episode2
「僕のゲーム?どうゆうことだ?」
目の前の青年はどう考えても怪しい、ニコニコとしているけどなにを考えているか読めない。
そもそもどこから現れた?俺達が転送される前からか?いや、さっきまで誰もいなかったはずだ。
「そうだね、順を追って教えてあげよう」
青年は相変わらず笑顔のままだ。
「君達はすでに死んでいるよ」
「「「「っな!?」」」」
死んでいる!?
「この世界は君達の言うところの死後の世界の手前、とでもいったところだよ」
つまりあの電車の事故は現実だった、俺はもう死んでいる。そんな…
「信じられません!」
姫が叫んだ、こんな声を聞いたのは初めてだ。それほど信じたくないんだろう。
「でも死んでいないなら、この状況を説明出来るかい?」
「そ、それは…」
認めるしかない、実際この状況は現実では有り得ないんだから。
「わかった、あんたの言うことは信じる」
「海牙!?」
晃太と泉が驚きの声を上げた。
「今この状態はそれぐらいじゃないと説明出来ない、けどまだ聞きたいことがある」
晃太も泉も姫も、とりあえずは認めてくれたみたいだ。
「いいよ、なんだい?」
「本当に死んでいるなら俺達はなぜここにいる?」
「それは簡単だ、僕が呼んだからさ」
「今の俺達の体は現実と同じものなのか?」
「元は同じだね、この世界に呼んだ時点で多少強化されてるけど…現実の君達の体は多分もうないけどね」
「あんたは何者だ?」
「君達の言う、神、なのかな」
「この世界で死ぬとどうなる」
「存在が消えるよ、現実でも君達がいなかったことになる」
本来なら信じられないけど…多分本当だろうな。
「もういいかい?」
「ああ、みんなは他にあるか?」
三人は首を横に振った。
「じゃあ最後にこのゲームの説明をしておくよ。この世界には君達と同じような人達がたくさんいる、その人達は君達を含めてプレイヤーだ。
世界に十個ある塔の番人すべてを倒せば、僕と戦えるよ。ちなみに僕を倒したらどうなるかは、僕にもわからない。
このゲームには、HP、MPはない、心臓を貫かれても死なないこともあるし、腕が切られても時間がたてば再生するからね。
基本は君達の世界のRPGと同じだ、それじゃあ頑張ってね!」
この言葉を最後に、青年、いや神は姿を消した…
「海牙!どういうことだ!?なんであんなにあっさり死んでるなんて信じたんだ!?」
晃太がそう思うのは分かる、俺だって完全に信じたワケじゃない。
「俺も完全に信じてるってことはないさ、でもあいつの言っていることに矛盾は無かった」
それに、あいつの言う通り死んでいて体も作り直されたんだとしても、この世界で生きている。
「じゃあ海牙くん、もうわたし達はお母さんやお父さん、友達には会えないんですか?」
「わからない、もしかしたら生き返る方法もあるかもしれないし、諦めるのは早いと思う」
あくまでも希望的な考えだけど、いまにも泣き出しそうな姫にただ現実を突きつけるなんて俺には出来ない。
「でもあたし達、ここではまだ生きてるんだよね…さっきのやつも他にたくさん人がいるって言ってたし」
「ああ、だから今はとにかくこのゲームのクリアを目指そう、他の人達に会って話を聞けば本当に死んでいるかも分かるかもしれない」
「だな」
「そうね」
「わかりました」
全員落ち着いて、やることも決まった!
「そうと決まればせっかくのゲームだ!楽しんでいこーぜ!」
「「「おー!」」」
俺達のゲームはここから始まった。






