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63話

                   10

「おお、ようやく元気になってくれたか・・・。

 そ・・・それに剣の下げ方が変わっている・・・。


 い・・・いや良いんだ、ミリンダちゃんがハル君を元気にさせようと、映画を選んでいたのは知っている。

 その中にあったのかな?忍者ものか何かの映画を見たのかな?

 大丈夫、大丈夫。すごく似合ってカッコいいよ、その剣の下げ方。」


 教室へ入って来たジミーが、背中に剣を担いだまま席についているハルの姿に驚いて、思わず口をついて出そうになった言葉を飲み込み、何とか言い繕おうと必死な様子だ。

 なにせ、また機嫌を損なって不登校となってしまっては元も子もないので、腫物を触る様に。


「こ・・・これは・・・仕方がないんです。

 腰から下げようとしたら、剣が成長したらしくって、そのままでは長くて引きずってしまいます。

 仕方がないので、背負う事にしました。


 もし、授業に支障があるのであれば、今後は家に置いてきますけど・・・。」

 ハルは、申し訳なさそうに上目づかいでジミーを見上げた。


「い・・・いいよ、問題ない。

 元々腰から下げていた剣が伸びたから、背中に背負うって普通の事だよねえ。

 大丈夫です、その格好で普通に登校できます。」

 ジミーは、少し引きつったような顔をしながらも、何とか答えた。


「そんなの、普通の訳ないじゃない。

 大体、剣が伸びるってどういう事よ。


 それに、あたしが見せた映画は、吸血鬼ものとゾンビもので、忍者なんか出てこなかったわよ。」

 ハルの隣の席で、頬杖をついたままのミリンダが、渋い顔をしながら呟いた。


「そ・・・そうか・・・そうだよね、剣が伸びる訳ないものね。

 い・・・一体どうしちゃったのかな・・・?」

 ジミーは、少し慌てふためきながら、心配そうにハルの方を見た。


「今回の事で、僕が成長したって剣の精のおじさんが言っていて、僕が成長すると剣も成長するらしいのです。

 今までも十分な長さがあったけど、更に長くなったんだって言っていました。」

 ハルは、そんなジミーの様子を不思議に感じながらも、申し訳なさそうに答えた。


「へえ、やっぱり剣が成長するんだ。

 そのまま成長し続けたら、いずれは2メートルを超えて、手では持てなくなったりしてって、さすがにそんなことはないか・・・・。

 ふうん、ハル君は成長したんだなあ・・・って・・・・

 という事は、魔法も使える様に・・・?」

 ジミーが、今度はハルの顔を上方から覗き込むように眺める。


「はい、もう大丈夫です。」

 ハルが、手のひらを上に向けて翳すと、掌の上に小さな炎が現れた。

 小さいが白く光り輝いていて、高貴な感じがする炎だ。


「えーっ?ハルは、何も言わずに、心の中で念じるだけで魔法ができる様になったの?」

 それを見たミリンダが、驚いたように叫んだ。


「うん、なんとなく出来るかなあって思ったので、やってみたら出来ちゃった。えへへ。

 でも、多分簡単な初級魔法だけだよ。」

 ハルは、右手の平の上に炎を浮かべたまま、左手で後頭部を恥ずかしそうに掻いた。


「そんな・・・、初級だけだってたいしたものよ。

 ミッテランおばさんだって、初級魔法と中級魔法の一部しか念じるだけではできないもの・・・。


 あたしも、頑張ろうっと・・・。」

 ミリンダが、いつになく真剣な眼差しで、ハルを見つめている。


「それはそうと、その剣の精のおじさんと言うのと話した様子だけど、いつでも連絡が取れるのかい?」

 ジミーが、そんなハルに対して問いかける。


「はい、必要な時に呼べば出てくるって言っていました。」

 ハルは、いつものように元気に答える。


「じゃあ、授業が終わってからでいいけど、剣の精を呼び出して、今回の鬼の玉の事を聞いておいてくれないか?

 鬼の玉が死んだ人に乗り移って、神獣を作らせようとしているという事は判った。


 しかし、その目的も分からなければ、鬼たちの正体も分からない。

 大体、鬼っていうのは何なのだろう?

 竜の化身のような、魔物の一種なのか?


 だったら、それなりの対処の仕方もあるように考えるけど・・・。

 でも、魔法は全く効かないし、マシンガンのような物理攻撃もだめだ。

 竜神は、なぜかは判らないけど、鬼に直接攻撃を仕掛けようとはしない。


 ハル君が持っている鬼封じの剣を使えばいいことは判ったけど、残り3体の鬼にまとまって襲い掛かられたら、これまでのようにはいかないだろう。

 どうして神獣を作ろうとしているのかという事と、過去にあった戦い、つまり鬼の玉を封印して沼の底にあった洞窟に沈めた時のことだけど、どうやって鬼たちを退治したのかを聞いて欲しい。


 竜神は、少しは知っているようなことを言っていたけど頼りないし、何よりも鬼を封印した当事者だから、一番詳しいはずだ。

 その方法を聞けば、我々にだって出来る事があるかもしれない。

 ハル君だけにすべてを背負わせるわけには行かないし、作戦を立てるためにもお願いするよ。」


 ジミーは何とか少しでも情報を得ようと、必死で考えている様子だ。

 ある程度でも背景が分ってくれば、仙台の所長と相談して作戦を立てられるかもしれないのだ。


「分りました。」

 ハルも頷く。


「授業なんかいいから、急ぎだし先に確認した方がいいんじゃない?

 ハルが元気になったお祝いもしなければならないし・・・。」

 ミリンダが、勢いよく立ち上がる。


「だめだ、まずは授業だ。

 ここの所、ゴローさんはいないし、ハル君もいなかったしで、大分遅れが出ています。

 このままじゃあ、2学期が終れなくて、冬休みは来ないぞ。」


「えーっ?

 だめだめ、冬休みは絶対に必要よ。

 ミッテランおばさんに特訓してもらうんだから・・・。」

 ミリンダはそう言うと、すごすごと席に着いた。


「じゃあ、授業を始めます。

 まずは、国語の授業だ・・・。」

 久しぶりの、まともな授業が始まった。

 当分は、時間割よりも長く授業をして、遅れを解消するつもりでいるようだ。



「剣の精のおじさん、出てきて。」

 学校が終わって、家へ帰ってきたハルは、自室で剣を抜いてそれに向かって語りかけた。


(おお、俺様に色々と聞きたいことがあるようだな。)

 ハルの頭の中で、いつもの声が響き渡る。


「へえ、分るんだ、聞きたいこと・・・。」

 ハルは、興味深そうに、微笑んだ。


(そりゃ分るさ、剣士とは一心同体だからな。

 離れていては無理だけど、帯刀さえしていれば、その時にあったことは俺様を抜かなくても、分るのさ。


 だがまあ、話をするときは俺様を抜いてくれた方がいい。

 ただ、何もない空間に向かって呟いているってえ姿は、不気味だろ?傍から見たら。

 せめて、抜身の剣に向かって囁いているほうが、様になるってえもんだ。)


「ふーん、いいよ、今度からも抜いてから話しかけるから。

 それよりも、質問の内容が分っているんなら、答えてよ。」


 ハルは返事を急がせる。

 もうすぐ、夕食の時間なのだ。


(ああ、じゃあ一つずつ答えるな。

 まずは、鬼の正体・・・これは俺様にも分らない。

 あと、鬼の目的・・・これも俺様には分らない。


 なにせ、俺様よりもはるかに前から存在している奴らの様子だからな。

 俺様は、奴らを倒そうとして散って行った、人間の執念から生まれた存在だと思っている。

 だから、奴らの正体も存在理由も分からなくても、奴らを感じることが出来る。


 なぜかは判らないが、活動を始めた奴らを嗅ぎつけて、そこへと導くことが出来る。

 それが、俺様の役目だと思っている。)


「えーっ?そんなんじゃあ、答えになっていないじゃない。」

 ハルは、頭の中の声に向かって不満をぶつける。


(まあまあ、もったいぶっている訳でも何でもない、本当の事だから勘弁してくれ。

 分る事にはちゃんと答えるよ。


 前回鬼たちを封印した時は、鬼たちは5体でそのうちの1体は手負いだった。

 一番大きな鬼がいるはずだったが、なぜかそいつは鬼の体を持ってはいなかった。

 だから封印できたのかもしれないが、それでも手ごわかったぞ。)


「ふーん、強かったんだ。

 じゃあ、一番大きな鬼が加わっていたら、危なかったね。」


(ああ、そうだろうな。

 なにせ、あの時だって、大陸から渡来してきたのは、徳の高い坊さんが十数人と、俺様が選んだ剣士が一人。

 加えて、この国の徳の高い坊さんがやはり十人ほどと、後は武士が千人ほどで総がかりだった。


 中には、先祖代々伝わるっていう名刀を携えた腕自慢がうじゃうじゃいたが、それでも、奴らの動きを一時だけ留めるのがやっとだった。

 一塊で行動していた奴らを、何とか引き離して、一体ずつにして俺様が封印していったのさ。

 そうしてようやく5体の鬼を封印して、大きな玉も加えて封印の箱に詰めたという訳。


 その後は、俺様には判らなかったが、俺様と共に葛籠は沼の底に沈められたというようだな。

 それから、どれくらいの時が流れたのかは、俺様には判らない。

 多分、人間側の生き残りはいなかったような・・・俺の主も、最後の奴を封印したところで命が尽きてしまったしな。ぎりぎりの戦いだった。


 いや、居たか・・・血を吸うやつだったかな。

 そいつの指示で、近くの村人たちが封印の儀式を執り行ったんだが、おそらく葛籠に詰めて沼に沈めたのも、そいつの指示だったろう。

 多分、徳の高いという坊さん連中に、封印の方法や封印後の処置の仕方なども、教わっていたのだろうと思う。)


「血を吸うって、吸血鬼?

 ゴローさんの親せきかな?」

 ハルの表情が一瞬明るくなった。


(いや、俺様は良くは知らない。

 なにせ、剣士とは別行動していた奴だったからな。


 単に噂で、血を吸っただの不老不死の体をしているだのと聞いただけだ。

 当時は、ちょっと体が丈夫な人間を、そう言って讃える風潮もあったからな。

 何千人もの死者を出した、流行病の生き残りとかね。


 やれ、人魚の肉を食っただの、比丘尼からもらった薬を飲んだだの・・・不死になるには色々な言い伝えがあってなあ、血を吸うっていうのもそう言った類の話だと思うよ。

 そんな不死身と言われる奴らなんかも駆り出されて、奴らとの戦いに挑んだわけよ。


 それなりに大掛かりな戦いだったから、その地では戦いの事が言い伝えられていたのかもしれないぞ。

 まあ、その後の大戦とやらで、そういった言い伝えも途切れてしまったのだろうがね。)

 頭の中の声は、淡々と答える。


(でも・・・、ゴローさんと言うのは坊やのクラスメイトのゴローさんか?

 そう言えばゴという名には、なんか覚えが・・・いや・・・なんでもない、忘れてくれ。)


「大変だったんだね、でも、千人も戦える人・・・居ないよ。

 今度は、こちらから米軍にお願いすることになりそうだね。


 それと、徳の高いお坊さん?

 そんな人知らないし、それに、先祖代々伝わる名刀って・・・、多分戦争で全部燃えちゃっているよ。

 どうするのー。」

 ハルは、1人不安そうに唸る。


(まあまあ、大丈夫だって。

 大体、坊やは魔法が使えるし、この前の力だけの剣士よりは少しだけだけどましだ。


 それに、こっちには竜神もついている。

 それだけでも百人力だ。

 魔法が使えそうな人間も、何人かいるようだし、魔物だってどうしてかは知らないが坊やたちの味方だろ?

 奴らは結構な戦力になる。


 他にも神獣が欲しいところだが・・・、贅沢を言っても切りがない。

 何とかするさ・・・。)

 頭の中の声は、意外と冷静に答えてきた。


「でも、いくら竜神様が百人力でも、あと9百人足りない・・・。

 後は、トン吉さんたち・・・?」

 ハルは力なく呟いた。



「ふーん、そうか。鬼たちの正体や目的は判らなかったか。

 でも、それなりの事情は聴けて、ある程度の収穫はあったようだね。」


 翌日の、朝会の席でハルはジミーに、昨日の晩に剣の精から聞いた話を報告したのだ。

 丁度、タイミングよくゴローも復活して登校してきた。


 いきさつを知らないゴローは、ハルの話に最初のうちは付いて行けないでいたが、その都度ミリンダが北の村での出来事などを簡単に説明してあげ、ようやく話の大まかな内容が分ってきた様子だ。


「でも結局、相手の事情も、封印した時の戦い方だって、詳しくは教えてくれませんでした。

 ただ、お坊さんたちや武士たちの人数を言っただけで、よくは判りませんでした。」

 ハルは、不満そうに頬を膨らませながら、呟くように語った。


「まあ、総がかりで相手を分断させて、1体ずつ封印していくというのが、主な戦法だったのだろうね。

 多分、前回の戦いのときは、5体の鬼と1度に戦う破目になったのだろう。


 もう1体の鬼が鬼の体を持ってはいなかった経緯はわからないが、それでも5体の鬼と戦うという困難さが、なんとなく想像できる。

 九州の戦いでも、仙台近郊の北の村での戦いのときも、相手は1体ずつだったからね。


 だから、意外と簡単に・・・まあそう簡単でもなかったけど・・・被害が少なく退治できたのだと考える。

 残りが3体なのか、前回参加していなかった大きな玉の鬼も含めて4体なのかはわからないが、それらが1同に会した場合は、相当に厳しい戦いになると想像できるね。」

 ジミーは腕を組みながら、難しい顔をした。


「そうですね、次の戦いに備えて、ある程度は戦える人を募る必要があると思います。

 千人は無理としても・・・・。」

 ハルも、同じく腕を組む。


「でも、魔物たちを加えたとしても、トン吉たちの仲間は百匹程よ。

 かなり魔力が強い魔物ばかりではあるようだけど、レオンみたいに戦いには役に立たないのもいるし、トン吉レベルの強さに絞ると、この間北の村に出向いた時に選別した20匹くらいになってしまうわね。


 あと、お坊さんになんか知り合いはいないわよ。

 ここじゃあ、お葬式のときだって、長老連が集まって、お経をあげる程度だからね。


 まさか、うちのおじいさんを連れて行く訳にはいかないでしょ?

 足手まといになることはあっても、戦いのときの役に立つことなんか一つもないわよ。」

 ミリンダも、頬杖をつきながら呟いた。


「うーん、仙台市にはそれなりにお坊さんの役割をしている人もいるんだけど、徳の高さなんかはどうかなあ。

 あくまでも、お葬式やお墓参りの時に経をあげる程度だからなあ。


 でも、魔物に関してだったら、魔物収容所に居る魔物たちの中からも選りすぐることが出来るんじゃないかな。

 彼らも、魔封じのネックレスなしでも、協力的な事は前回分ったし・・・まあトン吉さんたちの説得も良かったんだろうけどね。


 彼らの中から強い魔物を選ぶのは、いい考えだと思うよ。」

 ジミーは、少し明るい口調で答えた。


「そうと決まれば、早速トン吉を収容所に連れて行きましょ。」

 ミリンダは勢いよく立ち上がると、教室を出ようとした。


「だめだよ、まずは授業だ。

 今日の放課後にでも、トン吉さんを連れて所長の所へ行こう。


 魔物の選定には時間がかかるだろうから、トン吉さんには申し訳ないが、収容所で何日か過ごしてもらって、強い魔物を選んでもらおう。」

 ジミーに促されて、ミリンダは渋々席へと戻っていった。



「こちら仙台市に来ているジミーです。聞こえますか?どうぞ。」

 仙台市の近代科学研究所の無線室で、ジミーがマイクに向かって話しかけている。


 トン吉は既に収容所に置いて来ていて、ハルたちが仙台市に寄ったついでに所長の所を訪ねてきたのである。

 ジミーが思うところがあると言うので、所長ともども無線室にやって来たのであった。


「はい、こちらガガガ・・部の村です。ガガ

 感度良好です。こちらも村の名前をつけま・・・ガガ、中部で山奥だし飛騨とかですかね。ガガガうぞ。」


 冗談めいた通信をしてくるのは、中部の村の瑞葉の父親だ。

 先日の鬼封じの剣の事件以来、村で緊急事態が発生した時の為に、無線機を置いてきたのであった。

 その通信状態の確認も兼ねて、連絡をしてみたのである。


「少し、質問があるのですが、よろしいですかね。どうぞ。」

「はい、今は村の主だった面々ガガガ・・・に居ます。

 この村での事であれば、答えらガガガ・・・考えます。どうぞ。」


「最初の玉が消えたのは、竜神騒ぎから2週間後と言う事でしたので、4月の中旬から下旬にかけての事だと思いますが、間違いはないでしょうか?どうぞ。」

「ガガガ・・・い、そのとおりです。間違いありません。」

 少し間をおいて、若い女性の声がした。

 恐らく、最初に葛籠を開けた桔梗の声だろう。


「では、次に2番目の玉が無くなったのはいつの事か分りますか?どうぞ。」

「・・・・」

「は・・・ガガガ・・はい・・・6月ごろだったと思います。」

 暫く時間がかかったが、別の若い女性の返事がした。

 この声には聞き覚えがある、瑞葉と言う娘の声だ。


「6月?ガガガ・・・」

「そう、ガガガ・・・たしも、桔梗同様にお腹が空いて、葛籠を見つけて開けてみたの。

 そうしたらガガガ・・・まがあるじゃない。


 板の穴の数から考えて、1つ減っていたから、誰かが持ち帰ったんだろうと思って、ガガ・・も座敷牢へ持って行って、桔梗に隠れて眺めていたの。

 でも、1日で無くなったわ。まさか、桔梗には聞けないし・・・ガガガ。」


「わしらが見つけた時に、玉は最初は5つつあったとガガガ・・・言っていたが・・・。」

「ガガ・・それ、あたし・・・。」

 無線機の向こう側での話し声が聞こえてくる。

 どうやら、食いしん坊はずいぶんと目ざとい様子だ。


「最初の玉が消えたのは4月下旬で、九州でのクーデターとも言える事件が発生したのは、恐らく9月ごろ。

 西日本の都市に、とんでもない要求が来て、それを鎮圧する為に米軍が向かって行って返り討ちに会い、それから我々の所に協力要請に来たのが10月の始めの事から辿って、それほどの誤差はないと思える。


 次の玉が消えたのは6月ごろで、先の北の村での事件が起きたのは、10月の中旬すぎと言う事になる。

 3つ目以降の玉が無くなったのは、いつごろか覚えていますか?どうぞ。」


「そうか、玉が消えてから事件が発生するまでに、およそ4ヶ月から5ヶ月間掛かっているという事か。

 それが憑りつく相手を探している期間なのか、それとも別の事情があるのかはわからんが、次の事件までのおおよその見当はつくわけだ。」

 所長は、ジミーたちの会話を聞いていて、ジミーの考えが分って来たようだ。


「本当にガガガ・・つい先日の事です。ガガ・・・。

 9月の最終週から、10月の最初のガガ・・に掛けての事でした。

 3つの玉共に、数日間のガガガ・・・に消えました。どうぞ。」

 

「そうだとすると、次の事件は早くても来年の1月下旬、恐らくは2月ごろになると予想されるな。」

 所長は大きく頷きながら、ジミーの顔を見た。

 その場に居る誰もが、迫りくる決戦の時の足音が聞こえてくるような気がした。



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