第ニ話 夜の神社、死霊使いは蘇る
・characters
・逢末 蒼兎
・逢末 瑚糸
ハルカ・エルフレスト
・根暗 暗夜
・久遠 魅々華
・リリア・アーサー
・リリカ・アーサー
・七光 めいく(ななびかり めいく)
各話出てくる人物と出てこない人物がいます。
夜、俺は家に居た。
学校では暗夜先生が訳わからない事をし始めて、剣を持った少女が現れて。もう、散々だった。
それにしても、あの少女が言っていた「あなたの物語は少しづつ動き出しているようですね」には一体どんな意味が込められているのだろうか。
「あぁー、分かっんねぇー!!」
と、そんな事を考えているうちに宿題が出ていた事を思い出す。
奇妙なことが起こっても、周りは至って平常運行なのだ。
「あれ? ノートが....無い?」
カバンの中を漁ってみるが、宿題のノートが無い。確かに入れたはずなのだが。
(あの先生、宿題忘れると怖いんだよな....)
「取りに行くしかないか....」
夜の暗い夜道を、歩き俺は学校へとノートを取りに行くことにした。
すると、玄関前で瑚糸が声をかけてくる。
「兄さん、何処へ行くのですか? こんな夜中に、一人で」
「あぁ、ちょっと学校にノートを忘れてきてな....取ってこようと思って」
「そう....ですか」
「どうかしたか?」
「いいえ、何でもありません....気をつけて下さいね」
「おう、じゃあ行ってくるから」
「はい、行ってらっしゃい」
俺は瑚糸に見送られ、夜の学校へと向かった。
♦︎
学校へと向かう夜道の途中、不気味な神社を見つけた。
普段ここを通って学校へと向かっているのだが、こんな神社は無かったはずだ。
まぁ、その興味が湧いてしまった事には変わりがない....。
(ちょっとだけ....寄ってみるか....)
引き寄せられる様に入っていった不気味な神社には、月明かりが差し込み更に不気味な場になっていた。
引き寄せられる様な、よく分からない感覚だ。
「やっと来ましたか」
「......え?」
神社の後ろから声がした、女の声で....透き通っていた。
ザッザッと砂利の音を立てながら近づいて来る。
「お前は.....誰だ?」
暗い闇に包まれている神社の一点に月明かりが差し込んでいる、そこへ少女の姿が視界へと入ってくる。
「お久しぶりですね、蒼兎さん」
「.........」
「お久しぶり」という言葉に疑問を持つ。
俺は知らない....いや、覚えていないだけか?
「あぁ、そうでした....覚えているはずがありません。 だって記憶はここにあるんですから....」
そう言いながらゆっくりとこちらへ近づいてくる、遠くてよく見えなかった顔も段々と見える様になり....。
その見えてきた顔は、今日学校で助けてもらった、レーヴァテインの少女によく似ていた。
「お前....今日、助けてくれた....?」
「今日とは、一体どういう事ですか....?」
「.....違うのか?」
「えぇ、違うと思われますが....?」
少女は考える様な素振りを見せて、
「あぁ、なるほどそういう事ですか」
勝手に納得された。
「一体何なんだ、お前は誰だ、何が目的なんだ?」
「その質問全て、一瞬で把握させてあげましょう....」
そういうと俺の方へと少女が近づいてくる。
ゆっくりと手を伸ばし、次の瞬間──────。
「えいっ」
と、可愛らしく俺の頭を突っついた。
何かが流れ込んでくる、言葉、記憶....? 情報が波となって頭の中の、空いている部分へと流れ込んでくる。
そして口が勝手に動いていた....。
「死霊の....呪い....?」
「成功しましたね....」
───オマエは死ネル呪イに掛かっテイル───
───妹ハ妹デハ無い、死霊吸血鬼デある───
───サァ、戦え....最初で最期ノ死霊使い───
───死にタクは、無いだロウ?───
「うぅッ────────!!!」
突如頭痛に襲われた、情報が頭の中で錯乱してグルグルと回っている。
俺は少女を睨みつけながら、
「俺に....何をしたッ!!」
「記憶を戻したのです、6年前この場所で奪った、あなたの記憶を。 思い出しませんか?私は一度あなたを殺しているんですよ?」
「.........」
「そうですか、まだ混乱しているようですね。 脳の記憶より肉体の記憶の方が今は大きいのかも知れませんね。 そうとなればあの時と同じ痛みを....下しましょう」
ガガガと、金属音を鳴らしながら大きな黒い剣を引きずりながら、ゆっくりと少女が近づいてくる。
次の瞬間。
少女が剣を振るった。
そして俺は、
「あああああああぁぁぁぁぁあああ────────ッ!!!!」
と、痛みに任せ悲鳴を上げる。
振るわれた剣は、俺の背中に大きな傷を残した。
段々と血が滴るのが分かる、俺はそのまま片膝を地面に着く。
そして続けざまに、記憶と肉体が共鳴したように感じた。
「さぁ、思い出しましたか? 私が誰か、6年前ここで何があったのか」
「......お前は、『邪剣使い』だ....」
「やっと、思い出したみたいですね。 それでは6年前ここで何があったか、分かりますか....?」
「誰かが....俺に、呪いをかけた....だろ? この傷が治り始めているのも、呪いのせい」
「それが、誰にかけられた呪いか....分かるかしら? ─────おや? もう、答えがそこに来ているようですね」
俺は少女の向いている方向へと視線を向ける。
「──────瑚糸ッ!?」
「──────蒼兎ッ!?」
我が妹、瑚糸がいた。
そして俺の記憶と重なった、かつて俺に呪いをかけたその少女と。
「蒼兎....記憶が、戻っているの?」
「あぁ....そうらしい。 瑚糸.....いや....メグル・エルフレストだよな....」
そういうと、メグルが俺に抱きついてくる。
ちょっぴり膨らんだ胸が、腕にギュウと押し付けられている。
「ちょッ!? め、メグルッ─────!?」
「久しぶりっ!! 記憶が戻って良かったっ!!」
「ふふ、感動の再会ですか....微笑ましい限りです。 さて、私の仕事はここまでです....それでは、またいつか近いうちに....。 それと、私の妹がお世話になるかもしれません....」
そういうと、『邪剣使い』は闇の中へと、消えていった....。
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