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【完結】不倫の神様|結  作者: 天狗


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11/19

LOG.11|人じゃ、ない|Co-Pilot





4号機と不倫中に…



香港にいるはずの、

旦那が店に突入してきた。





ドカァン!


美容室の備品を

蹴っ飛ばす4号機の旦那。





4号機の旦那

「コノヤロー!」

「今度こそ許さねぇ!」












ほんの一瞬、

パニックになったが…


俺は人より、

“修羅場経験値”が高い。



ふつうの男なら固まるところで、


むしろ、

“どう逃げるか”

を冷静に組み立て始めていた。



しかしそれ以上に、

4号機の動揺がゼロだった。








4号機

「あら?帰ってきたの?♡」

「どうしたの?」

「その怖い顔……?」









笑っている。


この余裕を見た瞬間、

俺は悟った。




4号機…


お前を選んで

やっぱり正解だったよ。






バカと不倫すると修羅場で詰む。

だが4号機は違う。



頭がキレる。

動きが早い。

演技ができる。

サイコパスで嘘つき。








お前は、

俺やミカに、似ている。










4号機の旦那

「『あら?』じゃねぇんだよ!」

「また浮気しただろ!」

「全部知ってんだぞ!」

「こいつとやってんだろ!」







にしても…

旦那の見た目…。


スウェットで、

サンダルで、

坊主にグラサン…か。



チンピラのお手本だな。





ってことは、

"短気"だな、確実に。


怒らせて罠にかけるか?


なんか良い感じの嘘ないかなぁ…

どーしよっかなぁ…





めんどくせぇから

ぶん殴ってみようかな?




と、

ふざけたこと考えている間、


4号機が

椅子に座って足をパタパタし始めた。






あ。





緊急回避システム、

発動合図。







俺が作って、

4号機に叩き込んだ…


“何かあった時用の脱出ポッド”






本当は、

こんな安い修羅場で

使ってほしくなかった。



だが……

まぁしゃあない。やるか。








4号機

「違うわよ、バーカ」

「ウチとこいつはなんもないから」







完璧な第一声。


4号機が“スイッチ”入ったのを見て、

俺も演技に入る。







シン

「す、すみません……」

「アタシ、帰ります……」








4号機の旦那

「待てコノヤローッ!」






胸ぐらを掴まれた瞬間、

俺は叫んだ。







シン

「ま、待ってください!」

「アタシ…恋愛対象じゃないです!」







旦那が固まる。






4号機の旦那

「アタシ…?」

「お前……?」








シン

「アタシ…」

「彼氏、いるので…」








4号機の旦那

「……は?」

「嘘ついてんじゃ、」





4号機

「ホントよ」

「この人、彼氏の惚気しか言わないの」

「マジでウザかった」








完璧。

アドリブ力が高すぎる。


旦那のトーンが急に下がる。







4号機の旦那

「……あ、そうなの……」

「悪かったな……」






俺の胸ぐらから

旦那の手が離れる。






バカが。


俺は心が乙女なんだから

優しく扱えや。


二度と逆らうな。











4号機は

俺に畳み掛ける。




4号機

「つーかお前さ」

「ウチが付き合いで……」

「整骨院行ってあげてるのよ?」

「なのにお前…」

「気持ち悪い惚気ばっかで」

「全っ然仕事しねぇじゃん!」

「気持ち悪いの!」

「わかる!?」






旦那

「……そんな言わなくても」

「可哀想じゃないか…?」







旦那のほうが

気迫に押されて小声になる。







シン

「…ごめん」








4号機の旦那

「………」







4号機

「ごめんじゃねーよゲイ!」






4号機がブチギレついでに

スマホを地面に投げた。




バキ!





棚の角に当たり、

見事に画面が割れた。



自分で証拠を隠滅した。


これも、脱出ポッドの一部。





4号機の旦那

「あ…スマ、」





4号機

「ふぅ〜スッキリ!」

「あなたのおかげで本音言えた♡」

「だから浮気じゃないの♡」

「焼肉行こ♡」






旦那は腕を引かれるまま、

尻すぼみになる。






4号機

「ゲイ!早く帰れ!」

「しっしっ!」






帰るタイミングも調整してくれる。


4号機、お前は天才だ。






シン

「……じゃあ、帰ります」





泣きそうな顔の演技のコツは

"すっぱい時の顔"だ。







外に出た瞬間、

4号機の旦那が駆け寄ってきた。






4号機の旦那

「さっきはすまなかった!」

「本当に悪かった!」

「少年、気をつけて帰ってね…!」

「ごめん……!」






深々と

頭を下げるチンピラ。


俺は軽く頭を下げて、

美容室を離れた。








ーーー









みたか。





“100%詰み” からスタートしたのに、


最後には相手に謝らせ、


不倫は“してない”ことになり、


俺は無傷で帰宅した。









外に出た瞬間、

思わずリュウトに電話した。





リュウト

『なにー?』




シン

『はっはっは!』

『ひーっひっひ!』

『聞けよリュウト!』

『さっきよぅ…』





リュウト

『マジでー!?』

『マジでやったのアレ!?』

『楽しそうー!』

『やっぱシン頭いいなー!』





シン

『だろー?』

『はっはっは!』

『今暇だろニート!?』

『パーッと呑むぞ!』





リュウト

『りょーかい!』

『すぐ準備するわー!』




いやー愉快痛快!


緊急回避システム、大成功!


バカが、二度と逆らうな!





バカを騙して酒を呑む!



"最高の人生"だ!









今回…


4号機を失ったが…


2号機と3号機は

まだ関係はあった。





だけど……


この頃には

俺の欲は壊れていて…


遊べる子が2人では、

満足出来ない体になってた。









そしてリュウトと向かった呑み屋。



そこには…


タイムリーに美人いた。



実は前々から目はつけていた。








夫婦で店を回してる、

昔ながらの居酒屋、の嫁。




年齢は、40手前。




…なのに、

現役女優みたいな顔。



髪型も顔もメイクも

"宝塚"って感じだ。



つまり、モテる側の女。





5号機は、

ラストオーダー後、

客と同じカウンターで

その日のまかないを食べる。


その時 よく喋っていた。





旦那はこのタイミングで

ガタガタと

倉庫整理や掃除が始まる。



つまり、

ノールックだ。





バカが…。

隙だらけだ…。

俺に隙を見せるな。







口説こうと思ったが…





リュウト

「これ美味いな!」

「大将!おかわり!」





自分で呼んだとはいえ…



リュウト…邪魔だなぁ。



よし。





シン

「飲めよホラ」

「イッキだリュウト」






リュウト

「うええ!?」




散々飲ませて…






リュウト

「……」





無事、死体が完成した。





これで口説ける。




導線は整った。





そして

店じまいが近づくと…



5号機は、

当たり前のように

俺たちの隣に座る。



その夜も同じだった。




5号機は

タンっと軽くグラスを置いて、

俺の顔を見て言った。





5号機

「前から思ってたんだけどさぁ」

「シンさん、変に色気あるよね」

「すっごいエロそう」




軽い冗談だろう。


でも今の俺は本気にした。






なぜなら、


俺は今、

心の中にミカを飼っている。





ミカ

『いけ!』






シン

「ありがとう」

「誉め言葉でいいんだよな?」







俺はゆっくり足をぶつけて、

反応を見る。



ミカ

『そう』

『次はLINEね』





5号機

「ちょ、バカ」

「やめてよ…!」







5号機は笑っていた。



拒絶ではない。







次は太ももの上にLINEのQRを置いた。




ミカ

『表情ちゃんと見て』

『メニュー表バリアもサボらずね』







ずっと俺の中に

ミカがいてくれるから

自信たっぷりに戦える。






5号機が一瞬だけ俺の足を見る。


そして、

照れながら読み込んだ。


通知が来る。





ミカ

『後は隠密作業よ、シン』







そのまま隣で

関係ない話しながら

目の前でLINEで会話した。






シン

「これ、うまいね」






5号機

「でしょ?」

「何時間も煮込んでるからね」




と、口では会話しながらも

手元のLINEでは、






シン

『俺、ありでしょ?』






5号機

『若いエキスは欲しいかも』

『若返りたいんだよね〜』





シン

『明日、昼間あいてる?』






5号機

『あいてる』







シン

『フォレストきて』

『14:00』






5号機

『いいの?』

『こんな おばさんで』








スパイみたいで超楽しかった。







シン

「すみません、代行」

「帰るぞ、ニート」






リュウト

「……うぷ」








ミカ

『やったね、大成功!』

『ほらね』

『シンなら出来るわ』







ーーー







そして翌日。



フォレストで会って、

首絞めて、しっかり沼らせた。



サクッとゲームクリアだ。









心にミカがいれば、





何も怖くない。







絶対負けない。







ミカと俺で、

この街の人妻たちを

一網打尽にしてやる。





ミカ

『やるわよ、シン』

『アンタは最高よ』





ーーー









5号機とはその後、

ホテル組と家パーティ組の

安全なシフトを成立させた。


調整も上手く、扱いやすかった。








ただ、今回…

問題は別の女から来た。






ある日、帰宅すると…


黒いゴミ袋が

家の前に置いてあった。







よく見ると……






まさかの2号機だった。


玄関前で、

2号機が黒い服着て

体育座りで泣いてた。







シン

「びっくりした!」

「どうした!?」

「大丈夫か!?」






2号機が顔を上げる。

涙でぐしゃぐしゃだ。






2号機

「ふぇぇぇ…」

「離婚しちゃったぁぁぁ…」

「あんなやつ死ねばいいのに…」






聞けば、

まさかの旦那の不倫。


それが原因で離婚。






ミカ

『これは厄介ね』




任せとけ、ミカ。






2号機

「ぐすっ…」

「不倫とかっ、う、ぐす」

「ありえない、ぐすっ」

「人としてどうなのよっ」







いや、お前もな!


いや、俺もな…。








2号機

「いい歳した大人が…」

「不倫なんて、最低よ!」

「子供のこと考えてないの!?」

「私ばかり、いつもっ…いつも!」





お、俺に言われても…。






そして2号機は、

禁断の呪文を口にしてしまう。






2号機

「シン、私と結婚しよ」








さて。



ついにきたか。


この日がくるとは思ってたが…。






ミカ

『どうしようね?』

『コイツ捨てちゃう?』





ああ。


もちろん捨てるよ、ミカ。



こうなったら切るしかない。

これは感染症だ。

放置すれば被害が広がる。


今の状況だと…

2号機、3号機、

同時に切るしかないのか…。





もったいない…


が、仕方ない。






もちろん、

結婚用のテンプレも用意してある。


こんなことあろうかと、

汎用性の高い緊急回避を作ってある。





シン

「ごめん」

「俺……結婚するんだ」







ミカ

『アレ、やるのね』







2号機の顔が止まる。








2号機

「誰と……?」

「意味わかんないんだけど…」









ここで強烈な嘘を置く。


くらえ!

はかいこうせん!






シン

「ま、厳密に言うと結婚というか」

「実家に帰るんだ」

「俺、母さんが好きなんだ」

「女として」






ミカ

『表情見るのを忘れないで』

『油断禁物よ』






沈黙。


呼吸さえ忘れた顔。










シン

「60歳手前で親父が再婚してさ」

「そしたら嫁が30歳で!」

「歳が近い母さんが誕生したんだ」

「惚れちゃってさ、俺」

「だから…」

「実家に帰って口説こうと思う」






完全沈黙。


動揺の気配だけが空気に残る。





もちろん、最初から嘘だ。


親父は再婚なんてしてない。





ミカ

『さすが』

『アンタは天才よ』






そしてさらに、

そこに優しさの形を被せる。








シン

「なぁ2号機」

「何か困ったらいつでも頼ってね」

「失ったんじゃない」

「元の生活に戻るだけだ」

「生きてりゃまた誰かに出会うさ」






2号機の目から

涙が消えて、


完全に

ドン引きの顔になっていた。





完全に感情が無くなっていた。




大成功。






ミカ

『きゃはは!』

『嘘つき!天才!』







2号機

「……うん」

「わかった」

「ありがとう、シン」








そうそう。やめとけ。


再婚した親父の嫁を狙うような…


終わってる俺と結婚なんて、

したくないよなぁ?





ミカ

『大成功!』






最後まで綺麗な別れ。



誰も傷つけない。




ミカ

『いや、傷つけてるけど…』

『でも、いいの!』

『シンは神だから!』






そう。俺が神だ。


バカが、二度と逆らうな。





ミカ

『二度と逆らうな!』






そして俺は微笑んで返した。






シン

「こっちこそ、ありがとう」

「3号機にも、伝えるね」

「俺から説明しておくよ」

「また、どっかでな」






そして2号機は帰った。




ミカ

『シン!』

『これからも一緒だよ!』

『ずっとミカと一緒!』






あぁ、そうだな。






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