銀貨
ボブの家に着くと、パンを六個と、りんごを三個渡し、貧民街で、みんなの治療に付き合ってくれたお礼に銀貨六枚を渡したら、ロロアが
「どうして⁉ 金を持っていないアマル達が何故金を持っているんだ、銀貨六枚は俺の一週間分の収入だぞ、そんな大金どうしたんだ?」
「先程、身なりのいい人の治療をしたら、お礼に、と言って謝礼金、銀貨二十枚を渡してくれたんです。だからそれをみんなで三枚づつ分けたので、これはロロアとボブの報酬です。」と伝えたら、納得して受取ってくれた。
その後家に帰り、みんなで食事をした。
食事を終え、眠って居ると、男達の話し声が聞こえて来た、どうも昼間の一件を見られていたようで、私が貰った謝礼を奪いに来たみたいだ。
奴等は私達の家に突然入り込んで来て、寝ている私の首根子を掴み上げ、顔を見た途端、「こいつじゃねえ、もっと婆だった。ちっ、あいつは何処に行きやがた?」
「お前達此処に、小さな婆が居た筈だ、何処に行ったか知らないか?」
「その壁に空いた穴からさっき出て行った。」と答えると、
婆を探せ。と三人の男が私の家から飛び出して行った。
奴等が出て行った後、みんなで話合い、
「仕方ないこの家は捨てるか。」と家を出た所でまた、別の男達の争う声が聞こえて来た。そこでは、ロロアが、五人の男達を倒していた。
「みんなこの男達に見覚えは無いか? みんなの後を付けて来ていたんだ。」
男達を見たが、知らない奴等だったし、先程私達を、襲った奴等でも無かった。ロロアの話では、ボブの家を出た時にはもう付けられていたようで、ロロアがその事に気づき、彼等の後を付けて来て様子を見ていると、私達を攫う相談をしていたので、捕まえた方がいいだろうと思い、倒したらしい。
「アマル、お前等は、奴等が気絶している今の間に逃げろ。」と言われ、みんなで逃げた。
そのまま裏路地を抜け表通りの近くまで来た時、少年と女の子が話をしながら、女の子は泣きじゃくっていた。それが気になりどうして泣いているか聞いて見ると、少女は泣きながら、
「お母さんは病気で仕事に行けないの。病院に行っても、お金がなくて病気を診て貰えなくて、それで、ベッドで横になって居ると、突然務め先の人が来て、これ以上休むようなら辞めて貰う。と言われてしまったの。」
「そんなに長くお休みしていたの?」
「三日間位。」
「三日休んだ位で簡単に辞めさせてしまうなんて信じられない。」
「アマル、この国の商売人は貧民街の使用人には厳しいものなんだ。」
「そうなの。」
「お母さんが此れからどうやって暮らして行けばいいのか分からない。と泣いているのに、私は何もしてあげられない。」と、また泣き出してしまった。
「そうだったの。それじゃぁ早くお母さんの病気を治さないと大変ね。私達をお母さんの所に案内して。」
「どうするの。」
「多分、少しはお母さんの病気を治す手伝いが出来るかも?」
「分かった、こっちよ。」彼女は急に元気になり家に案内してくれた。
家の中に入り、母親の様子を見ると、身体の悪いところが光って見えた。
「お母さんの身体に手を当てていい?」と女の子に聞いて見ると、うなずいてくれた。
母親の身体の光って見えた部分に手を当て、先程の様に掌に魔力を集め、光った場所に手を当てて見た。すると母親の身体のひかりが消え、彼女は目を覚まし起き上がた。
「コレは身体が軽くなり、痛みも消えている。貴方が治してくれたのですか? ありがとうございます。これでまた、働きに行けます。でも、私達には、貴方にお支払いできるお金が無いのです。」
「支払いは要りません。お母さんが笑って居てくれるだけで充分です。」と伝えると、母親から驚きと「ありがとうございます。此の御恩は忘れません。」と感謝を伝えられた。
女の子はまた泣きじゃくりながら、お母さんの身体に縋り付いていた。
やがて女の子が泣き止むと外に呼び出し、お母さんとご飯を食べてねと銀貨一枚を渡した。女の子はお母さんの病気を治して貰い、お金迄貰っていいのと戸惑っていが、
「ご飯を食べて元気にならないとお母さんは働きには行けないよ。」と言うと、女の子は「ありがとう。ご飯を買って来る。」と嬉しそうに市場の方に向かって走って行た。
少年にも、これでご飯を食べてと銀貨一枚を渡し、女の子を追いかけさせた。
私は少年の事が少し気になり、暫くみんなで、町の様子を眺めながら、待つ事にした。先程の彼等が笑いながら食料を抱えて帰って来た。
女の子が家の中に入り、少年は自分の家に向かって歩き出した。
彼の後ろ姿を見ていると、やはり少し右足を引きずっているのが分かった。正面からは気づかなかったが、女の子を追いかけて行った時、彼の右足の脹脛近くが光っている事に気が付いた。
「足が痛くない?」と聞くと、かれはビックリしたように、
「どうして分かったんだ?」どうやら彼は、此の事を隠していたようだ。
「貴方を後ろから見ていて気が付いたの。お家は何処?」
「直ぐその先を曲がった所。だけど俺の父ちゃんも怪我して寝込んでいるんだ。」
「そうなんだ。なら一緒にお父さんの様子も見せて貰っていいかなぁ。」
「構わないけど、父ちゃん怪我のせいで仕事行けなくて、酒浸りなんだ。」
「そうか、それなら早く直さないとね。」
「ここだよ。」と、家の扉を開けてくれた。
中に入ると彼が言ったように酒浸りになった父親がベッドに横になって寝ていた。
「今の内にさっさと直してしまいましょう。」
「いいのか。」
「大丈夫だよ。お父さんに手を当てていい?」
「ああ、構わないよ。むしろ有難い位だ。」
では早速確認、父親は左足の膝部分と、恐らくお酒の影響だろう、お腹も光っていた。
「足とお腹、同時に治しましょう。」私は両手の掌に、魔力の流れを集中させ、足とお腹を同時に洋服に触れず光った部分に手を当てた。やがて光が収まったので、治療を終了させた。
「成功だ。身体や服に触れなくても光った部分の上から手を当てるだけで治療は出来るんだ。」
父親は眠っていてくれたので集中して治療する事が出来た。
その後男の子の足も父親同様治療した。私達の話し声で父親が起き出し、足が痛くない事に気づき泣き出してしまった。
どうやら足の痛さが我慢できず、お酒を飲んでいたらしい。
「明日から、父ちゃん仕事に行くからな。心配かけてゴメンな。」と少年に謝っていた。
その後家の外まで送ってくれた少年に、
「今日はありがとう。気のせいだろうけど、顔が少し変わった気がする。」
「そうかなぁ、所で何処かみんなで安心して休める場所知らない?」
「この先の教会の横に孤児院があるから、行ってみたらどうかなぁ?」と言われたので行ってみる事にした。
「教えてくれてありがとう。今から行って見るね。」




