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招かれざる客

助かる方法は3つある、その言葉に安堵した二人だったが……。

「助かる方法は3つあります」


その意外な言葉に二人はあっけにとられた。


「本当に? じゃあ私たち助かるのね? 」

やったー、わーい、と喜ぶユキをよそに

ケンイチだけは、ただじっとその先の言葉を待っていた。


「脱出方法をお話する前に……もう一人の人物を起こさないといけないようですね」

「もう一人? 」

「そうです。……ほら、ウルフ。そろそろ寝たふりは止めてください。もう全部お見通しですよ」


ケンイチとユキは目を合わせた。

そしてゆっくりとケンイチの背後にいた「オオカミ」に目をやった。


「おいJ、ウルフってこいつのことか? 」

「そうです。彼はずっとあなたたちの事をつけていて、あわよくば何か盗ろうとしていた、いわゆるどうしようもない『ぬすっと』ですよ」


それでもオオカミは動かなかった。

しかししばらくすると、その目がパッチリと開いた。


「あ! オオカミの目が開いた」


それから低いガラガラ声で、その「ウルフ」と呼ばれたオオカミは口を開いた。


「見つかっちまったんならしょうがねぇ。」

「お前、俺らのプログラムに侵入してたのか? いつからだ? 」

「そんなに、あんたらがログインして、いちゃいちゃしてた時からずっとだよ。決まってんだろ。あぁ、もうちっとでお前さんのレアアクセサリーをいただいて、高く売れるところだったのによ」


変な違和感はスティールバグだけでなく、こんなやつも自分のプログラムを狙ってたのか、

ケンイチはやっとその事にも気づいた。


「おいJ、もしかしてこいつが原因で俺らはこんなクラッシュに捕まったのか? 」

Jは首を振った。

「いえ、このウルフはチンピラです。こいつにこんな大それたことをする能力は無いでしょう。クラッシュを抜け出した後にでもサイバーポリスにつれてって、オルタナから永久追放してやりましょう。それより……」


Jは一つニヤリと笑みを浮かべた。


「こいつのお陰で、僕たちはアドバンテージがあるんです。今回はうまく利用することができます。」

「利用? 」


「はい、ではそろそろ1つめの脱出方法の説明をいたしましょう。」


その淡々と理論的に事実のみを話す話し方はJ独特のものだった。

こうして招かれざる客「ウルフ」を含めた3人は一つ目の脱出方法の説明に耳を傾けたのだった。



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