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Geister Kontinent   精霊大陸での日常  作者: うぃんてる
第一部 賢者の学院編
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59.閑話 12月24日 三人のクリスマス

記念日シリーズその6です。

『葉月ちゃん、愛ちゃん。こんな日くらい家族やお友達と過ごしたらいいのに……ごめんね』

「こーら、またそうやって謝る。燐ちゃんの悪いクセだよ?」

「葉月ちゃんの言うとおりだよ。私たちは燐ちゃんとクリスマスの夜を過ごしたくて来ているんだよ?」


 中学生最後の年のクリスマス。私はこじらせた風邪こそ治ったもののお医者様から床上げの許可が貰えなくて本来であれば学園で行われている聖夜祭に参加することが出来ずにいた。


『うぅぅ、だって葉月ちゃんも愛ちゃんも今年のダンスパーティーで素敵な彼氏見つけるんだって言っていたから』

「そりゃ言っていたけど、私たち三人一緒じゃないと意味無いもの」

「そーそー。私と葉月ちゃんの夢はね、燐ちゃんも彼氏見つけてトリプルデートする事なんだから」

『……いつも気に掛けてくれて、ありがとう』


 私のお部屋に運ばれてきた園樹家の料理人さんたち自慢のクリスマス料理と見事なケーキたちは私の寝ているベッドの側にセッティングされたテーブルの上に所狭しと並んでいる。今夜は二人とも泊まっていくのだというのでたくさん食べてお喋りして楽しい夜にしたいと思う。


「さ、せっかくのお料理が冷めちゃうから食べようよ燐ちゃん、愛ちゃん」

「そだね、お父さんたちも向こうの広間で楽しんで居るみたいだしさ」

『うん。それじゃあ……乾杯』

「「乾杯」」


 隣室にある広間からは園樹の家に関係する守護一族や使用人さんたちの家族までもが招待されて思い思いにクリスマスの夜を満喫しているようで、分厚い壁を通して楽しそうな談笑や小さな子供達のはしゃぎ声が漏れ聞こえてくる。今年も何とか生きて来れた。来年は高等部に進級する。また今夜みたいにみんなと過ごせればいいのだけれど…………。


『来年は中等部を卒業して高等部に行くのよね。また三人一緒のクラスになれたらいいなぁ』

「大丈夫だよ、きっと。なんとかなるって」

「本当にもう、愛ちゃんは楽観的すぎ。……と言いたいところだけれども、真理お姉ちゃんが大丈夫って仰ってましたから大丈夫でしょうね」

『真理さんが?……そう言えば真理さんは今夜は来てないの?』

「あー……お姉ちゃんは神域用の特殊な破魔矢の最終チェックで今年は来れそうに無いって……」

『そうなんだ……』


 それからこれまでの中等部の思い出話に花を咲かせて料理や飲み物を平らげる頃には夜も更け私もベッドに戻って寝るような時間になってしまった。このまま二人と別れて別々に寝るのは少々寂しいけれども、私のベッドにみんなで寝るには少しだけ厳しい気がして言い出せずにいた。


「燐ちゃん、今夜は一緒に寝ていい?」

「今、お父さん達がもう一つベッドを持ってきてくれるって言っていたからさ、いいでしょ?」

『う、うん。でも……いいの?一応……私、病人だよ?』

「いいのいいの。大丈夫、二人でしっかり燐ちゃんのこと抱きしめて温めてあげるから」

「せっかく同じ屋根の下なんだから。それに風邪はもう治ったんでしょう?なら大丈夫よ」

『ありがとう。嬉しい……二人とも大好きだよ』


***


「あの時はさ、生まれ変わってもまた三人で~……なんて言ってしまっていたのだけれども」

『あはは……まさか本当に三人でこの日を迎えられるなんて思いもしなかったよねぇ?』

「本当にね。燐ちゃんと愛ちゃんは異世界転生で、私は異世界トリップ。ほんと、笑うしかないよね」


 こちら側の世界にも様式や内容は違っても同じ日に祝い事をする風習はあって、王都ラドルの街中は華やかに飾り立てられた街路樹が雰囲気を醸し出し、家族連れや恋人達が思い思いに楽しんでいる。もちろん今年カップルになったばかりのエレンとリリーちゃんもおめかししてデートに出かけて行ったのを先ほど三人で見送ったばかりだ。

 今夜は屋敷に親しい人々を招いての聖夜を祝うパーティーが開かれる。その為にこれから私たち三人でお母さんと侍女さんたちの仕込みを手伝うつもりで居る。今年は招待客が多いからたくさん料理を作らなくちゃいけないしね。


『さ、今夜の為にお手伝いにいきましょう?』

「そうだね。頑張らなくちゃね?」

「あー……でも私、お料理苦手だよ?葉月ちゃん、ウィンちゃん」

「大丈夫よ、しっかり教えてあげるから。いつかアイシャちゃんの手料理食べたいから頑張って?」

「あ、うん。そうだね……頑張るよ」

『ふふっ……じゃあ行きましょうか。今夜の素敵な思い出づくりのために』

「「うんっ」」

『それから、今夜もあの頃みたいに……一緒に寝てくれる?』

「「もちろん!」」

『ありがとう。楽しみ……♪』

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