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次いでこの世の死霊使い(ネクロマンサー)  作者: 時雨 茉莉花
第一章 〜嚆矢の物語篇〜
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第六話 怠惰な放課後、魔力塊人形《ホムンクルス》に出逢う

・characters

逢末あいまつ 蒼兎あおと

逢末あいまつ 瑚糸こいと

 メグル・エルフレスト

根暗ねくら 暗夜くらや

・久遠 魅々くおん みみか

・リリア・アーサー

・リリカ・アーサー

・七光 めいく(ななびかり めいく)

・雪ヶゆきがや 五十鈴いすず


各話出てくる人物出てこない人物がいます。

 なんだか疲れる朝を迎えて、学校へと登校した。朝も少し早い時間で、部活などだろうか。まだ教室に人は少ない。

 俺は、教室の窓際の机に座り「はあぁ」と、ため息を溢す。

 しかし、そんな俺とは裏腹にジッとこちらを見つめている少女がいた。

 ────久遠魅々華(くおん みみか)だ。仲がいいわけでも悪いわけでもなく、朝に少し喋るくらいの関係だ。



「何、朝から暗い顔してるのよ、なんかあったの?」


「......え? あぁ。まぁ、ちょっとな......」


「ふ〜ん.....」


「............」



 言えねぇ! 俺は死ねなくて、妹が死霊吸血鬼で、先生も魔術師で、朝起きたら自分を妹だとか言う死霊が現れて疲れています。なんて、絶対に言えないっ!! 言えるわけがないっ!!

 なぜ......なぜ俺なのだろうか、一般的な普通の高校生活を送っていたそんな俺が.....この物語の一部に組み込まれてしまったのだろうか。

 いざ冷静になって考えてみると、おかしな話である。

 偶然か......必然か、そんなこと......俺が知るはずもない。



「......まぁ、いいけど。一日中寝て過ごすとかやめてよね。やっと遅刻しないで来たんだから」


「言われなくても寝ないよ、多分な」



 これが、どれほど壮大なフラグか......この時はまだ知るよしもない......。




「起きて......起きてってば、蒼兎ぉ〜!」


「うぅ......?」



 眼を開く、開いて目の前に魅々華が見える。

 こちらを見つめ不思議そうな顔でこちらの顔を伺ってくる。



「どんだけ寝てんのよ、蒼兎?」


「......え? いや、そんなに......今何時?」


「6時間目始まりから、今は5時半よ」


「そうか......魅々華パンツ見してくれ......」


「寝言は寝て言いなさい」



 俺の渾身のギャグが一瞬にしてかき消されてしまった。

 それにしても俺、そんなに寝ていたのか。朝のあの言葉が嘘のようだ。

 魅々華がこちらを見て、



「私は部活あるからこれで行くわね、蒼兎も早く帰りなさいよ」


「おう、ありがとな魅々華」


「う、うん。どういたしまして......」



 そう言って颯爽(さっそう)と教室を出て行く魅々華を見送り、俺は帰る準備をして教室を出た。

 はぁ、というか実に3時間、完全に熟睡してしまった。それだけ疲れている、ということなのかもしれない。誰もいない教室、ますます疲れを実感してしまう。

 



「......これは?」


 所変わって、俺は家に帰るために下駄箱の前にいた。靴を取ろうとする。だが......ここで問題が発生した。

 下駄箱の中の靴の上、そこには手紙があった。キレイに半分に折られた手紙......。

 俺は少し考える。そもそも、今どき手紙を下駄箱に入れる奴なんかいるのだろうか? 現にいま目の前にあるこの手紙を見て否定することはできないのだが......。


「う〜ん......」


 結局俺は、手紙を手に取った。

 中身はというと、



『貴方の呪いについて興味がある。放課後、図書準備室に来て。』



 なんとも胡散(うさん)臭い手紙だろうか。

 だが、一つだけ気になるところがある。『呪い』という言葉。今のところ俺の呪いについて知っている人は限られているわけだ。それでありながら、この手紙の差出人は『呪い』について知っている。

 結果的にいうと、図書準備室に行かなくてはならない。

 面倒くさい。そう思いながらも、俺は図書準備室の前にいた。


 あまり入ったことのない図書準備室に少し緊張しながら、ノックをしてドアを少しずつ開ける。



「えっと......すみませ〜ん」



 ドアを開けたその先には、少女がいた。

 白い髪で短髪、一冊の黒い本を手に無表情でこちらを向いている。

 俺は手紙を取り出して、



「これは、君が?」


「そう」



 とても淡白に返答された。

 未だ部屋の外にいる俺は、



「えっと、入っていいか?」


「............」



 何も言わずに、こちらを向いたままこくんと首を前へと倒す。

 言葉が少ないっ! そんな気持ちを押さえ込みながら、俺は言葉をかけようとする。



「えっと......」


「そこ、座って」



 俺は指定された席に座る。

 なかなか話が進まないので、俺から切り出すことにする。



「......君は、一体何者なんだ? なぜ『呪い』について知っている?」


「メグル・エルフレスト、私は彼女を追っている」


「メグルを......?」



 予想だにしない単語が彼女の口から発せられた。

 彼女は、そのまま説明を続ける。



「メグル・エルフレストは禁忌の呪い、『死霊の呪い』を貴方にかけた。しかしその直後、姿を消滅した」


「............」



 俺が口を挟む余裕もなく、彼女は話を続ける。



「しかし最近、彼女の動きを探知することが出来た。そして、その周辺で死霊力の急激な増加が見られた。それが逢末 蒼兎。すなわち、貴方」



 なぜ俺の名前を......まぁ、いいか。



「なるほど......それで君は一体?」


「私は魔力の塊で出来た、魔力塊人形(ホムンクルス)


「魔力の塊?」


「そう」



 その返答を聞き、俺は質問を投げかける。



「お前が追っているのはメグルなんだろ? だったらなぜ俺を呼び出す? メグルじゃダメなのか?」


「ダメじゃない、けど......」


「けど?」


「私たち魔力塊人形(ホムンクルス)は量産型であり、それを一括して管理しているのが私、幾多もいる魔力塊人形(ホムンクルス)の情報を縫合したところ、メグル・エルフレストではなく、まず貴方に接触することになった」



 それを聞く限り俺の頭はパンクしそうだ、キャパオーバーだ。

 俺はそんな表情が顔に出てしまっていたようで、それを察してか彼女はこう言った。



「あまり情報を多く伝達するのは良くない、続きは明日にする」


「......でも」


「急ぎではない」


「そうか......それじゃあ明日、その前に聞いておきたいことがある。名前を教えてくれないか? その魔術塊人形(ホムンクルス)とやらでも、名前くらいはあるだろう?」


「ある。雪ヶ谷 五十鈴(ゆきがや いすず)、それが私の名前」


「雪ヶ谷か......それじゃあ雪ヶ谷、また明日。時間はもう少し早くなると思う」


「分かった」



 そう言われて俺は部屋を出た。昨日の事といいもうヘトヘトだった、ここらで切り上げる事が出来て少し心を撫で下ろした。


 さて、帰って......寝よう。

指摘、評価、感想などしていただけると嬉しいです。


ふぅ、疲れますね。この後どうなるんでしょう?自分でも分かりません。

定期的に書けるようになると一番いいんですが、時間がなかなかありません。でも、頑張りたいと思います!

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