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H&H②

「ではちなみに、小田さん、あなたは人間ですか?」

 二人を遮り、話を変える。


「はい。人間です」


「ヒューマノイドは見たことがありますか?」


「ありません。正確に言えば、見たことがあるのかもしれませんが、気が付いていません」


「というのは?」


「誰がヒューマノイドで、誰が人間かは問題ではありません。相手がヒューマノイドであるかもしれないという可能性を知っていればいいのです」


「それが共存というわけですね」


「正体を隠しているという点でヒューマノイド側は共存を望んでいないと思うが?」

 今日の竹丘はとげとげしい。


「なるほど、そう感じる方もいるのですね」



 小田は至って冷静だ。協和を望む者としての人格だろう。



「小田さんはそうは思われないのですね?」


「はい。私というよりは、私たちH&Hとしてですが。現状としてヒューマノイドがヒューマノイドであると公表できる状況ではありません。人間世界のような存在もありますし。時がきたらヒューマノイド側から公表があるでしょう。H&Hは協和、共存と謳っていますが、ある意味で静観と解釈していただいても結構です」


「ヒューマノイドが何かをおっぱじめても指をくわえてみているだけか?」


「やめろよ竹丘」

 様子がおかしい竹丘をたしなめる。


「いえいえ、そういう反応をされる方は少なくありません。少しずつ協和を目指していますから」


「失礼いたしました」

 俺がそういうと竹丘も不服そうな顔をしながら頭を下げる。



 多分これ以上得られる情報はない。小田の方もそう感じたのだろうか。自然に帰宅の流れになる。


 会釈をしてH&Hの本部を後にする。


 竹丘の様子がおかしかったので、インプレッサは俺が運転することにした。

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