教会に行きました。
「アマル、教会の隣の孤児院だよ。行かない方がいいんじゃない?」とみんなは心配してくれたが、私のせいで、みんなの住むところを無くしてしまったんだ、何とかしなくては。
「大丈夫よ、何かあったらまた、逃げ出せば済む事でしょう。」と返事しながら、先程の少年に聞いたように進んで行くと、教会が見えて来た。そしてその隣に孤児院らしい建物が見えた。
建物に近づき扉のノッカーを鳴らしたら、若い女性が現れ、私達を部屋の中に招き入れてくれた。
その女性は、私達がこの場所を訪ねた訳を静かに聞いてくれた。
みんな気が付いたら貧民街に捨てられていた事や、先程迄みんなで一緒に暮らして居た家に男達が老婆を捜して押し入って来た事や、知らない男達に捕まりそうになり逃げた事、その時知り合った貧民街で出会った男の子に此方を教えて貰った事をリリアとノアが伝えてくれた。
私達がその女性と話をしている間、五~六人の子供達がこの部屋を覗いていた。
私は、彼女が私達の話しを聞いてくれている間、彼女の胸の辺りが光っている事が気になって仕方なかった。それで、思い切って聞いて見る事にした。
「間違って居たならごめんなさい。何処か悪いところは有りませんか?」
「何故分かったのですか?」
「詳しくは言えないのですが、何となく、です。」
「そうですか、では詳しく聞くのは止めましょう。」
「ありがとうございます。」
「そうですね、貴方の言う通り、胸に違和感を、感じています。」
「では、その部分を服の上から手を当てていいですか?」
「構いませんが、どうするのですか?」私は彼女の前に立ち、彼女の光った胸の部分の服には直接触れないようにして、その光の上に手を当て、魔力を掌に集め暫く光った部分をなぞると、光が消えたので、手を外した。
「どうですか、まだ違和感は有りますか?」
「此れは魔法ですか? こんな治療は、初めて見ました。お陰様で違和感がなくなりました。それに身体がとても軽くなりました。」と、明るく微笑みながら涙を流した。
「そうですか、良かったです。」
それを見ていた孤児達は、なにが起こったか分からないため、突然彼女が泣きだした事に、驚きと心配で右往左往するばかりだった。
暫くして、落着いた彼女は私達に、懇願するように見つめて来た。
「お願いがあります。」
「どうかしたのですか。」
「此方の責任者である神父様と、私の両親の病気を治して頂けないでしょうか?」
「私達は構いませんが、貧民街の孤児です。それでも大丈夫ですか?」
「大丈夫です。今迄お医者さんに治療をして頂いているのですが、一向に治る気配が無いのです。どうかお願いいたします。」
「分りました。どちらに向かいますか?」
「では、一端お風呂に入って下さい。」
「へ…!? お風呂……そうだねずっと入って無かったからね(苦笑)」
「その後神父さんの治療をお願いします。その間に、私の実家に向かう馬車の準備を致します。」
「分りました。」
「さあみんな、あ…⁉ 所で貴方達お名前は? 私はアンジェリカ。アンジェでいいわ。」
「彼女はリリアとアン、彼はノア、そして私はアマルフィです。私もアマルでいいです。」
「分かったわ、ではみんな、アマル達のお風呂の準備をお願い。私は着替えの準備をするから。」
「「「は~い。アマル達こっちよ、みんな来てー。」」」
「「「分かったー。」」」みんなに連れられ、私達はお風呂に向かった。
その後、私達は準備された洋服に着替えると、アンジェに連れられて神父様のお部屋に向かった。
隣の教会の二階にみんなで向かった。
アンジェは私達と、神父様の部屋の扉の前に立つと、部屋の扉をノックした。
「神父様アンジェです。入って宜しいでしょうか。」
「どうぞお入りなさい。」と、部屋の中からとても優しい声が聞こえて来た。
「失礼いたします。今日は神父様にどうしても会って頂きたい少女達が居るのでお連れしました。」
「それは、それは、私に会わせたい方とはどなたですか?」
「神父様それはこの方達です。リリア、アン、ノア、それとアマルフィです。神父様どうかこのアマルに、神父様の御身体の治療をお許しいただきたいのです。」
「私の身体の治療ですか? それは構いませんが、何故でしょう?」
「神父様にも言って居なかったのですが、私は半年程前から、胸に違和感を、感じて居たのです。所が、この子達が此処を訪れた訳を聞いた後、アマルが私の身体に悪い所が有る事を見抜き魔法で治療してくれました。神父様の病も治して頂き、以前の様に過ごして頂けたらと思い、アマルにお願いしたのです。」
「魔法で治療…⁉ そんな事が出来るのですか? これも神のおぼし召しでしょう。それではアマル治療をお願い出来ますか?」
「はい、では拝見させて頂きます。お体の治療させて頂きます事をお許し頂きありがとうございます。では失礼致します。」と言うと、リリア達が神父様の掛け布団を外してくれた。その後、私が神父様の身体を見ると、両脚と胸の部分が光っていた。
まず、胸の部分を両手で治療、次に両脚を片脚づつ両手で治療した。
「どうでしょうか? 治ったと思いますが?」
「ありがとうございます。これも神の御意志だと思い諦めていました。それは思い上がりだったようです。まだ諦めてはいけないとの神の御心なのでしょう。ありがう。本当にありがとう。所でアマル達は此れからどうするのですか?」
「まだ分りません。只本日は今からアンジェのご両親の病気を治療に行って参ります。」
「そうですか。では、行ってらっしゃい。アンジェ、アマル達を頼みましたよ。」
「はい、神父様行って参ります。」
孤児院を出た所に立派な馬車が待っていた。アンジェと私達五人で馬車に乗り込み、馬車が進む街並みを眺めていた、大きな門を抜け暫く進むと、馬車が止まった。
馬車の扉が開くと、使用人が並び私達を出迎えてくれた。
やはりアンジェは貴族の御姫様だったのだ。そんな気がしていたんだよね。
そんな中アンジェに一人の青年が近づいて来た。
「お父様、お母様の今日の容態はどう?」と尋ねていた。
「はい、お二人共いつもとお変わりございません。」と、返事を受けていた。
「分かったわ。ありがとう。」
その後アンジェは此方に振り返り、彼はお父様の執事なの。
「貴方達を驚かせてごめんなさい。改めて私は、アンジェリカ・オステオと申します。あの孤児院には、貴族の娘の義務として勤めているの。でも私は孤児院だからと言って、いい加減な気持ちでは働いてはいないわよ。」
「分って居ます。神父様や子供達の様子を見れば分かります。」
「ありがとう。」
「あそこで貴族の娘だって言ったら、アマル達に断られてしまう。のじゃないかと思って怖かったの。」
「それで何も言わずに連行してきたのね。」
「ごめんなさい。」
「私達の事は大丈夫よ。オステオ様が私達でいいのであれば構わないわ。」
「お父様とお母様はそんな事を気にする人達では無いわよ。」
「分かったわ、それではお部屋に案内してくれる?」
「それでは、此処が父の部屋なの」
アンジェは部屋の前に立つと扉をノックした。
「お父様、アンジェです。入って宜しいでしょうか?」
「アンジェか、入っておいで。」弱々しいが、優しい声だった。
「失礼します。お加減は如何ですか。」
「相変わらずだよ。其方の可愛い方達は誰だい?」
「此方から順番に、リリア、アン、ノア、アマルフィと言うお友達です。」
「「「みんなで、突然お部屋に失礼するご無礼を、お許し下さい。」」」
と、両手でスカートの両端を持ち上げ、ノアは胸に手を当て挨拶した。
「構わないよ。此方こそこんな格好で失礼するよ。」
「実はお父様、アマルは魔法で神父様の病気を治してしまったの。」
「アンジェ…‼ 今何と言ったのだ…⁉ 私の聞き間違いで無いのなら、魔法で神父様の病気を治したと言ったのかい…!?」
彼は、突然の話に目を見開き信じられないとでも言うみたいに驚いた顔をしていた。
「そうなの‼ お父様、神父様の病気が治り動ける様になったの。それで、お父様とお母様の治療もお願いしてみたら、快く引き受けてくれて、今此処に来てくれているの。でも、治療をするのに、お父様のお洋服には触れないけど、御身体の悪い部分の上に手を当てなくてはいけないのだけど宜しいでしょうか?」
「私は構わないが、アマルフィは良いのかい?」
「構いません。では見せて頂いても宜しいでしょうか?」
「ああ、宜しく頼みます。」と、彼が目で傍に立って居る方に合図すると、その方と先程の執事さんが二人で掛け布団を外してくれた。




