感も好きだけど、固いんだよね……。
魔法でさらりと目玉を取って、にんにくもすりおろす。魔法のフル活用だ。
たっぷりのバターで軽くニンニクをフライパンで炒めて、ホタルイカと料理酒を投入。アルコールを飛ばしたら、醤油とオイスターソースを入れて、いい感じに火が通ったら完成。
「できた!」
「すっごいいい匂いです! ミハ様!」
「では、おビールを……」
「ダメです。ミハ様。今から話し合いがありますから……」
「わかった、せめてウイスキーだけ。ロックで」
「度数上がってるじゃないですか! はい、ジュースで我慢してください」
「ん? 何かのジュース! おいしい!」
「昔、作り方を教えてもらったんですよ。梅ーっていう果実でシロップを作ったんで、割って飲むみたいです」
「梅酒作れるじゃん!? どこでもらったの!? 今すぐそこに行こう!?」
「とりあえず、話し合いに行きましょうねー。うわ、うま、酒飲みたくなりますね、これ」
「でしょでしょ? 丼もあり!」
ホタルイカを食べて腹ごしらえも済んだので、ニンニクを香らせながら、話し合いに向かった。
とりあえず、琥珀糖と女性受けしそうなチョコレートも持っていざ出陣!
◇◇◇
「まぁまぁ! とてもかわいらしいわね! あなたが食の神様ですの?」
「お母様! ご覧になって? 素敵なお菓子を持っていらっしゃるわ!」
きゃっきゃとした貴婦人たちに迎えられ、私はとりあえずお悩み隊隊長たちに視線を向けた。お前ら、この調子でバラすならもう手伝わないぞ?
視線だけで全てを感じ取ったようで、お悩み隊隊長もとい街の長と権力者は、必死に頭を下げて何か箱を指さしている。
そっと覗きに行くと、こちらでは高級とされる石鹸たちに、海の食材、どこから手に入れたのかこの世界で作られたチョコレートまで入っている。指でお小遣いから出した、と話している彼らの気持ちを私は受け取ることにした。決してこの世界のチョコレートに釣られたわけではない。
「まぁ! こちらの琥珀糖ーの作り方の権利をくださるの?」
「はい、ぜひお召し上がりください」
「髪の艶の秘訣はありますの?」
「髪の洗い方は街の長たちにお話ししました。現在開発中のシャンプーも、お悩み……じゃなくて、街の長の手の者たちが研究しているそうです。早くできるといいですね」
話を全て街の長に持っていく。仕方ない。今朝作っておいたパックをあげよう。と言ってもスライスきゅうりだけど。昔、きゅうりパックって言うの見たんだよね。アレルギーとかだけ確認して、渡しておこう。
「まぁ! こちらをお顔に?」
「美しくなれるのかしら? 楽しみだわ!」
大変盛り上がってらっしゃるけど、私は食の神。美容に関してはこれ以上は関わり合いにならないぞ!
「食の神様。こちらのお洋服をお召しになって?」
……私の好みドストライクの、見た目可愛いのに機能性抜群の服が渡された。最高の手触り。美容の研究? するするー!
「泥パックを研究して作って、次回お持ちいたします!」
さて、海の底の泥を取りに行こうかな?確か海の底の海洋なんとかがいいんだよね? 最悪、美容に良さそうなもので適当に作り上げよう。……私の力使うとこの街から抜け出せなくなりそうな気がするのは、気のせいだよね? 梅の実取りに行きたいし。
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