200字の物語 part1
5個目は怪文書(奇怪な文章の方)です。
苦手な方はごめんなさい
「勉強教えて」
彼女はまたそう言って、真っ黒でまんまるの瞳でまっすぐ見つめてきた。
僕はそれにおどけてしまうのだが、彼女は気にせず「ここがね~」と話し始める。
僕は断る理由もないので、すぐ寄り添ってあげるのだが、そのときの彼女は真剣で、また、心地よく見える。
僕は、彼女に「好きだ」と言った。
彼女は、その瞳で、はてなマークをつけて、「私も好きだよ?」と返した。
僕はその瞳に、彼女にずっとついていこうと誓った。
知らない。知らない。桜の下で、僕は一人で立ちすくんでいた。
学校が始まって二週間、僕は怖くて教室に入れなかった。
何が怖いのか、わからない。
でも僕は、直感的に、足が動かない。
そういうときは、たいてい、人の少ない武道場の裏か、授業があるときだけしか生徒は来ない、専科の教室群のところで、適当に座っている。
僕は、何も求めていない。
この非凡を楽しんでいるのかもしれない。
でも、やっぱり世間は僕をからかっている。
私はなんだろうか。
私は三月のことが好きだけど、そんな私も肯定できない。
三月が笑った。
私も笑い返した。
その一瞬の時空は、私たちだけにしかわからない、亜空間が存在する気がする。
それだけ不思議だけど正しくて、私は素直に喜ぶ。
私はあらゆる事象の頂点に三月を考えている。
「…どう…したの」
いつの間にかハグしていた。
「私は、三月が好き」
「ありがとう…私も好きだよ?」
好きと言ってもらえた。私はやっぱり、私なのだ。
自分が嫌い、自分が嫌だ
顔が嫌い。体が嫌い。体にある毛の一本一本の先まで嫌い。
だからってそれは取り替えられない。
それであり、前を向くこともできない。
どうして、どうして生きているのか。
何を目指して走っているのか。
私の答えはただ一つ
わからない。
考えれば考えるほど、
心に穴が空いたような、まずいものを食べたような、そんな気持ち悪さに駆られる。
だけど私は生きたい。
だから嫌いなものを肯定していく日々なのである。
その男は、なんでもない小路にいた。
いや、突如として現れ、私の前に立ちはだかった。
勇気を出して、
「なんですか」
と言った。
その男は何も答えずただ私を凝視していた。
怖かったが、何もしなければ去っていくと信じ、私は待っていた。
長く感じた1分を経て、その男は私とすれ違った。
振り向くと、いつの間にか男子高校生がいた。
しかし、男子高校生はいきなり地にめりこむように見え、そのまま消えた。
私は怖くなって逃げだした。