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第4話:禁書


 校内に光っている照明器具などは見あたらない

 だが、なぜかうっすらと廊下は明るい


 「夜の校舎って気味悪いな……」


 そして俺は校長室へと歩いて行く

 だが廊下のの途中で、何か光るものを見つけた。これといった実体があるというよりは、うねうねと形を変える光が宙に浮いている

 青白くそれは光っている


 「これが、殺戮精霊?」


 俺は何かと1人でも声に出してしまう癖があったようだ、そのおかげでその光は不自然に動きを変えてこちらに進んできた

 明確な敵意を感じる……


 突然光が膨張。包み込むように形を変えて俺に突っ込んできた


 「ファイアバル!」


 憶えたての魔法で応戦する

 が、炎の玉が直撃しても、光は一度分散した後また集まって再形成される


 つまりはこの手の魔法は通用しない


 勝ち目がない。俺はそこから走って逃げた






 結構遠くまでやって来た

 あの殺戮精霊が追ってくる気配はない。おそらく校長室周辺のいわば縄張りを動き回るだけの作られた精霊のようだ……


 「ふぅ……この辺にはいないか」


 がしかし、俺の仮説は間違っていた

 本当に気配がないだけだった


 しゃがみ込んだ俺のすぐ横にそれは現れた


 「ファイアバル!」


 とりあえずいったん消し飛ばす。そして再形成される前に距離をとる

 走って逃げられたのだから、こうすれば逃げ切れないことはない


 と、思ったのだが廊下を走る俺の目の前にそいつは再形成された。どうも縄張りなんて存在しない、校舎の中を自由自在に動き回れて、その動きは俺よりも速い、攻撃も通じない


 もう一度ファイアバルで消し飛ばそうとしたが、今度は消し飛ぶどころか避けられた

 その直後、なにか冷たさを感じだ


 「か、体が凍り付いてる……!」


 動けない俺にゆっくり迫ってくる殺戮精霊。しょうがないからファイアバルで氷を溶かすか


 「ファイアバル! あっつ!」


 もう一度校長室の方へと走る。どうせ勝てないのなら攻撃をくらいながらでも魔書を奪い取ってみせるさ

 それに魔書さえあればこいつを倒す手段も見つかるかもしれないしな






 校長室までやって来た。もちろん殺戮精霊は俺のすぐ後ろでしつこく魔法攻撃をしてくる

 時には吹き飛ばされ、時には凍らされ、また時には焼かれそうにもなったがどうにか校長室までやって来た

 目の飛び込んできたのは。明らかに妖しく光る水晶玉だ


 「もしかして……これが殺戮精霊のコアか?」


 試しに水晶玉を転がしてみた

 台座の上から水晶玉が落ちた瞬間、殺戮精霊は消滅した


 となるもう敵はいない。校長室の奥にある扉を俺は開けた


 「うおっ! 本だらけじゃねぇか」


 凄まじい数の本がある

 どれも何かオーラのようなものを纏っているように感じる、もしかしたら本当にそうなのかもしれない


 ――しかし、あの校長が仕掛けていおいたものにしては随分呆気なかったな

 どれも簡単に片が付いてしまって、あの殺戮精霊も殺戮というよりは威嚇ぐらいにしかならないような属性魔法を使ってくるだけ

 俺たちのことを舐めてるのか?


 部屋の窓から何か見える……

 対中がゴーレムから逃げている。そうか、あっちが本命だったわけか

 じゃあ気にしないで魔書をいただくとしよう


 「えーっと……初級の棚に中級の棚に上級の棚。あと最上級に……なんだこの箱?」


 妖しい、妖しすぎる箱がおいてある

 凄く中身が気になる。だって他の魔書と明らかに別の場所に箱詰めでおいてあるのだ、きっと凄い魔法が入っているに違いない


 箱は案外簡単に開いた、封印でもかけてあるかと思ったが


 「どれどれ……何語だよ、読めねぇよ」


 魔法名はかろうじて読めるが、魔法についての記述は言語の統一がないのか異常に読みづらい。なぜこんな書き方がしてあるのだろう

 表紙の次のページに書かれていたその魔法名は「アブソリュート」多分読み方も間違っていない


 「アブソリュート……」


 魔法の構造、メカニズムについての記述はすぐに分かりそうもない

 でも時間をかければどうにかなるかも知れない。だがまぁこの妖しい魔書以外にも何冊か持って帰るとしよう


 突然何か叫び声のようなものが聞こえた


 「なんだ!?」


 校長室の入り口に、真っ黒な何かがいた、手には大きな刃物があった、それは大きな鎌のように見える。黒いマントの中からのぞく手はほぼ骨だけで大きい

 少ししか見えないが顔は髑髏のように見える


 確信だ。殺戮精霊はこいつだ。そしておそらくこいつは学校管理下にはいない


 「ファイアバル!」


 全力で最大級の炎の塊を作り殺戮精霊にぶつけた


 だが殺戮精霊は鎌の一振りで簡単にそれを消し去る


 そして巨大な鎌が俺の振り下ろされた、凄い速さだった

 かろうじて横に転がって避けたが、次の動作に入ることが出来ない


 「ぐっ、ファイアバル!」


 この魔法では時間稼ぎにもならない


 もう死ぬかと思った

 

 「インペリアル・オサリティ!」


 が、助かった。何かの力に押されるように殺戮精霊が壁に押しつけられて動きを止めた

 

 「桜木くん無事?」


 「おかげさまで、まぁひどい目にはあったがな」


 「ごめんね、まさかホントにいると思わなくて」


 助けに来たのはまさかの校長だった

 やはり校長はかの殺戮精霊の存在を認知してはいなかったようだ


 だがこれで片が付いたわけでもなかった。押しつけられていた殺戮精霊は魔法を引きはがしこちらに飛んできた


 「インペリアル・オサリティ!」


 もう一度校長の魔法で壁に押しつけられる

 どうやらこの魔法は直接攻撃の魔法ではなく、相手の動きを制限する類の魔法らしい


 「あなたは帰りなさい、その魔書は持って帰れば……なぜその本を?」


 どうやら俺の手の中の本のことらしい。やはりわざわざ箱に入れて隔離してあった本はまずかっただろうか?

 だけど返すつもりもないぞ?


 「グォォアァ!!」


 また殺戮精霊が動き出していた、だが校長はなぜか気付いていないのか俺の手の中の本をじっと見つめている


 「おい校長!」


 「え? キャア!」


 校長が殺戮精霊の突進を受けて床を転がった

 目の前の敵を忘れるほどのやばさなのかこの本は?


 「ふ、不覚……インペリアル」


 言い終わる前に殺戮精霊が校長を巨大な手で捕まえて引き寄せた

 そりゃまぁ2発も喰らえば学習するか……つーかどうしよう。「ファイアバル」は効かないしなぁ、あれしかねぇか


 殺戮精霊に右手を向ける


 「アブソリュート!」


 手のひらから光が……出なかった

 そりゃそうか、人の真似して魔法の名前を叫んだのと同じだしな。でもなんかやらねぇと


 魔書を開き、アブソリュートの項目を見るがやっぱりすぐに読めそうもない

 これはマジだ、校長助けねーと、俺も自分を護らねーと……さっきみたいに殺戮精霊を壁に押しつけてやれれば良いんだ


 アブソリュートがそういう魔法な気がしてきた

 動き止めるんだ


 「アブソリュート!」


 ――変化なし! ダメか!

 襲いかかってきた


 「ぐあぁっ!」


 突き飛ばされた

 背中を打った、ヤバイ息が出来ない


 「大人しくなりやがれ!」


 「む、無茶を言うなよ桜木……」


 「静まれ! アブソリュート!」


 まただ、これだったらファイアバルの方が……いや、今回は俺の右手から真っ白の光が出てる

 いける! どうなるか分からねぇけど!

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