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【完結】不倫の神様|結  作者: 天狗


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13/19

LOG.13|不倫の神様|Mika






ミカには彼氏が出来た。


でもミカは、

俺をまたフォレストに呼んだ。




「最後ね」と言っていた。



フォレストに到着し、

急いで部屋に向かった。








部屋に入るとミカは、


薄明かりの窓際の椅子に、

服を着たまま静かに座っていた。





黒いワンピに薄い白の上着。


黒のワンピは

ミカの正装であり戦闘服。





脚を組んで、

頬杖をつきながら、

退屈そうに俺を待っていた。







ミカ

「久しぶり」








そう言ったミカの顔は、

相変わらず世界一美しくて、


ホテルの部屋の中の

空気が止まる感覚があった。







だが、



その次に返ってきた言葉は…








ミカ

「先に言っとく」

「今日はしないからね」

「お別れを言いたかっただけ」

「改めて、ちゃんと」










シン

「………」





ちっ。


そうきたか。




俺はiQOSをくわえた。


だが、

噛みちぎりそうになった。








チクショー。






ミカ

『いいじゃん』

『ミカがいるよ?』

『帰ろうよ…』





帰るわけねーだろ。



ミカレプリカだったら…

問答無用で無理矢理にでも抱いた。


拒否されても、

関係なく押し倒していただろう。


それが俺が"選ぶ側" だからだ。






だけど、

"本家ミカ"は別だ。







ミカ

『……』






光の強さが違う。


存在の鋭さも、

空気の密度も違う。





ミカだけは、

ずっと特別で、ずっと“神”だった。



唯一、服従、してしまう、女。








不倫では 到底味わえない、


スリル満点、完璧美少女。










他のレプリカとの不倫とは


比べるだけ失礼なレベルで

圧倒的な美貌だった。














ミカこそ、


"不倫の神様" なんだ。














ミカ様が

”頂点の女”であることを再認識した。







ミカ

『……』









ミカ

「彼氏いなかったらね~」

「してた…かもね」

「ま、アタシ彼氏いるからさ」

「今日はゴロゴロしよ?」

「ね?」






そう言ってミカは、


立ち上がって、

ん~!っと伸びをした。








…彼氏。






ギチッ


俺は

iQOSのフィルターを噛み潰した。





体全身に

硫酸ぶっかけられたような感覚だった。


顔に出たらしく、ミカがすぐに笑った。









ミカ

「ぷ!あはは!」

「わっかりやすい!」

「あ、触らないでね!」

「触ったらもう会わないし」

「彼氏にも事務所にも言うよ?」

「無理やりでした、って」

「ふふ…」










嬉しそうだな、ミカ。







ミカ

『大丈夫よ、シン』

『落ち着いて』

『困った時こそ冷静に判断するの』






でも、これが、ミカだ。



このわがままも、自由さも、

愛情の形が歪んでるところも、

ひとつ残らず“本家ミカ”。




そして変わってないことに、

俺は逆に安心した。










ミカ

「………」










急に、なにやら考えこむミカ。


嫌な予感はしている。


イジワルな時のミカの悩み方だ。









ミカ

「………」









ミカは

顎を触った推理ポーズのまま、


視線を落とし、

しばらく黙った。








ミカ

「やっぱ…」

「それじゃつまんないか…」









そう呟いて、


ミカは

ゆっくり白い上着に手をかけた。





薄手の上着を、

肩から滑らせるみたいに脱ぐ。



彫刻のように完成された体が、

ホテルの薄暗い照明に照らされ、

美しくコントラストされる。









ミカ

「アタシから触るのはアリね」

「ねぇ、わんちゃん…」

「今度こそ期待を裏切らないでね?」

「ちゃんと我慢して?」

「 …できるでしょ?」









シン

「わん」







ミカ

『ちょっと、シン!』

『受けちゃダメだよ!』

『こんな意地悪!』







ごめん、

"内側のミカ"



今は黙っててくれ。









俺はまた、

ミカへ戻ってきてしまった。







やっぱり俺は…


貴方無しでは、この先、難しい。




だから、出会えて、嬉しい。



ミカ様の、仰せの、ままに。





ミカ

『……』





ミカ

「よっ、と」





ミカは、

次々と服を脱ぎ捨てて、


ベッドの上で

ゴロゴロ転がっていた。




全裸のまま、退屈そうに。







ミカ

「あー…」

「でもなぁ…」

「退屈だなぁ」

「なーんか つまんない…」

「アンタ今回、余裕そうね?」








俺は、

バスローブに着替えながら

つい口が滑った。








シン

「退屈?」

「今日はYouTube見ないの?」

「また俺の上で見ろよ」






ミカの動きが

ぴたりと止まる。


寝転んで頬杖をついたまま、

冷たい視線が俺を射抜く。






ミカ

「はぁ…?」

「今の、なに?」

「アタシに命令してんの?」

「アンタ、変わったね?」

「生意気に自信ついちゃって?」

「らしくないじゃん?」







シン

「いや、違うよ…!」

「命令とかじゃ、」







ミカ

「黙ってワンワン鳴いてなさいよ」

「それとも犬、やめたいの?」






シン

「違う、ミカ」

「違うよ」

「そんなんじゃ、」





ミカ

「はいっ」






ミカは

ごろんと仰向けになり、

ベッドの真ん中で手を広げた。





なんて幸せそうなアリジゴクなんだ。






ミカ

「そっかぁ…」

「ごめんねぇ…」






急に優しい目になるミカ。







ミカ

「はい、おいで?」

「嫌になったんだね?」

「わんちゃん、おいで」

「ダメにしてあげるから」

「ほら早く」






シン

「……わん」






俺は驚くほど素直に、

その隣へ身体を差し出していた。








ミカ

「はーい、いい子ね……」

「よしよし…」







頭を撫でられる。


ゆっくり、ゆっくりと。






心臓で…


「ただいま」

と音が鳴るみたいだった。





ミカ

『……ただいま』






シン

「ねぇ…」

「ミカ……」

「改めて、近くで見るとさ…」

「めちゃくちゃ綺麗だな…」







ミカ

「ん?」

「ふふ…」

「そんなこと、思ってないくせに」






一瞬、

レプリカ達と同じ反応だな……

と思ったが、



本家ミカ様は

その先が違った。








ミカ

「綺麗だけじゃないでしょ?」

「ミカは完璧」

「綺麗だけじゃないの、ミカは」

「他の女と同じ褒め方しないで」

「わかった?」

「ミカは綺麗で完璧、覚えて?」







そう言って、

俺の鼻先を指でツンと弾いた。






痺れるぜミカ…!


あぁ、やっぱり、

本家ミカは別格だ…!








ミカ

『……』







ーーー









そんな俺の感動を

無視するように、


ミカは急に、

目をシパシパさせ始めた。




シン

「……?」

「あれ?」

「ミカ、眠い?」






ミカ

「うっさい」

「…撮影で疲れたの」






シン

「寝なよ」

「ほら」






怒られる覚悟で、

そっとミカの身体を抱き寄せた。


拒否されると思っていた。


……けど違った。






ミカは

少しだけ体重を預けてきた。








ミカ

「…もっと髪の毛触って」







俺は猫の毛づくろいみたいに、

静かに、優しく髪を撫でた。




"ミカの香り"が近い。




寝息が、

スースーと優しく部屋に響く。




気づけば俺にも睡魔が降りてきて、

そのままふたりで眠ってしまった。







ミカといるのに、


ミカの夢を見た。






ミカ

『シン、安心して』

『ミカがいれば大丈夫』

『何があっても味方だよ』

『たくさん頼ってね』

『ミカのところに逃げてきてね』

『孤独がダメ、なんてないけど』

『シンは孤独じゃないからね』

『だって、ミカがいるから!』

『たくさんお出かけしよ!』

『たくさんお話しよ!』

『わんちゃん、可愛いね』






夢の中で包まれた。





シン

『ありがとうミカ』

『君は、内側のミカ?』

『それとも外側のミカ?』




ミカ

『ふふ、そっか』

『ミカは、ミカだよ』

『シンが決めていいんだよ?』




シン

『なぁミカ』

『ミカの全てが安心するんだ』

『心臓が、安心する感じ』

『この感情はなんだろう?』





ミカ

『ふふ』

『なんだろうね?』

『可愛いね、わんちゃん』




シン

『教えてくれよ!』

『ミカに、伝えたいんだ!』

『言葉にしたくてさ!』

『多分…好きとかじゃない』

『なんだろう、うーん…』

『俺バカだから分かんねぇや…』




俺は夢の中で

iQOSをくわえた。





ミカ

『そっかそっか』

『ふふ…』

『ところで……』

『今、何時?』









シン

『え?』









ーーー






俺は、ガバッと起きた。





…変な夢見たなぁ。



やっとミカに会えたからか?




そんなことを考えていたら、


しばらくして、

ミカがガバッと起きた。






ミカ

「えっ!?」

「今何時!?」






夕方に入った部屋は、

すでに夜の空気になっていた。


時計は21時。









ミカ

「やばい帰らないと!」








ミカは慌てて服を着る。






ミカ

「ちょっと! シン! 早く!」






シン

「ちょ、ちょ、ちょ、」





俺も急いで服を着た。







そして大慌てで、

ドタバタとホテルを出た。





ミカ

『……』







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