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Geister Kontinent   精霊大陸での日常  作者: うぃんてる
第一部 賢者の学院編
13/234

10.きっかけは小さな勇気

今回はいつもより長めです。また人によっては不快に思える暴力シーンがありますので前もってお詫び致します。申し訳ありません。


最終改稿2014/08/25

 この世界の時間や月日の数え方は前世である異世界日本と何故か同じだった。あの王立地下図書館での歪みによる大規模事故発生から既に一ヶ月が経ち、私は既に職場である王立地下図書館一階フロアの受付にて同僚で一つ年上の先輩司書さんであるマリアさんと軽く雑談をしながら王都市民への図書貸し出し対応をしていた。

 王立地下図書館は地下10階までは安全が確保されていて、王都の一般市民に貸し出しても構わないと認定された様々なジャンルの図書が収められている。地下11階以降は基本的に先日のような歪みによる魔物との遭遇事故がいつ発生してもおかしくない状況のため、図書館と契約した冒険者たちによる探索隊か、隣接する賢者の学院関係者、若しくは図書館長の許可を得たもの以外の立ち入りは基本的に禁止されている。

 また、地下10階と地下11階を繋ぐ階段部分の境界にはダナン帝国時代に設置されたと見られる強力な封印結界が施され、許可された人間以外の通過を拒むようになってはいるものの、さすがに強大な力を誇る魔物や精霊、竜種などには耐えられない可能性が高い。おそらく結界そのものを強化できる術はあるのだろうけれど現時点では見つかっていない。…………ここの地下深くに眠っているのかも知れないが定かではないのだし。今のところ有効な手段は単純だ。倒せる相手なら倒して、無理なら出てきた歪みに押し返して撃退する。だから王立地下図書館の司書はそれぞれの分野に秀でている冒険者しかなれないのだ。本当にこの王立地下図書館は成り立ちを含めて謎が多すぎるよ…………。


「ウィンちゃん、どうしたの?またぼーっとして。いくら暇な時間帯でも業務中は気を抜いちゃダメよ?」

「あ……すみません。マリアさん。気を付けます……」


 考え込みすぎて怒られてしまった。いけない、いけない。今日もたくさんの市民が本を借りに来ている。100年くらい前に始まった王家と賢者の学院による一般市民の子息対象の基礎教育及び職業訓練を義務づける施策は当初、当事者を含めて効果に懐疑的な人々の方が多かったのだけれども、今となっては昔よりも生活のレベルが上がったり、職業に選択肢の幅が広がったりと、当時の王様…………というか、未だに陛下でもあるのだけれど敬服するしかないと思う。他国の状況は分からないけれど、この国の識字率はほぼ100%に近い状況だというのは驚くべき事だと思う。


「…………はぁ……。もうしょうがないわね。お茶にしましょうか?ウィンちゃん」

「え?……あ…………。ご、ごめんなさいっっ」

「いったいどうしたの?今日は。身体が丈夫じゃないのは知っているけれども、それにしてもいつもにも増して今日はぼーっとしてるじゃない。何か心配事でもあるの?」

「……いえ。そういうわけじゃなくて…………この地下図書館の成り立ちとかの謎について考えていただけなんです」

「……そぅ?ま、いいわ。少し休憩していらっしゃい。いい天気だから前庭でもお散歩してくると良いわ」


 先日のような大規模歪みとはいかなくても小規模な歪みなら三日に一回くらいのペースで発生している。大体は探索隊だけで処理できるので私たち司書まで出動することは殆ど無いのだけれど、いつこの前みたいな事態になるとも分からないのだから今みたいに気が抜けている状態は困ると言われてしまえば反論も出来ない。マリア先輩に気分転換に散歩していらっしゃいと送り出されてしまったので私も言われるままに図書館の出入口の大きな扉を開けて、柔らかな春の日差し差し込む前庭へと綺麗に並べられた白い石畳の小道をゆっくりと歩いていった。

 隣接している母校、賢者の学院は丁度お昼休みらしく図書館の広い前庭のあちらこちらに女生徒を中心としたグループがベンチや芝生の上に座って楽しそうにお喋りをしている。


「あれ?お姉ちゃん。どうしたの?」


 聞き慣れた声に振り向けば、背後の木陰にある茂みの向こうから妹のエレンがいつもの幼なじみグループと一緒に手を振っていたので歩みを返して近寄っていく。


「うん、どうにも暇すぎてお仕事に身が入らなくて。マリア先輩に怒られちゃった。それで気分転換に散歩してこいって…………」

「ウィンテル先輩でもそういう事あるのですね。良かったら先輩もおひとつ、いかがですか?お家で焼いてきたお菓子、今みんなで食べていたところなんです」


 私が失敗談を苦笑しながら説明すると、エレンは『あちゃー』と言わんばかりに頭を抱え、ドンマイとばかりに私の左肩を軽く叩いてくれる。そしていつもエレンに遠慮がちではあるものの寄り添っているリリーちゃんは、私がこんな些細な失敗をするのが意外だったらしく驚いていたけれど、甘いもの摂取で疲れを癒してはどうかとリリーちゃん手作りのパウンドケーキを勧めてくれたのでありがたく受け取った。


「うん、美味しい。また腕が上がったんじゃない?リリーちゃん。やっぱり食べてくれる人がいると違うわね」

「ありがとうございます、先輩。…………ラミエルちゃんのおかげです、こうやって頑張れるのは……」


 リリーちゃんが私の妹、エレンに恋心を抱いているのは知っているのでラミエルちゃん共々その恋が成就できるように応援している。女の子同士の恋愛は非生産的だからとか気持ち悪いとか言ってどん引きしたりするだけじゃなく引き裂こうとするような人まで中にはいるけれど、私としては本人同士が好きあっていれば別に問題ないと思っているからエレンが嫌がったりしない限りはこの恋愛を見守り、不粋な外からの妨害があれば全力で守ってあげようと考えている。

 …………もっとも、私の知名度の関係で私の可愛いエレンやエレンの大事なお友達たちに手を出せるような人はいないと思うのだけれども。この点だけは私の二つ名も役に立っていると思うし、それに彼女たちを守ってくれる頼りになるドゥエルフ君もいるからそんなには心配していない。


「それにしても今日はいい天気だよね。今日は私も早く上がれるからいつもの喫茶店に行かない?お給料でたから奢ってあげるわ」

「え、いいの?お姉ちゃん」

「先輩、いいんですか?」

「「らっきー♪」」

「じゃあ、図書館のロビーで待ち合わせでいいかしら?」

「「「「はーい♪」」」」


 良い返事。そしてみんな良い笑顔だ。さて、そろそろお仕事に戻らなくちゃいけないね。可愛い後輩たちに元気を貰えたことだし頑張らないとね。丁度学院のお昼休みも終わりみたいだし、また後でねとお開きになった。

 それからはマリア先輩に怒られることなく勤務終了を迎え、その後少し待っていたらエレン達もやってきたので一緒に連れ立って喫茶店『儚い乙女の夢』までのんびりお喋りしながら歩いていく。そうしてとある別れ道に差し掛かりウィンテルはふと思い出して歩みを止める。


「?…………どうしたの、お姉ちゃん」

「ん。ハカナちゃんと知り合ってもう一年以上も経つんだなぁ…………って」


 別れ道の先にある林道をじっと懐かしそうに見ているウィンテルにエレンが問い掛ける。


「ハカナちゃんが道に迷ってこの先の林道に来てくれなかったら、私はきっと酷い目に遭っていたもの」

「…………あの時の、場所はこの先でしたか。多少の擦り傷と打撲傷で済んで良かったですよ、ウィンテル先輩」


 ウィンテルの回想にドゥエルフが苦笑しながら相槌を打つ。


 …………そう、あの時も今日みたいにいい天気だった。―――――


 一年前のあの日、私は学院からの依頼で久しぶりのクエストを果たすために林道を抜けた先にある枯れた古代遺跡へ赴き、付近に生える希少な植物の採集に無事成功したので夕暮れの林道を急いで戻っている途中に身長の高く身なりも人相も良くない明らかに危険そうな盗賊風の男性2人に行く先を塞がれてしまった。


「よぅ、お嬢ちゃん。こんな寂しい場所で何してたんだい?」

「あぶねぇからよ、送ってやるから一緒に行こうぜ?」


 どうやら私がこの林道に入っていくのをどこかで見ていてここで待ち伏せしていたみたいだ。そういいながら下品な薄ら笑いを浮かべて私の全身をいやらしい目付きで舐めるようにおぞましい視線を送ってくるのを感じて全身の肌が粟立つのを覚える。


「必要ありません。これでも私は冒険者ですから。そこ、どいてください」

「へぇ、冒険者さんかい。でも武器を持ってないところを見ると魔法使いさんかなぁ?」

「背後から不意を打たれたら危ないだろ、遠慮するなよ〜」


 じりじりと男たちは私に近寄ってくるので私もじりじりと後退り、そうこうしている間にもお日さまはだいぶ傾いて林道は薄暗くなってくる。私の魔法の腕ならこの不埒な2人を懲らしめる事は簡単だけど先に手を出すわけにはいかない。せめて大地か風の精霊石でもあれば学院まで転移できるのだけれど、あいにく私の持っている精霊石は氷の属性だ。

 なんとか隙を見て2人の脇をすり抜け林道の出口目指して走って逃げていく私のその後ろから男たちが私の後ろ姿に罵声を浴びせながら追いかけてくるのが分かり必死に持てる全力で走るも薄暗い中では思うように走れない上に私は元来病弱で体力がなく、すぐに追い付かれてしまい後ろから長い髪の毛を掴まれて地面の上に引き倒されてしまった。


「痛い!痛いぃ!やめてっ、お願い引っ張らないで!!」

「ぜぇ、はぁ、まったく、てこずらせやがってよ」

「だが、鬼ごっこはもう終わりだぜ。さぁ送ってやるよ、…………俺たちのねぐらへなぁ!」

「いやぁぁぁあああ!!離してっ、誰か、誰か助けてぇぇぇ!!」


 連れていかれたら何をされるかなんてすぐに想像がついたから大声を上げて必死に藻掻いたけれど、強く髪の毛を引っ張られれば痛みで抵抗出来なくなってしまう。もう1人の男が私の正面に回り込み未だに暴れて抵抗する私の気力を奪うべく頬を叩こうと右手を振り上げたその時―――それは飛んできた。


《ゴツン!》

「うぎゃあ!?」


 何かが飛んできて正面にいる男の後頭部に直撃し男は余りの痛みに後頭部を押さえて地面に転がりのたうち回っている。続けてまた何かが飛んできて今度は背後の男の顔面に直撃し、悲鳴をあげて倒れる男の顔のあった辺りから飛んできたものが落ちてきた。


「…………オレンジ?」

「お姉ちゃん、こんなところで何やってるの?!早く帰ろう!!」


 何が何だか分からない私に暗がりから駆け寄ってきた15歳くらいの女の子がそう叫んで私の手を掴むと転がっている男たちに持っていた荷物――果物の入った籠の中身をトドメとばかりに男たちの股間に力一杯全力で次々叩きつけると、悶絶している男たちを見向きもせずに必死の形相で私を強く引っ張って林道の出口へ向かって走りだし一緒に逃げてくれたのだった。

 しばらく必死に走って逃げて、そして私がまた力尽き、走れなくなって荒い呼吸をしていると心配そうにその女の子は私を見上げて声を掛けてきてくれた。


「大丈夫ですか?びっくりしたでしょう、知らない人なのにいきなりお姉ちゃんって呼ばれて。でも、なんか危険な雰囲気だったから…………」

「ううん、ありがとう。助けてくれて。しかも大事な荷物までダメにさせてしまって…………本当に、ありがとう」


 私は女の子をぎゅっと抱きしめてお礼を言った。もう少しで林道を抜けられる位置まで来ていたからホッとしていた。まだ、安心できないのに油断してしまっていたから背後から血走った怒りの形相で追いかけてきた2人に気が付くことができずに女の子共々抱き合ったまま思い切り蹴り飛ばされ再び地面に転がされてしまったのだった。


「きゃぁぁぁああああ!?」

「かはっっっ!!」


 女の子が私の腕の中で悲鳴をあげ、背中に息が止まるような打撃を受けた私は悲鳴をあげることもできずに、けれども必死に私を助けようとしてくれたこの子が怪我しないように突き飛ばされながらも咄嗟に身体をひねって庇い、恐る恐る後ろの方を見上げて息を飲んだ。


「…………そこのガキもてめえも舐めた真似、してくれたじゃねえか。あ?」

「今夜は帰れると思うなよ。俺たちを虚仮にした意味を徹底的にその身体に教えこんでやるよ…………」


 私は危険を顧みずに私を助けようとしてくれた女の子だけは何とか助けようと林道出口の方へ女の子を突き飛ばし、自分は男たちに向かいながら注意を引き付けるために攻撃魔法の簡易詠唱を始めた。


「逃げて!ここは私がなんとかするから、貴女は逃げてーーっ!!」

「ちぃっ、こいつ精霊使いだ、ガキはほっといてこのアマの口を封じろ!」

「これでもくらいやがれっ!」


 女の子が走り去って行く気配を感じて安堵しながら自分にすぐに訪れるであろう事を思い浮かべて恐怖が襲ってくるのを何とか堪えてダメ元の詠唱を続ける。

 しかしほとんど接近している状態での魔術行使が成功することなんてまず、あり得ない。間違いなく妨害されて中断されてしまうから。けれどもそれであの女の子が助かるなら…………十分だと思う。

 男の手のひらがものすごい勢いで迫ってくる。そして左の頬に焼けるような熱い痛みが広がり視界が右に揺れ、そのまま自分の身体が宙に浮いて地面に叩きつけられ予想通りに詠唱は中断されてしまった。これで、もう何もできない。これから私はきっと、生き地獄に突き落とされるのだと思うと涙がポロポロとこぼれてくる。

 脂ぎったおぞましい感触の4つの手が私を掴んで地面に組み敷き、生臭い吐き気を催すような息が私の顔にかかる。両腕を頭上に押さえ込まれもう一人が着ている上着にその手が伸びて引き裂かれる―――と目をぎゅっと瞑ったその時、思いがけない声が耳に届いた。


「ウィンテルお姉ちゃんから離れろ、このやろーっ!」

「先輩!大丈夫ですかっ、今助けますから!」


 私の上にのしかかって来ていた男がエレンに蹴り飛ばされ宙を舞う。続けてスカートの裾を翻しながら返すその足でもう1人の私を押さえつけていた男の側頭部にも強烈な蹴りを叩き込み派手に吹き飛ばし反撃に備えてエレンは滅多に見せない怖い顔で構え直す。その間に私はリリーちゃんとラミエルちゃんに回収されて傷の手当てを受けていた。


「…………貴女たち、どうして、ここ、に?」

「この子が林道から出てきたところに偶然私たちが通りかかったんです。そうしたらこの子が中で女の子が襲われているから助けて欲しいって泣きながら言うのであわててこちらに来てみたら……」

「後は御覧の通りです。何とか間に合って良かったです。本当に良かった…………」


 私が何とかまだ無事と呼べる状態であったことに安堵したのかリリーちゃんとラミエルちゃんが私の手当をしながらも腰が抜けてしまったかのようにぺたりと座り込んでしまっており目尻に涙をにじませていた。そしてそんなリリーちゃんの隣には先ほど逃がした女の子が涙を今もボロボロ流してリリーちゃんの洋服にしがみつくようにして私の無事を喜んでいてくれている。

 そんな温かい空気から少し離れた場所では一転して青ざめた表情で地面に転がったままの男たちが怒りの形相で指の関節を威圧的に鳴らして見下ろすドゥエルフ君とエレンに囲まれていた。


「お前ら、俺たちの大事な先輩によくも手をだしてくれたよな?………………全殺しにしたいところだが多分先輩が嫌がるから、半殺しで勘弁してやるよ」

「よくも…………よくもよくもよくも!私の大事な、大切な、愛しい、しかも病弱で体力のないお姉ちゃんに酷いことしてくれたじゃない?絶対、ゆ・る・さ・な・いぃぃぃぃ!!」


 ああ、ドゥエルフ君が破壊神モードにスイッチ入ってる。エレンもああなったら私でも止められない。回復魔法を受けながら私は阿鼻叫喚の様から目を背け、そして自分を心配そうに見ている女の子を手招いてその手を握り、心の底からお礼を述べたのだった。


―――――


「…………本当にあの時は私もみんなもびっくりしたし、今でも時々夢に見ては汗びっしょりになることあるよ」

「うん、本当にみんなには感謝してもしきれないほどだよ。特にハカナちゃんは恩人だよ、本当にありがとう」


 喫茶店の一角にメーユお婆ちゃんの許可を貰ってハカナちゃんを借りて6人でお茶を飲んでいる。


「私もびっくりしましたよ。私、皆さんご存じの通り、方向音痴で良く道に迷うんです。あの日も市場でケーキに使う果物を仕入れた帰りにいつもと違う道を通ったら迷ってしまって。途方に暮れていたら悲鳴が聞こえて、ウィンテル様が変な人たちに絡まれてたのを偶然見つけたんです。場所が場所でしたし、見捨てるわけにはいきませんでしたから…………後は無我夢中でしたよ。無事で本当に良かったです」


 エレンと私が当時を回想して感想を述べてお礼を言えばハカナちゃんはたまたま偶然だし人として助けるのは当然だと照れくさそうにはにかむのをリリーちゃんとラミエルちゃんがいい子、いい子と頭を撫で撫でしている。


「普段は困りモノの方向音痴ですけれど、こうして人助けもできて、皆さんとお知り合いにもなれて、しかもお店も贔屓にしていただけるなんて。なんだか本当に夢みたいです」


 そういってハカナちゃんは謙遜しているけれども、私は本当は違うんじゃないかと思い始めている。だっていくらハカナちゃんの方向音痴が酷いとは言ってもあの夕闇迫るあの時間帯に敢えて人気のない林道に踏み込む理由は普通は無いと思うから。仮に入口まで来たとしても普通なら引き返すはずだし。

 それなのに中に来てくれたのは、私の助けを呼ぶ声が聞こえて、彼女がその小さな勇気を振り絞って様子を見に来てくれたのが真相だと思うのだ。


「ねえ、ハカナちゃん。本当に来てくれてありがとうね。だからもし何か困った事があったら私たちが力になるよ。遠慮無く相談してね」

「いえ、お気持ちだけで十分ですよ。本当に。それにたくさんのお姉ちゃんたちとお兄ちゃんができましたし」


 私は一人っ子だったから素敵なお姉ちゃんやお兄ちゃんが欲しかったんです、だから今は十分に幸せなんですよと微笑むハカナちゃんは本当に良い子だと思う。だから私はこの子の笑顔をずっと守りたいと思うのは当然だと思いつつ、ハカナちゃんを中心に和気藹々とお喋りするエレンたちを眺めながら美味しい紅茶を口に含み、この幸せを噛みしめていた。

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