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捕獲

3人の眼に飛び込んできた映像を理解するまで、

少し時間がかかった。


「J、これは…どういうことだ?」


ユキもぽかんと口を開けた。


「これおかしいよね、だって、J君の作った時計では、

後1時間でダウンロード完了するのに、オルタナのリミットは59分になってるよ?

さっきは10分以上余裕があったのに…」


Jは黙っていた。


「おかしいですね、こんなはずはありません。とりあえず、今の計画を進めましょう。

まだ余裕はあるはずです」


3人の中に次第に不穏な空気が流れ始めた。


徐々に時間は過ぎていき、Jのダウンロードのやりくりのお陰で、時間を稼ぎ、

Jの時計はが残り50分を表示したとき、

オルタナのリミットは52分だった。


「良かった、また少し余裕が出来たわ。」


たちまちユキの心情を表したハート型のサイコモニターはその拍動を緩めた。


その直後だった


「ピコーン」


一瞬にして、オルタナのリミットが「45分」となった。


「おい、J、これどういうことだ?」

「分かりません、どう考えてもオルタナのリミットを短縮するなんてことは

通常あり得ません。ついに主も本気を出してきたようですね」


ユキは眼を大きく見開いた。

たちまちサイコモニターは赤く燃え上がり、

その拍動は早くなった。


「J君、良く落ち着いていられるね! このままじゃ私たち死んでしまうわ…

一体どうしたら良いっていうの…?」


Jは黙って作業を始めた。


「仕方ありません、やるしかありません。

主のリミット削減が勝つか、それとも私たちのダウンロードのスピードが勝つか、

最後の勝負です」


ケンイチの額に汗が落ちた。

この戦いに負けたら、本当に終わる。

こんなところで終わってたまるか…ケンイチは目の前のキーボードを見つめながら、

必死でダウンロードを進めていった。


何とかダウンロードのスピードが上回る。


「ケンイチ、ほら、このまま行けば大丈夫だよ、今私たちが勝ってる」


そんなユキのセリフの直後に再び、


「ピコーン」


その無機質な音に、一同顔を上げると、


「あぁ、まただわ…どうしよう、もうダメだ…」


Jの時計は12分、オルタナリミットは先ほどまで15分だったのが

突如10分まで短縮された。


突如部屋は暗くなり、ぎらぎらした黄色い警報ランプが回り始めた。

そして、機械的なアナウンスが無情にも流れ始める。


「ターンオフリミットまで、10分を切りました。

 直ちにオルタナから離脱してください。ただちに離脱してください」


さすがのJにも焦りの表情が見え始めた。

「ケンイチ…もうダメだ…私たちあのウルフみたいに電流が流されるんだ」


そんな中、ケンイチはある一点を見つめていた。


「………」



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