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Geister Kontinent   精霊大陸での日常  作者: うぃんてる
第一部 賢者の学院編
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89.それぞれの恋愛事情

 ミランダちゃんたちが出掛けて行ってしまったので私は葉月ちゃんに少し相談したいことがあったのを思い出して丁度いいかなと相談する事にした。


『葉月ちゃん、ちょっといーい?』

「なぁに?相談事?」

『うん、ちょっと気になる事があってさ。葉月ちゃん、前世の冬山家の人って誰か知らない?』


 園樹の家の一人娘だった私ですらも冬山家にいるはずの子供たちの情報は教えて貰えなかった。春野家、夏海家、秋川家に私と同い年の子たちが居たのだから冬山家にも居ておかしくないとは思うのだけれど…………。


「ごめん。私も知らないんだよ。ただ、女の子はいたはずだよ?真理お姉ちゃんが女の子用の破魔矢を作らされたって言ってたから」

『そうなんだ。じゃあマリア先輩に聞いた方がはやいかなぁ?』

「そうかもね。……やっぱり気になるの?」


 私は小さく頷いた。アイシャちゃんに葉月ちゃん、マリア先輩まで揃うと他の守護四家も誰かしらこちらに来ているんじゃないかって思うから。ただ、春野家に相当する家は多分スプリングフィールド家じゃないかとは推測できるけれど冬山家に相当する家名に見当がまるで立っていないのだ。うーん、ただの気のせいとして片付けるにはちょっと、なんだけどなぁ。


『まぁ、この話はあとにするとして、ミランダちゃん大丈夫かな。相当怒っていたみたいだけど』

「ウィンちゃんっ子だしねぇ。でもほら、今の大使さんてミランダちゃんのお父さんの弟さんてウィリアムさんに聞いたことがあるから大丈夫じゃないかな」


 まぁそれだからミランダちゃんはすぐに乗り込んだのだと思うんだよね。大事おおごとにしたくないし、私が大事にするつもりもないのを理解しているから。今なら内々に処理できる。


『それにしても……ミランダちゃんが一時期惚れたのだとすれば何かしら魅力的な面があるのだと思うけれど……』

「あのお手紙だとなんとも言えないよ……流石にあれはダメだと思うもの」

『外交は無理だね。怖くて任せられないから』

「暗殺未遂が起きるくらいなんだから外見的な魅力は最低でもあるとして、ただ武力は無さそうかな。外国人のウィンちゃんに護衛頼むのはどうかと思うし。土地勘無い人は論外だと思うんだ」


 考えれば考えるほどダメ出しが並びそうな気がしてきたので話題を変えることにする。


『そういやさ、葉月ちゃんは気になる人はいないの?アイシャちゃんの事は別にして、さ』

「うーん。司書長さんはちょっと。いい人なんだけど年齢差が無理、かな。かと言って同じ年齢世代は安全性で厳しそうだし、何より考え方が違いすぎるもの」

『うーん、やっぱりかぁ……アイシャちゃんとなら問題ない、の?』

「百合婚に違和感が無いわけじゃないけれど、レズをするってわけじゃないしアイシャちゃんと一緒にウィンちゃんの傍にいられると考えればメリットは多いかな。今後を考えれば後ろ盾は欲しいしね」

『アイシャちゃんの気持ちについては?』

「純粋に嬉しいかな。恋愛感情以上になるかはまだ分からないけど、急ぐ理由はないから慌てないでもいいかなって」

『そっか。ん、理解したよ』


 その後前世の恋愛話とかに花を咲かせて午後のお茶を飲む頃にはミランダちゃんたちが帰ってきたのでどうなったのか確認してみると。


「今回の書状の件は大使おじさまから宰相おとうさまに連絡がいくので、最終的には国王陛下まで行く事になると思われます」

『そこまで行っちゃうの?』

「むしろ行かせます。こってり絞られるといいのですわ」


 こちら、お返ししますと封書に入れた書状をミランダちゃんが返してくれたので葉月ちゃんに頼んで私の机の中にしまってもらう。


『そう言えばさ、ミランダちゃんは王太子殿下のどこが好きになったの?』

「優しさ、気配りとか思いやりですか。女性や弱者からは人気高いんですよ。あとは将軍は無理でもそこそこ剣の扱いは出来ますし。ただ……」

「ただ、大切なことに夢中になるあまり周囲が見えなくなることが多くて私もフィナちゃんも心配で目が離せなくて」


 私とフィナちゃんではフィナちゃんの方がより包容力があるし、いざというときに尻に敷けそうだから辞退したというミランダちゃんの表情をさりげなく観察していたのだけど無理をしているようではなさそうなので少しほっとしている。


『そういやミランダちゃん。私以外の護衛がついたらお見舞いに帰国するという考えは……あるの?』

「フィナちゃんから直々に会いたいって連絡来たら少し考えます」

『それでも少し、なのね?』

「はい。年末の休暇になれば帰るつもりですし、その時にゆっくり会えばいいかなと思いますから」


 なにより私はフェンリルの信徒ですからこの恵まれた機会をそう簡単に逃がすわけにはいきませんし、フィナに怒られてしまいますとミランダちゃんはにこやかに微笑みながらも何か思い当たる事があるのかちょっとだけ顔を引きつらせていた。


「ウィンちゃんはさー、どんな人が好みなの?全然こういった色恋沙汰聞かないけど。誰か好きな人とかいないのー?」

『んー?んー…………好意に思う人はたくさんいるんだけどね。恋愛としてはいないかな』

「ウィンちゃんの好みってどんな人?」

『一言で言えば、お父さんみたいな人。優しくて心が強くて、いつまでも寄り添ってくれて、そして私を背負っても潰れない人が最低条件かな…………』

「一番最後が、なかなかに難しいですね、お姉様……」


 理由は分からないまでも生命まで狙われた先日の事件を思い出してミランダちゃんが小さく呟き私も肯定するように小さく頷いた。ここまでくると普通の男の子では私を背負うなんて無理だろう。私のような厄介者で面倒な女を好き好んで受け入れようなんて人がそうそういるわけがないし、逆にいるようなら警戒しなくちゃならないから。迂闊によく知らない人に対して盲目になんてなれないよ、みんなを不幸にしちゃうから。


『それにみんなに迷惑かけちゃっているし。ごめんね、私の立場のせいで自由に恋愛できなくなってしまって』

「何を今更。葉月ちゃんや私はウィンちゃんの幸せが第一なんだし。ミランダだってそうでしょ?」

「はい、お姉様は遠慮し過ぎなんですよ。もっとわがままでもいいと思うんです、それくらいのご恩がありますし」

「…………そうね、ウィンテルは本当に我慢し過ぎだわ。はい、午後のお茶にしましょう?」

『お母さん?!いつの間に……』


***


 お母さんを加えたメンバーでお母さん手作りのお茶菓子をぱくつきながらのティータイムに入ることになった。


「そう言えばフェルリシア様はお見合い結婚否定派なんですか?アイシャちゃんに以前聞いたことあるんですけれど。恋愛結婚推奨派だって」

「あら。お見合いから始まる恋愛もあるから別に否定してないわよ?私が嫌いなのは本人同士の意志関係なく進むような政略結婚よ」

「ウィシュメリアは本当に羨ましいです。私たちの国では恋愛結婚よりも政略結婚の方が多いですから……」

「そうですね、ひぃさまの今回の留学がなければわたくしもお見合いの話がたくさん来ていたと思いますもの」


 お母さんとお父さんのなれそめは複数年にわたる冒険の結果だと聞いているのだけれど詳しく聞いたことはなかったので聞いてみることにした。


『お母さん、お母さんはどうやってお父さん捕まえたの?』

「冒険の話はしたわよね。それ以前は私は図書館の司書長補佐官だったのだけれど、その時にレックス経由でウィルに出会ったのよ。最初は仕事絡みの飲み仲間かしら。あの人は数少ない私の身分を気にしないで体当たりで付き合ってくれる異性だったの。次第に惹かれるようになった頃に例の冒険が始まり……私の料理でしっかり胃袋掴めたのも勝因の一つかしら?それだけじゃないけれどね」


 だから、とお母さんは私に向き直ると改めて私にこういってくれたのは本当に嬉しかった。


「貴女が本気で好きになった相手が出来た時は全力で応援してあげる。大切な娘の幸せのために、ね」



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