魔剣秘話
冬の雨はひどく冷たい。
ざあざあと濁流のように降りしきる雨が視界を塞ぐ。
雨粒は地面にぶつかって砕け、煙のように立ち昇る。
それが幾度となく、飽きることもなく繰り返される。
デイシン流の開祖は、この光景から生と死の流転の因果を悟ったと伝えられている。
そのくせ、奉じているのが“泥の神”であるあたり、意外と捻くれた人物だったのかもしれない。
(あるいは、砕けて尚、生を掴むがゆえの泥か)
廃寺の軒先から地面にできた水たまりを眺めながら、ジエンは白い息をひとつ吐いた。
この様子では、まだしばらく止まないだろう。
「急ぐ旅でもないし、今日はここに泊まるか」
背後からの声に視線を転じれば、ショウキは――前に宿を借りた者が拵えた焚き火跡だろう――講堂の中心の剥き出しになった地面に柴を組んでいた。
こちらも雨が降るとみて、目敏く確保していたものだ。
そうして、しばし火勢を調えると、ショウキはどこからか草餅を取り出して焼き始めた。
ぱちん、ぱちんと固くなった皮を破って餅が膨らむ音が廃寺に響く。
ジエンも反対はしなかった。何をするでもなく雨景色を眺めている。
魔剣の奪還はこの上なく順調だ。既に、全体の六割、ひょっとすれば七割近くを奪い返すことができている。
ひとえに役割分担の妙だ。共鳴を頼りにジエンが進むべき方を決め、現地ではショウキが日陰の者たちに当たっているのだ。
出所が剣狼衆ゆえに、魔剣がヤクザや浪人に流れていることは多く、おかげで荒事になることも少なくないが、それで困る二人でもない。
ジエンが出奔してから五年が経つ。この調子なら十年はかからぬであろう。
「ほれ、焼けたぞ」
声と共に放物線を描いて深緑色の餅が飛んでくる。
視線も向けず、ぱしっと音を鳴らしてジエンは掴みとり、まだ熱を持つそれに噛みついた。
よく練られた餅は歯ごたえも良く、火傷しかねないほどの熱さの中に仄かな渋みが混ざっている。
「……そういや、ジエン。オマエの剣はなんで“魔剣”なんだ?」
廃寺に、ショウキの声が響いた。
今さらといえば今さらな問いであった。
あるいは、ショウキはずっと問う機会を窺っていたのかもしれない。
そう思えるような真剣な声音であった。
「――――」
ちらりと視線を向けたジエンはしかし、すぐには答えられなかった。
彼もまだ確としたところには至っていないのだ。
ふと、雨音が遠のくような気がした。
いつしか、男の意識は答えを探しに過去へと飛翔していた。
◇
――魔剣とはなにか。
魔剣。折れず、曲がらず、決して鈍ることのない究極の剣。
魔剣。合理と条理を外れ、人間の限界を超越した窮極の剣。
ジエンとクオウがそう名づける以前から、魔剣は既に存在していた。
すなわち、業物でありながら所有者に災いをもたらすとされる武の器、曰くつきの器物としての絶剣。
あるいは、流派の秘奥に迫りながらも『継承』という要素を取り払った、個人の才能に依存する絶技。
器と業。そのふたつの意味において魔剣は存在していた。
そして、稀代の鍛冶師クオウはその類似点に気付いていた。
――“孤”である、ということだ。
個にして孤、唯一にして孤独。
ただひとつであること、それは業においては明白な事実だ。
誰ぞに継承できた時点で如何な絶技も技術の枠に落とし込まれる。
あるいは、流派においては奥義や秘伝と呼ばれるものとなるだろう。
同じ剣の到達点でありながら個人の資質に依存するが為の、誰にも継承できないという短所であり――
――誰にも模倣されることがないという長所の存在こそ、魔剣が魔剣たる所以である。
この点、ジエンは武の道に入ってから早い段階で絶技・魔剣の資質に目覚めていた。
彼の有する常人離れした見の才、先読みの才、柔軟で素直な肉体――すなわち『適応力』はその存在からして流派の枠を離れていたからだ。
そもそも流派の“技”とは、限定した状況における必殺性や対応力を高めたものである。
たとえば、人ごみで特定のひとりだけを斬殺するための技。
たとえば、左右から同時に襲われた際に対応するための技。
その瞬間の間合い、体勢、行動。それらを予め体に刻みこんでおくのが技である。
剣士にとって、実戦とはいかに現実を技の想定に落とし込むかを競うものであると言える。
だが、ジエンの適応力は状況を選ばない。
現実を技の想定に落とし込むまでもなく、その状況に最も適合した剣を振るうことが出来てしまった。
彼がわずか八歳で印可を授けられたのも、デイシン流を修めたからでなく、本質的には流派を必要としなかったからである。
もっとも、若かりし頃のジエンはそれ故に苦悩した。
剣士を木とするなら、流派は根である。
ジエンは根を持たない剣士であり、自らの根を探す剣士であった。
そして成果は得られず、“自分だけの技”の構築も行き詰ってしまっていた。
――クオウが魔剣を完成させるまでは。
◇
最近、クオウの様子がおかしい。
彼女の父であるキイチに相談されたのは、ジエンが二十五歳、クオウが二十三歳の時であった。
キイチは“御山”の鍛冶師一門でも有数の打ち手であった。
五年前には時の将軍にひと振りを献上しており、つまりは、当代随一の鍛冶師と世に認められていた。
彼が父でなければ、クオウの才能の開花は十年は遅れたであろう。
「……ワシにはもう、あやつをどうにもできぬのです」
そんな父をして、クオウの鍛冶は理解の及ばぬ領域へと至っていた。
その頃のジエンは半ば剣の道から離れていた。稽古こそ怠ってはいないが、それだけであった。
根のない木は大きく太くなるほどに倒れる危険性を増すことを、誰に言われるでもなく彼は理解していた。
クオウとの約束、“天下無双の剣士になる”という夢を忘れたわけではないし、捨てた訳でもない。
しかし、現実を見ていた。
ジエンは彼なりに彼女との将来を考え、家を継いだ兄に頭を下げて御山周辺の小役人の地位を約されていた。
兎にも角にも、食えなければ嫁を迎えることもできないからだ。
そして、ここ数カ月はそのための実地研修や根回しでクオウの顔もまともに見れていなかったので、キイチの相談はまさしく青天の霹靂であった。
キイチは対面に座るジエンの膝前にひと振りの脇差を差し出した。
おそらくは彼女の鍛冶場から秘かに持ち出したものであろう。
拵えも施されず、茎も露わな抜き身の一刀。
緩やかに弧を描く、一片の曇りもない青く澄んだ刀身。
一見して、業物であることが窺い知れる。
それこそは後に“薄明”の銘で呼ばれるひと振りである。
「これを、クオウが?」
おずおずと問えば、キイチは頷き、もうひと振りの刀を差し出した。
五年前、彼が将軍に献上したひと振り、その影打ち。
すなわち、当代最高峰のひと振りの兄弟刀である。
「刃を当ててみてくれ」
「は?」
「頼みます。見れば、ジエン殿も察するでしょう」
「……」
キイチの真剣さに押され、ジエンは言われた通りに薄明の茎を握り、キイチの影打ちの刃に軽く押し当てた。
途端、すとん、と何の抵抗もなく薄明は影打ちの刀身を切断してしまった。
そこには豆腐でも切るかの如く、一切の手応えがなかった。
「……これほど、とは」
ジエンとて一端の剣客だ。
これまでにも様々な剣を見聞きしてきたが、この脇差は今までに類を見ない異様さであった。
「ワシの鍛った刀を五つ重ねても同じでした。あやつの打った刀はもはや名刀などという域にはない。
これは……これは……妖刀の類にございます……」
そこまで言って、キイチは顔をくしゃりと歪め、突然がばりと平伏した。
「ジエン殿、クオウを貰っていただきたい」
「な、キイチ殿!?」
驚きがジエンの喉を衝く。それはある意味で禁句であったからだ。
これまでも二人の間で婚姻の話が出なかったわけではない。
クオウは口にこそ出さなかったが、ジエンの許以外に行く気がないことをキイチは十二分に察していた。
だが、鍛冶の神は嫉妬深い。ゆえ、女鍛冶は未通でなければならない。
クオウが嫁入りすれば、もう剣を鍛つことはできない。父すら超える才能はそこで潰える。
それゆえに、キイチはこの歳まで二人の婚姻を認めてこなかったのだ。
もっとも、その点についてはジエンも納得の上であった。クオウの鍛冶の才についてはキイチ以上に理解していた。
今の今まで剣道楽に暮らしていたのも、クオウが鍛冶師を引退するまでにはまだ幾ばくか時がかかろうと見積もっていたからだ。
ふたりして、クオウの才能に目が眩んでいたとしか言いようがなかった。
「わかるのです。あやつは決定的に道を違えた。これ以上、剣を鍛たせてはならない……」
「……クオウに、諦めさせろと?」
「あやつが剣を鍛つのは、ジエン殿の為にございます。ワシが何を言っても無意味でしょう」
「……」
図星であった。ジエンは二の句を告げられなかった。
キイチの言葉は鍛冶の先達としての決断であると同時に、親心であったのだろう。
手遅れになる前に、せめて目の前の幸せだけでも掴んで欲しいと。
その想いを否定する言葉を、ジエンは持たなかった。
そして、もうひとつ。
ついぞ、ジエンはキイチに告げることのできない事実を胸に秘めていた。
薄明を振った時、その“本来の使い方”を自然と理解していたのだ。
ジエンの目には、胴体を横一文字に切断されたキイチの幻影が映っていた。
◇
御山の山中は変わらず鬱蒼としていて、地表近くに張り出した無数の根が足元を危うくしている。
クオウの鍛冶場は他の鍛冶師とは別の場所にあった。
幼い頃に、ジエンとクオウが隠れ家にしていた洞窟の近く。そこにひっそりと設けられていた。
「久しぶりだな、ジエン!! いつ帰ってきたんだ?」
数カ月ぶりに見たクオウはさして変わっているようには見えなかった。
後ろで括った髪も、緋色の作務衣も、炉の火で焼けた肌も、変わらず。強いて言えば少し頬がこけているか。
それでも、太陽のような溌剌とした笑みは記憶の中のそれと同じで、ジエンは思わず胸をなでおろしていた。
「ん、どうした?」
「いや……戻ったのは今しがただ。長いこと留守にしてすまなかったな」
「な、なんだその言い方は。まるで、オレたちが、その……夫婦みてえじゃねえか」
後半は途切れそうなほど小声で呟き、クオウは頬を赤らめた。
よかった。本当によかった。クオウは何も変わっていない。
ジエンは心底から安堵の息を吐いた。まだ手遅れにはなっていない。
――愚かにも、そう考えていたのだ、この時はまだ。
「すまぬ、クオウ。キイチ殿にこれを渡された」
ジエンは薄明を差し出して謝意を示した。
これまで、クオウは剣を鍛ったならば、まずジエンに見せてきた。
剣を鍛つことこそが彼女の愛情表現であったのだ。
「あっ!! あんのクソ親父。いつのまに持っていきやがった!!」
「あまり怒ってやるな。その、キイチ殿はおぬしが行き遅れるのを心配しておるのだ」
「余計なお世話だっ!!」
クオウはジエンの手から薄明を奪い取ると、そっと飾り棚に納めた。
その瞬間の、子を愛でるような慈しみ溢れる横顔を見て、ジエンは思わず目を逸らした。
彼女に嘘をついたのは生まれて初めてだった。
「――で、どうだ?」
それから、クオウは不安げな表情で、おずおずと出来を問うた。
改めて向き合うと、クオウの顔はジエンの胸元あたりにくる。
十の頃までは二人の目線は殆ど同じだった。
時の流れを感じてジエンは胸が痛んだ。
叶うならば、この場で抱きしめてやりたかった。
「そうだな……」
ジエンは一度目を閉じて激情を堪えると、つとめて柔らかな笑みを作った。
「素晴らしい出来だ」
「!!」
「ああ、だが、あまり言いふらしてくれるなよ。キイチ殿の大業物を真っ二つにしてしまったのだ」
「なっ!! なんでオレを呼ばないんだよ!! 見たかったのに!!」
「すまぬ。すまぬな」
肩を怒らせるクオウをどうどうと宥めながら、ジエンは話の切り出しに迷った。
もういい、と。そう一言言えば全てが終わるのに、迷ってしまった。
置いていった筈の夢が疼く。
それほどに、クオウの剣の出来は常軌を逸していた。
――剣士の心を掴んで離さぬほどに。
「……ここしばらく鍛冶場に籠っていたと聞くが、いくつ刀を鍛ったのだ?」
結局、ジエンが口にできたのはそんな当たり障りのないことだけであった。
だが、クオウはその言葉を待ち望んでいたかのように満面の笑みを浮かべた。
薄明を納めた時よりなお優しい手つきで、そっとジエンの手を取ると、鍛冶場の奥に案内した。
そこには無数の剣が飾られていた。
打刀があった。
太刀があった。
脇差があった。
小柄があった。
直刀や長巻、西方帝国のそれと思われる幅広の蛮刀まであった。
ジエンの記憶にある限り、それらは数か月前にはなかったものだ。
「な……この数をひとりで?」
「当然だ。オレは、オマエの剣を、誰かに任せたりはしない」
クオウはささやかな胸をこれ以上ないくらいに張って断言する。
有り得ない早さだ。
通常、どれだけ早めてもひと振りの刀を鍛つのに十日はかかる。それも、一度も工程を失敗しなかった場合だ。
しかし、この場には明らかに百近い数の刀剣がある。それぞれまったく違う種類の刀剣が。
数打ち札付きではない。それはジエンがその目で見て確信している。
キイチの言葉を借りれば、ひと振りひと振りが名刀を超えた妖刀の域にある。
それが、わかる。わかってしまう。
(これが、当代随一のキイチ殿ですら恐れた才能か……)
――わかるのです。あやつは決定的に道を違えた。
脳裡にキイチの言葉が木霊する。ジエンもまたその危惧を理解した。
クオウは明らかに人の踏み込んではならない領域に指を掛けている。
これ以上は危険だ。取り返しのつかなくなる前に、止めねばならない。
「クオウ――」
「もうすぐだ、ジエン。もうすぐ最高のひと振りが出来る」
そのとき、ジエンの言を遮って、クオウははっきりと告げた。
ぞくり、と男の背筋が粟立った。
絢爛たる名刀を超えた魔性の数々を前にして。
この天才鍛冶師は、これ以上があると言ったのだ。
「オマエにゃこいつらの使い方がわかるだろ?」
「ああ、何故だかわかる。随分と無茶な技を使わせる造りだ」
「――――“魔剣”だよ。こいつらは魔剣なんだ」
いつの間にか、クオウはジエンのすぐ傍にいた。
嗅ぎ慣れた、火と鉄と、微かな汗のにおいがふわりと香る。
クオウはそっと身を寄せ、耳元で囁くようにして告げる。
「こいつらはオマエの為に鍛った、オマエだけの魔剣だ」
「な、に……?」
「こいつらを使いこなせるのはオマエだけ。そんで、こいつらの先にオマエの為の最高のひと振りがある」
有り得ない。誰が何の為に鍛とうが、剣は物でしかない。
如何な剣も使い手次第。ただひとりにしか使いこなせない剣などある筈がない。
そう言おうとして、しかし、ジエンは言葉を発することができなかった。
吐息がかかるほど傍にあるクオウの顔は、夢見るようなあどけない表情だったのだ。
「やっと約束が果たせるよ、ジエン。
やっと――オレの剣で、オマエを天下無双の剣士にしてやれる」
「――――」
そんなことの為に。
そんなことの為に、おぬしは超えてはならぬ領域に踏み入ったのか。
自分はとうに諦めていたというのに。
幼い日の約束が、おぬしを狂わせてしまったのか。
悲嘆が喉まで出かかって、咄嗟にジエンはクオウを抱きしめていた。
「ちょ、ジエン!? ダメだって、まだ、ダメ……」
「すまぬ。少しだけ、今少しだけ……」
涙を見せてはならない。それはこの愛しき人を侮辱する。
ジエンはクオウを掻き抱くようにして己が表情を隠した。
心を鋼にしなければならない。
倒れかけた木を、鋼を楔にして保たなければならない。
あと少しの辛抱なのだ。あと少しで、クオウは納得する。それで彼女の業は終わる。
その後は自分次第だ。なんとなれば、ふたりで旅に出ても良い。
天下無双を目指し、国中の剣客に喧嘩を売って歩くのだ。
きっと痛快な旅になるだろう。
クオウが共にいるのなら、それも良い。クオウが共にいるのなら――
「――約束だ、クオウ」
ようやく抱擁を解いたジエンは、いまだ顔を真っ赤にしたままのクオウを見据える。
「最後のひと振りが出来たら、それがしはおぬしを娶る。ふたりで夢の続きを見にゆこう」
「ジエン……」
それはジエンが己が想いを口にした初めてのことであった。
驚いたように目を見開いたクオウは、しばしの放心の後――こくりと小さく頷くのであった。
◇
――魔剣とは“孤”である。
個にして孤、唯一にして孤独。
それに気付いたクオウは魔剣の鍛造においてひとつの呪いを混ぜ込んだ。
世に妖刀魔剣と呼ばれる刀剣たちは、はじめからそうであった訳ではない。
一般に、刀剣には兄弟刀や真打ち、影打ちがあり、その中で災禍に出くわした剣のみがそう呼ばれるようになったのだ。
ならば、鍛造された段階で災禍を背負っている剣ならばどうか。
それは、生まれついての魔剣であると言えるのではないか。
ゆえに、彼女が信仰するは魔王尊“サナト・クラーマ”。
明けの明星より飛来し、人々に知恵を与えたもう堕天の神。
生まれついての魔性であり、善なる神仏に討伐される宿命にある魔王神。
運命を以って決した真性の魔剣は彼の神の加護の下に生まれた。
この点、即物的ではあるが、クオウの信仰は本物であったのだろう。
しかし同時に、彼女は現実的な価値観を有する鍛冶師でもあった。
如何に呪いを込めて鍛とうが剣は物でしかない。使い手次第で良くも悪くもなる。
それでは駄目なのだ。
それでは、ただ己の才のみによって極みに至ろうとする男の剣たりえない。
ただの名刀では男の才に追随できない。
魔剣だ。魔剣でなければ、彼に追いつくことができない。
いつか、その日が来るまで、決して壊れることのない最高の魔剣でなければならないのだ。
でなければ、天下無双の剣士にふさわしくは、ない。
ゆえに、彼女は自らの命を賭した。
――魔剣とはなにか。
魔剣。折れず、曲がらず、決して鈍ることのない究極の剣。
魔剣。合理と条理を外れ、人間の限界を超越した窮極の剣。
では、今代において魔剣を生み出したものはなにか。
――それは、ひとりの女の狂気である。




