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治療

「じゃぁ、アマル、が良いことをすれば、どんどん若返って行くんだ。なら、この貧民街の病人を治して行ったらどうかなぁ。」

「でも、そんなことしたら、アマルが悪い大人達に連れて行かれるんじゃない?」

「大丈夫だって、アマルの顔どんどん変わって行くんだし、リリア、そんなに心配なら、まずこの貧民街で一番強い、ボブの父ちゃんと兄ちゃんから治してアマルを守って貰おうぜ。行こう。」

「そうだね、じゃぁアマル、ボブの家に行こう。」


「ボブ、お父さんと兄ちゃんの具合はどうだい。」と、ノアが聞くと、

「相変わらずさ、寝たり、起きたりだな。」

「分かった、所でお父さんと兄ちゃんは今何している。」

「多分寝ていると思うよ。」

「じゃぁ、ちょっと家の中に入っていい? お父さんと兄ちゃんの病気を見せて欲しんだ。」

「構わないけど、ノア、何をする気なんだ。」

「俺じゃないけど、お父さんと兄ちゃんの病気が治せるかもしれないんだ。だから良いかなぁ?」

「何をするつもりかは知らないけれど、父ちゃんが起きたら機嫌が悪いから気を付けて。所で、このお婆さんは誰、いつもみんなと一緒にいるアマルじゃないんだ。」

「今日は、アマルは眠って居たから置いて来たんだ。」

「そうなんだ。分かった、お父さんは何時ものベッドで寝ているよ。」

 ボブの許しが貰えたので、みんなで家の中に入った。


 私は、ボブのお父さんとお兄さんをジッと見た。

「ボブ、お父さんの右足首と、胸からお腹に手を当てていい?」

「お婆さん、どうしてお父さんの悪い所が分かったの。いいよ。」

「ありがとう。それとお兄さんは右腕と右脚全体だね。少しそこで、見ていてね。」

 私は、先程ノアを治した時と同じように、両掌に魔力を集め右足首と胸からお腹に掛けて手を当てて行った。光が段々消えていくと、ボブのお父さんの顔から険しさがなくなり、穏やかな寝顔と寝息が聞こえた。


「父ちゃんは治ったのか?」

「恐らく、目覚めた時に聞いて見て。治っているはず。」

「次はお兄さんの番。」

 お兄さんも同じように掌に魔力を集め、右腕を治し、右脚全体に手を当てていくと、光が消えてしまった。治療は完了。

「お婆さん、顔が変わったように見えるけど、鏡を見て見るか?」

「鏡あるんですか?」

「ああ、割れて捨ててあったのを拾って来ていたのがある。だから、手を斬らないよう気を付けて触ってくれよ。」

「分りました。お願いします。見せてください。」 

 鏡を渡されそこに写った私の顔は、

「え、老婆の顔から、おばさん位の顔に変わった?」


「「「やったねー。もう少し頑張ろう。さっきの話本当だったんだね。」」」

  余りにも大きな声で騒いだもんだから、ボブのお父さんとお兄さんが起きてしまった。

「此れはいったい、どうしたんだ。痛くない足も胸も身体が軽くなっている。ボブ、 俺が寝ている間に何があった、俺に説明してくれ。」と、ボブのお父さんがボブに聞いた。

「どうしたんだ、全然動かなかった腕や足が動く、どうやったら動くようになったんだ。」

 とお兄さんが嬉しそうに泣いている。

 彼は、今目の前で見たことを説明したが、今一ボブのお父さんやお兄さんには、ピンと来ないようだった。(そりゃそうだよね。)


 それで私から先程、ノアやリリアそれにアンにした話をして聞かせた。静かに私の話を聞いた後、ボブのお父さんは、みんなというより、私に聞かせるように、語り出した。

「大体の話は分かった。まず、魔法はこの世界にある。が、みんながみんな使える訳ではない。選ばれし者のみが使える。貴族とか、上流階級の人達が大多数なのだ。庶民にも使える人は居るだろうが、あまり見たことは無い。まして貧民街の人間が魔法を使えると知られたら大事になる。だから魔法を使う時は気を付けた方が良い。」

「分りました。」

「だけど、我等の様に病院に掛かれない貧しい者には、病気は死を意味するんだ。助けてくれてありがとう。本当にありがとう。それに、アマルが我等の様な貧しい者を救けてくれると有難い。」

「貧民街の皆を助けたいと思っていますが、襲われたりしないでしょうか?」

「それは、大丈夫だろうが、心配なら今日のお礼に俺より強い息子達に用心棒をさせるがどうする?」

「私達は子供ばかりなので、お願い出来れば助かります。」

「引き受けた。只、商人は気を付けた方が良い、それと教会は異端者を嫌う傾向が有るから、気を付けていた方が良いかもしれない。」

「分りました、ありがとうございます。気を付けます。」

「ロロアにボブ頼んだぞ。」

「「分かった。」」

「では、貧民街の病気の人達を治療して行きましょう。」

「「「「おー。」」」」

 ロロアとボブに二日間付き合って貰い貧民街を回ったが、襲って来る者は居なかった。

 そして無事に治療を終了させた。

 そのかいあってみんなが、若いおばさん位になって来たんじゃないと言ってくれた。

 その後、私達はボブ達と別れ、四人でそのまま市場に向った。

 また、私を見てみんな逃げ出すんだろうなと思いつつ歩いていたため、気が付くと貧民街を抜け、大通りに出てしまっていた。



 そこに一人の身なりの良さそうな男性が、壁に寄り掛かるように蹲って居た。

「どうかされましたか?」と声を掛けてみた。

 振り向いた男性はビックリした顔で私を見た。

 おばさん顔の幼い私が声を掛けたので驚いたのだろう。

 だが男性は、「急な差し込みで動けなくなってしまいました。病院に行きたいのですが、痛みで動けずに困って居たのです。」と冷や汗を掻きながら答えてくれた。

 彼を見てみると、お腹の所が少し強く、それとその周辺が少し弱く光って見えた。

 私はこの身なりの良い男性に近づき言葉を掛けた。

「では少し私に見せて貰ってもいいですか?」

「構わないが、どうするんだい。」と、苦しそうにしながら、聞いて来た。

「私では不安でしょうが、少しお腹の上から手を当てさせて頂きますね。」

 彼は小さく頷いた。そして彼のお腹の上に手を当てると、私の身体が熱を帯びたように熱くなり、その熱を掌に集めるようにして、光を帯びた掌を彼のお腹や周辺の光っていた場所全てに当てて行った。


 すると身体から光が消えると段々彼の顔から苦しさが消え、顔色が戻り、おだやかな表情になって行った。やがて眼を開けた彼は立ち上がると、「ありがとうございました。痛みが無くなり助かりました。持ち合わせがこれだけで失礼なのですが」と布袋を渡してくれた。

「ありがとうございます。」と私はありがたく布袋を受け取った。

 その後彼は、「失礼ですが、貴方達は貧民街の方でしょうか? それと貴方は魔法が使えるのですか?」と小さな声で聞いて来た。

「私のような者がお傍に寄り、御身体に触れ申し訳ありません。貴方様が仰る通り、私達は貧民街の孤児です。数日前突然、治癒の魔法が使えるようになった若輩者です。」

「いや、此方こそ助けて貰いながら、失礼な事を聞いて申し訳ありません。大変驚いたので、聞いた迄です。気にさわったなら申し訳ありません。許して下さい。」

「いえ、大丈夫です。此方こそ謝礼を頂きありがとうございました。」

「失礼ですがお名前を聞いてもいいですか? すまない、此方が名乗るのを忘れていました。私はアルノーと申します。」

「アルノー様ご紹介ありがとうございます。此方からリリア、アン、ノアで私はアマルフィです。みんなにアマルと呼ばれています。」

「そうですか、では、またお会い出来れば、これで失礼させて頂きます。」

「はい、ありがとうございました。」


 彼を見送り、布袋の中をみんなで確認すると、銀貨が二十枚入っていた。

 その後私達は食料を買うため市場に向かった。

 まずこの国で、銀貨一枚の価値が分からないので、しっかり者のリリアに聞いて見た。

「銀貨一枚でパンなら十個、りんごが六個~七個が買えるよ。銅貨十枚で銀貨一枚になるんだ。」

 それなら前世の千円位だろうか?

 私は驚かれるだろうと思いながら、市場のおばさんに声を掛けてみたが、思ったような驚きは無かったが、おばちゃん……!? という反応だった。


 まず銀貨二枚でパンを十個と、りんごを七個買ってリリア達と、ボブの家に向かった。家に向かっている途中で窓ガラスに映った自分を見てビックリしてしまった。割れた鏡で顔を見た二日前よりかなり若返っていた。前世で言えば四十歳後半位に見えるだろうか?

 嬉しい…‼ 数日前まで92歳の老婆だったのに、それにあんなに深く付いて居た目や口元の横のシワも浅く少なくなっている。嬉しくて暫くガラスに写った自分を眺め感激していると、みんなが心配そうに私を見ていた。

「アマルちゃん、大丈夫だよ。頑張ってみんなの病気を治して行こうね。」

「「そうだよ、アマルちゃん気をしっかり持って頑張れば、元の顔に戻れるって。」」

「うん、みんなありがとう頑張るよ。」

「それじゃあみんな、行こう。」と、アンに急かされてみんなで歩き出した。

 みんな全て話す事が出来なくてごめんなさい。と心の中で呟いた。

 


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