1/12
プロローグ
異世界の存在がこの世に認知され始めた時代。様々な人間が、異世界の救済に乗り出した。
ある者は名誉を求めて、ある者は現実からの逃避を望み。色々理由はあったが、いずれの者も転移先の世界で伝説を残している。
父親が異世界の救済者で、その子である彼は語られる武勇伝にいつも胸を弾ませていた。いつかは自分も異世界に行ってみたいと、常々考えていたほどだ。
彼はそれを間違いだったとは思っていないし、後悔もしていない。
だが、もしも。この時、異世界に行きたい等と考えなければ、彼はあのような事件に巻き込まれることはなかっはずだ。
332名の大失踪。
これから語られるは、その真相。異世界に囚われた彼らが、どのようにして生きてきたのか。
これからそれを話そうと思う。