表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

今日から学校と仕事、始まります。①莞

人が問われている

作者: 孤独

世界全土で、人が問われている。


「代わるべき時代はすぐそこである」


ロシア。

軍総司令、ダーリヤ・レジリフト=アッガイマン。

またの名を、”魔天”。”名実めいじつをとれば、最強の男”


人類の進歩を掲げ、ロシアだけでなく世界全土で人の革命を行なおうとする人間。かなりの危険人物にして、人間に深い感情を持つ者である。


「最近、色々変わってきましたからね。進歩してますよ、ホント」


中国。

アジア裏社会の帝王、”チャイニーズ・ワンズ”の首領、伊賀吉峰いがよしみね


”人が成るべき人になる”社会を築こうとする、革命者。頭の中は鬼畜な敏腕経営者と言ったところ。人の使い捨ても平然と行うが、選ばれている人には敬意と尊重をする者である。



「うわはははは!堅苦しい奴等じゃのぅ!!お主等は!」



ダーリヤと同じく、所属はロシア。生まれは違う。

ロシアの科学者、キルメイバ・フレッシュマン博士。


この世のあるゆる大きい物を愛でて、作りあげる。デカイ事が大好きなマッドサイエンティスト。基本的な性格は馬鹿だが、何かをデカくする事に関しては紛れもない天才。地球や宇宙を越えた存在を作り上げる事がとりあえずの目標。

ダーリヤの部下であるが、基本は利害の一致で協力しているだけである。



「ところで最近のぅ。ワシの研究所を任されておる配達員がおかしくてのぅ、困っておってな。なにやら人が変わっただの、忙しいだの。まったく、注文品を別のところに届けるとは困ったもんじゃ!」

「…………おい、フレッシュマン博士」

「私達。世界の人間達について話している時に、自分の事を語りますか?」


これより人間社会の根本的な改革を進めようというのに、フレッシュマン博士は空気を読まない。

なんでこの人を会議の場に、それも超重要なシークレット会議に参加させたか?


「理解に苦しみますよ、ダーリヤさん」

「……済まん。悪気はないと思う」

「フレッシュマン博士は我々の計画に必要な人材ではありますが、頭が馬鹿なんですから。かつてはテロリストだった経歴も含めて、扱ってくださいよ」

「伊賀。ワシをテロリスト扱いとは心外じゃな。博士と言え。制御ができないデカイ生物を作り上げ、国を4つか5つ滅ぼした程度の事じゃし、それは何十年も前のことじゃよ。お主が赤子ぐらいの頃じゃぞ」

「めっちゃ怖いんですけど、このお爺さん。うっかりで地球を壊さないでくださいね?」


ぶっちゃけ、そんなシークレットな話を今するわけではなく。

この爺のトークショーでこの物語は終わってしまうからだ。


「これまで時代の技術革命に人間はついて来れたが、いよいよ人を超え始めた時代になりつつある」


カッコイイ事を言っている爺だ。今のところ。


「我々、人は問われておる。その技術についていくため、人が成長を遂げられるのか。あるいは技術に対応できる人間の数を作り上げるかどうか。共存をするかどうか」


人が理想を求めていくほど、他の人も理想に近づかなければならない。性能も肉体も異なる人間達にそのような共有は難しいことだ。

それでもダーリヤは求めている。人間が成長する事によって、進んでいく技術と並び、扱うという側に立ち続けること。人が主役であるから社会がある。当たり前だ。それでも難しいことなのだ。



「まったく、これ以上部下達に。ワシがアニオタである事を、第三者が周辺に知らせんで欲しいわいのぅ!人間の改革が必要じゃわい!のぅ、お主等!」

「そんな低次元の理由で人間の改革を勧めているわけではないぞ、俺達……」

「あんたモロバレですよ。作業中にアニソンやらアニメ番組がダダ漏れてるんですから。それと、隠さなくてもいいじゃないですか。それぐらい」

「よかないわ!!第三者によって、発覚するのが気に食わん!にわか共と話したくないし!最近のアニメや漫画の質が落ちていかんわい!そのくせ数ばかり増えて、視聴者の皆様が追いきれんじゃろうが!!まずはアニメーターを増やさんか!伊賀!滅ぼすぞ、この世界!」

「アニメーターを増やしてどうすんだ。世界がアニメで回ってると思ってんのか、クソ爺」



崇高な目標を持つダーリヤと伊賀に対し、この体たらくなフレッシュマン博士。

正直、こーいうのと喋るとイラつく伊賀であるが。発言通りの実力を兼ね備えている博士を、ダーリヤは高く評価している。こーいう一面でもフォローしてあげる。


「アニメーターはともかくとして。人間の可能性と肉体の成長、発展。また精神面の飛躍は不可欠だ。人間の数が増えたところで、この世界全土における技術……」

「CGの発展は良い事であるが!世間では批判も多い!多少の失敗などを恐れずに、挑戦していく事は讃えられるべき事なんじゃ!手書きが良いだの、やれセル画がいいだの!昔のアニメが良かっただの!そんな感想ばかりあがるアニメ業界にはしたくないものじゃ!」

「俺が喋ってる時に俺より長いことを喋るじゃねぇ!!」


フォローにも限度がある……。

人間関係の悩みはダーリヤだってあるものだ。まぁほとんど、フレッシュマン博士の暴走であるが。


「各々、考えは違えど。人に求めるレベルは、世界全てで引き上げるべき事なのだ!人類の進歩は日進月歩であらねば、人類はその先で滅ぶ!我々はその警鐘を鳴らすわけだ」

「そうですね。やりましょう。ダーリヤさん」

「うむ」


重大な会議の内容は話さないが、互いに合意。

そして、フレッシュマン博士は誘う。この人類の改革が完遂されたら……


「人類が変わったら、ワシ等でアニメを作らんか?」

「「やんねぇーよ」」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ