36.閑話 とあるお茶会 3
とおいところのお茶会その3。
最終改稿日2015/04/12
「げっ!?誰だよせっかくリン・エンシェが苦労して封印したアレの封印破ったバカは!!」
「ど、どうしたの急にお兄ちゃん。それにアレって?」
久しぶりに兄妹水入らずでのんびりとお茶を飲んでいたのだが、突然何か異変を察知したアルカイトが怒りを顕に叫び立ち上がる。
「史上最低最悪最凶のバンパイアロードでユールシア地方の海岸付近に根城をもつ、シルフィニアス・セレニアスという名の高等ルーン・マスターだ」
「え。何そのチート」
「そして、こいつの最悪さは類を見なくてな。ゲートで無理矢理世界のあらゆる場所へ出現しては目についた美少女をゲートに引き込み攫ってコレクションにするんだよ……」
「ひどい!なにそれ!最低じゃない!」
と、ふとエリスがあることに気が付く。
「えーと、もしかしてあの異世界の女の子も攫われた……とか?」
「……否定は出来ないな。だが、普段なら世界を跨ぐ事は出来ない。姉貴が許さないからな。恐らく今対処に行っている事案で意識が薄れた隙を偶然突かれたのだろう」
「じゃあ次の被害者は出ないという認識でいいの?お兄ちゃん」
「恐らく、な。だが……リリーといったか?お前の寵愛している子」
「うん」
「今のうちに、攫われないように結界か加護か、とにかく対策しとけ。ファリスとか姉貴とか、他の奴らにも警告だしとけ。お兄ちゃんは下界に緊急討伐の神託出してくるからな」
「うん、分かった。ありがとう、お兄ちゃん」
「とにかく油断はするな。あのリン・エンシェだって最初は攫われたんだからな?」
「……え」
と、空間が揺らぎ汗だくに疲れ切ったナーシャが帰ってきた。
「ただいま。何かあったの?」
「姉貴、アイツの封印をどこかのアホが破って、バンパイアロード、シルフィニアスが復活したあげく、どうも姉貴が邪神と格闘している隙に異世界から女の子一人攫いやがった!」
「はぁぁぁあああああ?!」
「幸いその子は姉貴の加護してるウィンテルが奪還したが…………」
「分かったわ。取り敢えず一部地域の空間移動を封鎖しておく。そしてサーレントに神託だして。シルフィニアスを滅するか再封印するように、と」
頼んだわよ?と言い放つナーシャの目は笑っていなかった。
「私たちの子たちに手を出したら神罰食らわせてやる…………くすくすくす、くすくすくす、くすくすくす…………」
「やばい、姉貴が本気で怒ってる。今の状態で神罰やらせたらあそこらへん、ギルドギダンになるぞ」
「取り敢えずお兄ちゃん、サーレントさんに伝えてきて。私はお姉ちゃんが暴走しないように抑えるからっ!」
いつの間にか吹き荒れ始めた吹雪がナーシャを中心に勢いを増して行き、エリスはそんなナーシャを何とか落ち着かせようと必死に宥めているのだった。
ある意味世界壊滅の危機到来。すべては冒険者を束ねるサーレントに神々から託されることになった。有無を言わさず。




