リガンドラスの少年【設定資料】
【あらすじ】
遠い昔のとある国、リガンドラス。そこは、男性遺伝子の弱体化により、女性が異常に産まれやすいという特異な体質を持つ女性ばかりが集まる国だった。
産まれた男は貴重な存在であるとされ、わずかな男性の存在で何とか国を維持していたが、隣国との戦争により、大半の男性が出兵し、ほとんど生きて帰ってくることがなかった。
戦争に敗北し、今後の物資支援や他国との関係を断たれたリガンドラスでは、さらに戦争で使用された生物兵器により、国民のすべてが産まれる子供がすべて女性になるという特異体質になってしまい、滅亡の危機を迎えていた。
戦争から数十年後、ついに数少ない男性である国王が亡くなり、残った男性は農民の息子、リュッシーだけとなってしまった。
リュッシーは戦争後唯一産まれた男であり、男が産まれると騒ぎになると考えた両親は、ひたすら女として育てた。
そんなリュッシーが遊んでいると、迷いの森として近づくことを禁止されていた場所へ入ってしまい、そこでエルフの村の存在を知ることになる。
国王が亡くなり男性ががいなくなった日、即位した女王が、「この国で男を見つけたものに多額の報酬を与える」とお触れを出し、国の女たちは一斉に男を探すことになった。
リュッシーの母親はリュッシーを守るために秘密にしていたが、リュッシーと遊んでいた友人の一人が密かに女王に秘密を漏らしてしまう。
そんなこととはつゆ知らず、リュッシーはエルフの村で知り合った女の子と一緒に遊ぶ日々を過ごしていたが、リュッシーがエルフの村に住んでいると知らされると、女王はエルフの村に宣戦布告を仕掛けてしまう。
エルフの村壊滅を避けるために自ら捕虜となったリュッシーは、エルフの少女を追うために、何度も脱獄する生活を繰り返す。
【登場人物】
・リュッシー・シャルズハード(仮)
リガンドラス唯一の男性。15歳。
両親から女として育てられてきたが、男がいなくなったリガンドラスで女王に目をつけられてしまう。
・ノウン・サンフィーユ(仮)
エルフの村の少女。15歳。
ずっとエルフの村で暮らしてきたため、人間界にはあまり詳しくはなく、あこがれだけを強く抱いていた。
小さいころから人間であるリュッシーと一緒に遊んでいるのが唯一の接点。
・イヴ・スカーレットレイン(仮)
リガンドラスで即位した若き女王。17歳。前国王とは幼馴染。
裕福な家庭で育ってきたため、わがままで横暴な性格になってしまった。
男性がいなくなった国のなかで、残った男性を探すせという命令を出した。
【地名とか】
・リガンドラス
男性がいなくなり、完全な女性統治国家となった国。
戦争の生物兵器により、住んでいる女性全員が女性しか産めなくなる体質になり、人口増加が不可能な状態に追い込まれている。
農業が中心で、他のことは隣国との輸出入で賄っていたが、戦争に敗北したことにより、すべてを自給自足で行わなければならなくなった。
そのため、力の強い女性もかなり多い。
ギリシア語で「少ない」(リガ)と「男」(アンドラス)を組み合わせ、「男の少ない国」という意味。
・エルフの村
人間界とは別の世界で生きた、人間にとっては伝説上の存在。
遺伝子的には人間と酷似しており、かつては人間との交わりもあったらしいが、現在では人間界とは完全に切り離された場所で暮らしている。人間と交わってできたハーフエルフの存在は、現在では消滅しているらしい。
人間と同様の生殖方法もとれるが、エルフ独自の生殖方法が一般的。その場合、女性しか生まれず、エルフの村は(性別的に)女性だけしかいない。
人間との関わりが深いため、人語をしゃべれるし、文化もかなり近いものがあるが、細かいところでいろいろと異なっている。
【適当プロット】
・プロローグ
およそ百年前の農業国家リガンドラスは、他国との関係も良好で、恵まれた自然を生かした農業生産により、多くの富を抱えていた。
同時に、女性全員が女性を異常に産みやすい体質から、国民のほとんどが女性であり、「女性統治国家」とも呼ばれていた。
しかし、男性の立場が弱いわけではなく、むしろ数少ない男性は貴重な存在とされていた。男性女性、ほとんど同等の立場にあったため、世界でも有数の優良国家と言われていた。
ところが、ふとしたきっかけで戦争に巻き込まれると、最新の化学兵器や生物兵器を持つ隣国に圧倒的敗北をしてしまう。
不平等条約により補償金や物資を奪われた挙句、他国との接触が断たれ、すべてを自給自足しなければならない状態となってしまった。
かつての優良国家も、同時に「呪われた国家」という風評まで浴びて、人と人との接触さえ皆無になる状況に。加えて、隣国が使用した生物兵器の影響により、リガンドラスの女性全員が、女性しか産めなくなる体質に変化してしまい、男性がいなくなると人口増加が不可能になる状況に陥ってしまった。
なんとか数少ない男性により人口の減少を防いでいたものの、国内だけで解決するのは容易ではなく、人口は減少する一方であった。
そしてついに、数少ない男性である国王が亡くなり、誰もが知る限りでは国内に男性がいなくなってしまうという最悪な状況に陥ってしまった。
そこで、国王が亡くなって即位した女王、イヴ・スカーレットレインは、国内に「男を見つけたもの、あるいは他国の男を連れてきたものに多額の褒美を渡す」とお触れを出した。
それを聞いた国民たちは、一斉に男性を探すことになった。
・パート1
リガンドラスのとある農家の夫婦は、既に二人の成人した娘がおりかなりの高齢だったが、身体的金銭的な余裕から、もう一人子供を作ることにした。
ところが、そこで産まれた子供が男の子だったため、その夫婦と助産師は驚きを隠せなかった。
女の子しか産めないと思っていた夫婦は大変喜んだが、助産師からは「男が産まれたとなると大騒ぎになる」と言われ、女として育てることに。
リュッシーと名付けられたその子は、外では女として立ち振る舞いするように教えられ、自身も女として暮らすよう、幼いころから努めていた。
ある日、リュッシーと友人が森で遊んでいると、リュッシーが森で迷子になってしまった。
泣きながら獣道を歩いていると、小さな村を発見した。
そこは伝説のエルフの村であり、男であったリュッシーは村人(村エルフ?)に歓迎される。
それから何度もエルフの村に通うようになり、そこで知り合った少女ノウンと恋に落ちる。
しかし、15歳の誕生日を迎えた日、そんな日々が壊されることになる。
・パート2
リガンドラスでは、女王のお触れにより、全国民が男を探すのに必死になっていた。何しろ、褒美の額がほぼ一生遊んで暮らせるだけの賞金に土地や家までついてくるのだから、我先にと女たちは躍起になっていた。
中には他の国への接触を試みようとした女もいたが、国境では隣国たちの監視により厳しく取り締まりが行われており、隣国の男性との接触は不可能な状態となっていた。
女王も引き続き隣国との交渉を進めていたが、聞く耳持たず。もはや打つ手なしと思われていた。
女王に見つかれば何をされるかわからない。母親はリュッシーのことをひたすら隠し通していた。
そんな中、リュッシーの小さいころからの友人が、女王にエルフの村に男がいると密告し、女王はその友人を使者とし、エルフの村への宣戦布告を告げることにした。
何も知らないリュッシーは、徴兵のために訓練を行ったが、攻撃対象がエルフの村だとわかると、エルフの娘ノウンを守るため、自ら男であることとエルフの村が女しかいないことを打ち明け、エルフの村に攻撃しないことを条件に女王の捕虜となってしまう。
・パート3
捕虜となったリュッシーには最期の男性と言うことで特別待遇がされた。豪華な食事に美しい部屋、そして衣装。
しかし、女王イヴに何度も子作りを迫られ、自分はその気が無いことを何度も告げる。
時には強引に迫ってくる女王に対して嫌気がさしてきたリュッシーは、ある日再びエルフの村へ侵攻する計画があるという話を耳にする。どうやら、エルフの村に女しかいないのはデマだという話が上がっているらしい。
エルフの村のノウンが気になったリュッシーは、夜のうちに城からの脱走を図る。
しかし、途中で国の兵士に見つかってしまい、再び囚われてしまう。
自分の相手をしてもらえない上に脱走まで企んだリュッシーに怒り狂った女王は、リュッシーの右足をつぶしてしまう。
それでも貴重な男性であることに変わらず、リュッシーの優良待遇は続いていたが、毎日のようにリュッシーは脱走を企み、そのたびに女王はリュッシーの体の一部をつぶしていく。
最後にはまともに動けない体で部屋から出たところで捕まってしまい、あまりに言うことを聞かないリュッシーに対して、女王はとうとう無理やりリュッシーを犯そうとしてしまう。
ちょうどその時、かねてから人口減少対策をしていた研究チームから、何十年も続いていた人工授精の技術とクローン技術の発展があったことが女王に知らされる。クローン技術により男性から採取した精子を人工培養して増殖し、人工授精により誰でも妊娠可能にするという技術だった。それが、成功例を挙げたという報告。
それを聞いて女王イヴは、「ならこんな言うこと聞かない男いらない」と、リュッシーの体を見るも無残な姿に変えていく。
そして翌日、エルフの村に向かったイヴの使いは、見る影もなくなったリュッシーの遺体をエルフの村の民に投げ出し、「この男はエルフの村に入り浸っていたために、国家の滅亡を招いた。よって見せしめとしてこの場に置いていく」と言って去って行った。
リュッシーの姿を見て泣き叫ぶエルフの村の民。その叫び声は一昼夜続いたともいわれている。
・エピローグ
精子のクローン技術と人工授精の技術を得たリガンドラスは、滅亡の危機から逃れた。同時に、その技術を買いたいと他の国からの申し出が殺到し、かつての国交が回復。百年前に栄えた優良国家が復活した。
再び人間とのつながりを断ったエルフの村では、「リュノー」と名付けられた男の子が産まれたというのは、また別の話。