episode1
今日は、担任の見合いが失敗だったこと以外なんのことのない日だった。
俺達は高校から帰る途中だった。
「海牙、今日ゲーセン寄ってくか?」
一年四組二十番、新崎海牙。身長170センチ、体重58キロ。
なにか特徴があるわけじゃない高校生、それが俺だ。
ちなみに彼女はいない。
「今月は金がな~…」
「んー、そうか」
一年四組十七番、笹原晃太。身長164センチ体重40キロ。
小柄で茶髪の人見知りしない明るいやつだ。
「そだ、二人は?」
晃太が誘ったのは二人の女子。
一年四組三十三番、吉田泉。身長165センチ体重?キロ。
たまに男子顔負けの強気を見せる。髪は少し茶色のロングだ。
一年四組二番、相沢姫。身長158センチ体重?キロ。
名前の通りお姫様みたいな背格好で、おどおどした性格。髪は黒で短めのポニーテールだ。
「やだ」
「すみません、わたしも…」
晃太玉砕、まあいつものことだな。
大体この四人で一緒にいるからこんなやりとりはしょっちゅうある。
「なんだよう、つまんねーな」
「来月になったらな」
「電車来るよー!」
俺達は全員電車で帰る、方向も同じだからそれぞれの駅まで一緒に帰ってる。
今日もちょうどホームに電車が来る。
「……………え?」
誰かに背中を押された、気がした。
俺の体がホームから落ちていく、時間が遅く感じる、他の三人も同じように電車の前に押し出されているみたいだ。
電車が目の前まで迫って…
気がつくと、真っ白な空間に立っていた。
「な…なんだ今の」
周りを見渡すと、三人がいた。
全員状況が理解できてないみたいだ、俺だってわけがわからない。
「海牙…」
晃太が話かけてきたその時、
『キャラクター作成を始めます』
突然アナウンスと同時に目の前にホログラムウィンドウが現れた。
ますますわけがわからない、なんなんだここ!?
四人全員がいるし、夢じゃないはずだ。けどそうならさっきの電車は?
「海牙!どうするんだ?」
晃太も泉も姫も、ウィンドウが出てる、今は情報が欲しいしとりあえず指示に従ってみよう。
「みんな!とりあえず指示通り、キャラクター作成を進めよう」
「おー!」
「うん」
「ハイッ!」
まずは名前か…
「本名にしておいてくれ」
「わかった」
後は…ジョブ?まるでRPGだな。
「海牙くん、このジョブってなに?」
姫はゲームやらないんだっけ、そりゃ知らないか。
「職業のことだよ、姫は魔法使いとかいいんじゃないか?」
よく見ると結構な量のジョブがあるな、ソードマン・シーフ・アサシン・バーサーカー・黒魔法使い・白魔法使い、その他にも何個かある。
「じゃあ、この白魔法使いにしますね」
姫が白魔法使いか、イメージぴったりだな…
「それならあたしは黒魔法使いにするわ!」
泉は黒魔法使い…なんか怖いな。
「俺は~、シーフだな!盗賊ってカッコイイし!」
晃太はシーフか、じゃあ俺は、
「ソードマンでいいか」
全員がジョブを選択すると、
『キャラクター作成完了、反映します』
再びアナウンスが入り、俺達の体が光りだした!
光が終わるとみんなそれぞれジョブに合った格好、装備をしていた。
「なるほどね、俺達がキャラクターってことか」
ここゲームの中かなにかなのか?
『転送します』
「へ?」
次の瞬間、俺逹は草原に飛ばされた。
「うわぁ!」
「おー…」
「ほぇ~」
みんな驚いてる、でもそれ以上にこの世界は幻想的だった。
光る蝶や、歩く木、まさにファンタジーの世界だ。
立ち尽くす俺達の前に、一人の青年が現れた。
「いらっしゃい、僕のゲームに」






