動画②
「どうだった?」
竹丘がニヤつきながら聞いてくる。
「グロイな。これがネットに出回っているのか?」
「ああ、昨日の夜からな。検閲ですぐに削除したが、間に合わなかった。拡散している」
「俺らは耐性があるけど、一般人が見たら気を失うだろう」
一度コーヒーを飲んで気持ちをリセットする。
「それよりも、この動画による混乱は起きていないのか?」
「今のところは大丈夫そうだ。まあフェイク動画の可能性の方が高いだろう。一応公安の情報管理局やサイバー対策課が入念にチェックしている最中だけどな」
「そうか。それじゃあ男が特定されたら俺らの出番って事だな」
「そうなるな」
竹丘がスマホをジャケットの内ポケットにしまう。
「悪いな。書類作成中に。一応見せておきたくてな」
「ああ、気にするな。知らない情報だった。ありがとう」
「おう。じゃあ俺はサイバー対策課に行ってみるわ」
手を挙げ竹丘は去っていった。
仕事に関係のある動画とはいえ、胸糞の悪いものだった。
人間にそっくりなヒューマノイドが紛れ込んでいる……。
今まで誰も疑いもしなかった。それなのに奴は一体どこでその違いに気が付いたのだろうか。
この動画はフェイク動画として処理されるだろう。
しかし疑いの余地を残したままではだめだ。
しっかりと調査をする必要がある。
公安に紛れ込んだヒューマノイドとして、しっかりと調査をする必要がある。