貴族
アンジェの父親の身体を確認すると、男性部分の光が強い、これは少し厄介かも、後は腹部だね、その他数か所光は幾分弱いが光っている。
まず、男性部分から始めよう。その後腹部、そして最後数か所の光は、両手で二箇所ずつ同時に直して行こう。それと、背中部分の確認も必要そうだ。
「では始めます。」
今迄の数倍の時間が掛かったが、光が全て消え、やはり背中部分にも一カ所見つけたが、全て治療を完了することが出来た。
「お疲れさまでした。全ての治療が終わりました。おかげんは如何ですか?」
「ありがとう。とても楽になりました。正直諦めていたのですが。本当にありがとう。」
「喜んで頂けて、とても嬉しいです。では奥様の治療に向かわせて頂きます。」
「アンジェに案内させよう。アンジェ、頼んだよ。」
「はい、お父様。」
「「「それでは、失礼します」」」
「みんな、此処がお母様のお部屋」
扉の前でノックし
「お母様、アンジェです。お部屋に入っても宜しいでしょうか。」
「アンジェなの、お入りなさい。」此方の部屋からも優しい声が聞こえて来た。
「失礼します。お母様お加減は如何ですか。」
「相変わらずですよ。其方のお嬢さん方はどなたなの?」
「私のお友達。此方から、リリア、アン、ノア、アマルフィです。」
「そうなの。このような所にごめんなさいね。」
「此方こそ突然のご無礼お許し下さい。」と、先程と同じように挨拶した。
「お母様、このアマルは神父様と、お父様の病気を魔法で治してくれたんです。」
「え…‼ ではお父様のご病気は治ったのですか?」
「恐らく、完治したと思います。」と、私は答えた。
彼女の母親は、私をベッドから手招きし、近づくと手を握りしめて涙を流しながら「ありがとう、ありがとうございます。」と、とても喜んでくれた。
「お母様、アマルの治療はお洋服には触らないけど、御身体の悪い部分の上に手を当てなくてはならないの。お許し頂けますか?」
「私は大丈夫よ、でもアマルはそれでいいの。」
「構いません。では見せて頂きますね。」
控えの侍女が掛け布団を外し身体の光を確認した…!?
光っている部分が見つからない。どう言う事? うつ伏せになって頂いた。後頭部に淡い光を見つけ治療した。光はすぐに消え治療は終わった。
「お疲れさまでした。治療は終了です。お加減は如何ですか?」
「とても気持ちがいいわ、身体も凄く楽になったわ。ありがとう。主人共々助けてくれてありがとうございます。」と、立ち上がり、また涙を流して喜んでくれた。
その後、奥様の治療が終わったと知らせを受けたご主人様は、奥様のお部屋を訪ねて来た。
そしてお二人で、人目も憚らず、抱き合い口づけされた。
「本当に仲のいいご夫婦なのですね。」
「そうなの、こうしていつも見せつけられるのよ。」
「とても良い事ですね。では、私達はそろそろ失礼しないとお邪魔ですね。」
「いや、今夜はみんな泊まって行って貰うよ。命の恩人を、手ぶらで帰す訳には行かないね。」と言いながら、アンジェのお父様とお母様が近づき、みんなにハグしてくれた。
「アンジェ、私達が本当に泊まっていいの? 身分違いで打ち首とかならない?」
「大丈夫、そんなことないわよ。でも本当にありがとう。私達は、アマル達に感謝してもしきれないわ。本当にありがとう。」
「みんな、今夜は私達の全快祝いだ。準備を頼むぞ。」
「「「「はい、早速取り掛かります。」」」」
使用人達がバタバタ準備に取り掛かった。がみんな笑顔だった。
「見てみんな、貴方達がこの屋敷に着いた時と、今の様子どう思う。」
「何か今の方がみんな生き生きしていますね。」
「「みんな笑って嬉しそうにしているね。」」
「そう思うでしょう。」
「「「はい」」」
「お父様が病に倒れ、お母様が次いで倒れ、この屋敷からは笑いどころか、微笑みさえ消えてしまっていたわ。まるで毎日毎日がお通夜の様な重たい空気に包まれていたの。」
「そうだったね、このお屋敷に着いた時、皆さんそんな感じでしたね。」と、リリアが答えた。
「みんなのおかげで、私達が笑いを取り戻す事が出来たの。本当にありがとう。疲れたでしょう。 食事の準備が整うまで少し部屋で休んでいてね。直ぐにみんなを部屋に案内させるわ。少し此処で待っていてね。」
アンジェが離れると、すぐに侍女達が来て、それぞれみんな客間に案内された。
「此方のお部屋をお使い下さい。と奥様より仰せつかっております。お食事の支度が整いましたら、お迎えに参ります。それまでお寛ぎ下さい。本当にありがとうございました。失礼いたします。」と侍女さんは笑顔で扉を閉めて行った。
それぞれの客間に一人残された私達は部屋の中を見て回り確信した。
部屋のバルコニーから見る景色、使われている調度品そのどれを見ても一級品ばかりが並んでいる。
この私達が案内された部屋は、恐らくこの屋敷で一番上等な客間なのだろう。
私達の様な見ず知らずの者にする礼ではない気がする。
「本当に有難いです。神さまやり直しの人生を与えてくれた事に感謝いたします。」
でも少し疲れたので、ベッドで休ませて貰おう。
どれ位寝ていたのだろう、気が付くと、アンジェがベッドの横に座り私の頭を撫でてくれていた。
「起こした。ごめんなさい。ノックしたけど返事が無かったから、入って来ちった。」
「いえ、大丈夫です。みんなこんな立派なお部屋に泊めて頂きありがとうございます。」
「気にしないで、もう少ししたら、お食事の準備が整うから、そろそろ支度しましょうか?」
「支度ですか?」
「じゃぁ始めましょう。みんなお願いね。」
侍女さん三人がお部屋に入って来た。
私はビックリして固まっていると、
侍女さんのリーダー見たいな方が、
「アマルフィ様まずお風呂にお入り頂きます。」と、連れて行かれ、私はまな板の上の鯉と化しており、あれよあれよという間に、何処からどう見ても顔が老けたお嬢様の様になっていた。
「アンジェ、私は貧民街の孤児なんですけど、こんなにされていいの。」と小さな声で聞いて見た。
「大丈夫よ。それにアマルはとてもかわいいから。私も嬉しくなってしまうわ。」
「ありがとう、では今夜はお言葉に甘えさせていただくわ。」
その時ドアをノックする音が聞こえ、アンジェがドアを開けると、侍従さんが立っており、
「お食事の準備が整いました。」と伝えてくれた。侍従さんの後ろを見ると、みんなも同じようにドレスアップされた姿で立って居た。
「ありがとう。ではアマル、お食事に向かいましょう。」とアンジェと五人で、侍従さんの後をついて行った。
侍従さんに案内されたお部屋は食堂の様だけど、二十人位が同時に座れそうな長いテーブルに、皆さんがすでに席に着かれ私達を待ってくれていた、テーブル後方の当主様と向かい合う席に私は案内され、向かって右の列に長男様家族、と次男様夫婦、左の列にアンジェのお母様、独身のお兄様にアンジェ、リリア、アン、ノア、が席に着いた。先程病気を治した、アンジェのお父様が、私達に対し、ご夫婦の病の治療の礼を述べ頭を下げてくれた時、この席にいる方達だけでなくこの部屋に居る使用人のみなさんまでもが一斉に頭を下げてくれた。
こんな時私達はどうしていいか分からず、
「皆さん頭をお上げください。私達は皆さんにこうして頂ける身分ではございません。私達には過分すぎる待遇をして頂いております。此方こそありがとうございます。」と、答えみんなで頭を下げた。
その後、晩餐は進み、終了。部屋に戻り、もう一度お風呂に入り、準備されたパジャマに着替え、寛いでいると、アンジェが部屋を訪ねて来た。




