86.閑話 とあるお茶会 5
遠いところのお茶会、その5。かなり短めですが。
登場人物紹介その8と連続投稿していますのでご注意ください。
「アレス兄さま。少しお聞きしたいことがあるのですが」
「ん?ナーシャか。言うてみよ」
久しぶりに兄妹二人きりのお茶会になったナーシャは兄弟姉妹の兄であるアレスに気になっていたことを聞いてみることにした。
「愛し子の周囲に次々とあっちの世界から魂がきているのですが」
「あぁ、そうだな」
「葉月がこちらに来る際に兄さまが葉月に伝えた言葉、あれは真実なのですか?」
アレスは少し考えてから口を開く。
「真実、ではあるが絶対ではないな」
「兄さまに出来ないのであれば私にも無理だとは思うのですが」
「お前の力量であれば不可能ではないが、残念ながらお前はあちらを識らぬからの」
「では絶対ではないとは……まさか」
アレスは無言のままカップに注がれている紅茶を優雅に飲み干すと自分で再びカップに紅茶を淹れてテーブルに置く。
「ナーシャ。お前がエンシェの生娘に執着を抱くようになった理由はまだ、覚えておるか?」
「…………えぇ、忘れるわけがありませんもの」
「そうか。…………そうだな。流浪の娘が幸せを手に入れるとき“真実”の一部は明かされるだろうよ」
「そうですか…………ではそれまでの間、私なりに与えられた“箱庭”を守るとします」
「うむ。真面目に務めを果たしているのであれば少し考えておこう」
「やった!!」
次話より季節は冬へと向かいます。




