第四話 戦いは終わる、笑顔を得る
・characters
・逢末 蒼兎
・逢末 瑚糸
メグル・エルフレスト
・根暗 暗夜
・久遠 魅々華
・リリア・アーサー
・リリカ・アーサー
・七光 めいく(ななびかり めいく)
各話出てくる、人物出てこない人物がいます。
俺は暗夜先生に身体を向け、ゆっくりと姿勢を低くする。
小さい頃やっていた武道がこんな所で役に立つとは、思ってもみなかった。
俺は暗夜先生を見つめ、
「退散するなら、今のうちだぜ....暗夜先生」
そういうと、暗夜先生は笑った。
「退散....? 誰が?」
そう言って長く黒い剣を握り直す、こちらを睨みつける暗夜先生に俺は警戒を強める。
「ふむ、その構え....空手に似た物を感じますね....ですが、たかが格闘技などで....私に勝てるとお思いで?」
「..........」
と、暗夜先生が一歩前に足を踏み出す。それと共に手に持っている黒い剣を突き出してくる。
速い、避けるのは......無理だな。
「.........」
避けることが出来ないと察した俺は、後方へは下がらず....前方に一歩、前進した。
もちろん黒い剣が俺の胸元に突き刺さり、激しい激痛に襲われる。
「......愚かな」
と、暗夜先生が言葉を溢す。
だが、俺は痛みを気にせず、もう一歩踏み込み、拳を腹の中央部目掛けて突き上げる。更にグッと拳を押し上げる、それに暗夜先生は、
「ぐはッ」
と呻き声を上げ、腹を抱えたまま一歩後退する。
確実な手応えを感じた、ただ殴っただけなのにこの威力『死霊力』のおかげだろう。
俺は、胸に突き刺さったままの黒い剣を引き抜く。
「い、痛ってぇ.......」
「だ、大丈夫? 蒼兎....?」
「大丈夫だ、下がってろ....メグル」
剣を引き抜いた後、胸には大きな傷が残っていたが、すぐに癒えていく。
俺は拳を握りしめて、右腕に力を集中させる。爆発しそうなくらいに右腕が熱くなり、白い炎が立ち込める。
それを見た暗夜先生は、パチン。と、指を鳴らす。
今日の朝と同じ....時間が止まると、俺は察する。
だが、時間は止まらなかった。
「なッ───ありえない、ありえません.....」
驚く暗夜先生に、メグルが、
「残念、そんな低級の術式、疾っくの疾うに解除したわ」
メグルがそういうと、暗夜先生は一歩また一歩と後方へ足を引きずるようにして、進んでいく。
その間にも、俺の右腕の白い炎は『死霊力』を増していく。
それに合わせ、俺は拳を強く握り。
「これで終わりだぜ、暗夜先生.......」
俺は暗夜先生の後方に回り、左手で首を掴み、そのまま白く煌めき燃え盛っている右腕を、強く....振り上げた。
右腕ごと吹き飛びそうな勢いで、暗夜先生は白い炎に吹き飛ばされた。
蒸発という言葉が、当てはまるだろうか。その場から消えた。
終わった....のか?
「あ、蒼兎....? 大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。メグルこそ、怪我とかは?」
「ううん、大丈夫。蒼兎が守ってくれたから」
そう言って、メグルは笑顔を浮かべる。
良かった、本当に、メグルの笑顔が見れて。
その笑顔を守りたいと思った。
その笑顔を守らなければと思った。
その為にはもっと強くならなければ。
俺は、そう呟いた........。
指摘、評価、感想などありましたら幸いです。
なんか、暗い展開ばかりになっていますが、次からはギャグとかもあると思いますのでよろしくお願い致します!!!