捜査②
二人を乗せたインプレッサは新青梅街道を走っていた。
目的地は東久留米。H&Hの本部。
人間世界とは反対に人間とヒューマノイドとの共存を望む集団がH&H。
竹丘はサイバー対策課から聞いたらしい。よく顔を出しているから、情報をもらってこれる。あいつの人懐っこい性格はうらやましい。
人間世界にしろH&Hにしろ、どこでヒューマノイドのことを知ったのかはいまだに謎だが、二つの派閥に分かれているようだ。
平和的な共存を望むH&Hの方が多くの情報を得られる可能性は高とみられる。
「着いたぞ」
竹丘が車を停める。
パン工場跡地。ここがH&Hの本部らしい。
大きくて目立つ建物だが、逆にアジトとして目くらましになっていたのだろうか。そもそも害のない集団だから隠れる必要もないのか。
古びてい入るが、セキュリティはしっかりしているようだ。入り口はセンサーとカメラで訪問者をしっかりと監視している。
竹丘がカメラに向かい、公安の証明証を示している。昨日のうちにアポイントメントを取っていたらしい。
赤く光っていたランプが緑に変わると、分厚い扉がゆっくり開いた。
中に入るとすぐに扉は閉じられた。
建物の中は薄暗い。誰かがいるようには見えない。
とりあえず進むしかない。大きな工場で迷路のようだが、人の通りが頻繁な廊下とそうでない廊下は、埃の積もり方で違っていたので迷わず済みそうだ。
進んだ先は薄く食堂と書かれたプレートのある扉だった。モザイクガラスの小窓から、明りが伺える。多分ここが拠点だ。
二人並び、顔を合わせ頷く。アイコンタクトを取ると、扉を開いた。




