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アルノー様の婚約

湖畔の別荘から帰って暫くすると、オステオ公爵から、会いたいので都合が聞きたいと伝言が届いた。

改まってどうしたのだろうと思いながら、明日は治療院がお休みなので、午前中でも大丈夫です。と返事をしたのだが……???? 

 返事の通り、翌日の朝オステオ公爵の馬車が、治療院宿舎の前まで迎えに来てくれた。

 御者は変装したドランだった。 何故ドランが変装を???? 今日はオステオ様との約束では????? ま、いっか。

「おはようございます。」

「おはようございます。 アマル様。ではご案内いたします。」

「はい。 お願いします。」

 馬車は走り出し、着いた先は王宮だった。

 何故、王宮????? なのだろう

 今度は執事に変装したドランに付いて歩いていくと、豪華な細工がしてある扉の前に着いた。

 多分、初めて入る部屋だ。と思う。

 ドランがノックすると、扉が中から開けられた。

 扉は中から開き、ドランは横に控え、私はそのまま、部屋の中に招かれた。


 部屋の中には国王様ご夫妻、アルノー様との隣にアルノー様と同年代の知らない女性、オステオ公爵夫妻とアンジェの隣にアンジェと同年代の知らない成年が立って居た。

 これは、どういう事…???

 私の表情を見たオステオ公爵夫人ルマンド様が

「アマル、アルノー様の隣にいる女性は隣国セシール王国第一王女ミラン・セシール様で、アンジェの隣にいる方は、この国の第二王子ラルフ・パルル様です。」と、教えてくれた。

 私は、慌ててスカートの両端を持ち上げ頭を下げると、まずミラン様に次いでラルフ様に挨拶をした。

「初めてお目に掛かれる栄誉を頂けた事を光栄に思います。アマルフィーと申します。」

 ミラン様に挨拶した時、何故か胸の奥がチクリとした。

 どうしたんだろう。私は…!?

 お二人にもそれぞれ、ご挨拶をして頂いた。


 この後国王様は私に、アルノー様とラルフ様、お二人の王子がご婚約された事を教えて下さった。

 そのお相手が、今隣に立っている、ミラン様とアンジェリカだった。

 私は、改めて、アルノー様とミラン様、ラルフ様とアンジェリカを見ながら、

「ご婚約おめでとうございます。」と告げた。

 その後、歓談の席に移り、暫く皆様とお話した後王宮を後にした。

 

「アマル大丈夫ですか?」と変装したドランが心配した顔で聞いて来た。

「大丈夫です。私そんなに疲れた顔をしていますか?」

「いや、それならいいんだ。」

「セシール王国第一王女ミラン様は、二国間の和平を守るために、この国に嫁いでくる姫君なのだ。」

「では、人質のような者ではないですか?」

「そうだな。だが、国や民を守る者にとっては避けては通れない事なのだ。」

「そうなのですね。お気の毒です。でも、そこに愛情が生まれればお幸せになれますね。」

「そう…⁉ だな。」



 変装したドランに治療院に送って貰った後、部屋に入ると侍女さんが、いつもと違う優しい香りの美味しいお茶を入れてくれた。

「ありがとうございます。ルルリ本当に美味しいお茶ですね。やさしい香りでホットします。」

「いつもと違ってお元気が無い様なのですが、大丈夫ですか?」

「心配かけてごめんなさい。今日一日だけでいいので許して下さい。明日からは、また元気に戻りますので心配しないで下さいね。」

「それでは、後でお食事をお届けします。では。」

 その後、食事と別に、数枚のタオルと、お菓子・大きなケーキ(ホールで)・フルーツ類が沢山乗ったワゴンが運ばれてきた。そこには、出来ればお食事は召し上がって下さいね。ダメな時は糖分です。糖分は人を幸せな気分にしてくれます。それでもダメな時は、美味しいお茶を入れますね。何時でも呼んで下さい。と書かれていた。

「ルルリ、本当にありがとう。」


 夜が更けた頃、漸く何か食べたくなった私は、冷めても美味しい食事を済ませ、お風呂に入ってスッキリすると、又お腹が空いて来た。

 ケーキを食べたいが、一人では無理かもしれないが、ワンチャン食べられるかな? イヤ無理だろう。折角なので、みんなを呼ぼう。と、声を掛けてみると、みんなワイワイ集まって来た。アマルだけズルいと言いながら、目はケーキに釘付けになっている。嬉しそうだ。

 遅くに申し訳なかったが、ルルリに来て貰いてみんなにお茶を入れて頂いた。


 その時みんなに、アルノー様が、セシール王国のミラン様とアンジェが第二王子ラルフ様とご婚約された事を伝えた。恐らくまだ公表されていない事だと思うとみんなには口留めをした。

「アマルちゃんは婚約の事を知っていたの?」

「うん、湖畔の別荘で、お誕生会の後に聞いていたの。でも、アンジェの事は知らなかったからビックリしたけどね。」

「(* ̄- ̄)ふ~ん、そうだったんだ。」

「さあ、折角のお茶が冷めないうちに、みんなで美味しく頂きましょう。」と、言いながら

 何時もの様に、みんなでワイワイと話しながらお菓子やケーキにフルーツを全て食べた。

 そしていつもと同じ朝が訪れた。



 何時もと同じような毎日が数日過ぎた時、お二人の王太子様のご婚約が国民に発表され、王都中が祝賀ムード一色となった。

 そして漸く、王都の国民が落着いた頃、お二人の王太子様が婚約者と侍従達十数名を連れ治療院に視察に来た。

 特にアルノー様の婚約者ミラン様やその侍従さん達は、私の治療をご覧になると大変興味を示され、矢継ぎ早に質問をされた。が、他の事にはそれ程の興味を示されなかった。

 しかし、ラルフ様は、治療もだが、治療院の建物や、教育施設に興味を示され出迎えたみんなは、かなり細かく質問を受けたようで、緊張と言葉選びでかなり疲れていた。


 

 その後何時ものように毎日を過ごしていたある朝、私は治療院に向かうために、宿舎を出た時、何故か何時もと違う違和感を感じた。が、回りを見回しても何に対して、違和感を感じているのか分からなかった。

「何かが違うんだけど、何だろう? 分からない。みんなにも聞いて見よう。」

 ミカエルとボロア警備隊長、それとマリアやアンに、宿舎を出た時、何か妙な感じがしなかったか聞いて見た。が、みんな何も感じなかった。何時もと同じだった。との事だった。


 私は、「何もなければいいけど、此れから何か起こる気がする。みんな気を付けて置いて。」と伝えた後、マリアには炊き出しに、それと今私が感じている事をフィーネ、カリーナにも伝えて貰い、作業に細心の注意を払うように言って貰う事にした。

 その後アルノー様と、ドランとシズルに同様の念話を送った。念のため、ギルドマスターにも念話を送ると、突然でビックリしたのか、彼は持っていたお茶を落として慌てている様だった。

「ごめんなさい。」と誤って置いた。


 そうこうしているうちに、治療院の開院時間となって門が明けられた。

 だが、誰一人門を入って来る者はいなかった。

「どうしたんでしょうね、誰も診察に来ませんね?」

「こんな事初めてですね。」と、治療院のみんなと話していると、突然驚いた様子の念話がアルノー様から届いた。

【アマル、治療院が無くなって居る。】

【どういう事でしょうか?】

【消えている、イヤ、霞が掛かって見えない。イヤ、其処に有るのだろうが、見えないんだ、治療院がどういう事になっている? 私からは治療院の確認が出来ない。】

【こちらは、此れと言った変化は有りません。では、アルノー様もし、幻術みたいなもので、治療院を隠されているとしたら、私だけが使える】

【地下道だな。】

【ハイ。今から試して見ます。】

【イヤ、アマルは動かない方が良いだろう。私がギルド側から治療院に行く事が出来るか試して見よう】

【では、お願いします。】

【アマルも気を付けておいてくれ。】

【分かりました。】

【今、ドランを向かわせた。どうやら、私の行動は何者かに、監視されているようだ。】

【分かりました。】

【アマル聞こえるか?】

【ドラン。聞こえます。】

【アマル。今シズルが其方に向った。シズルが付いたら、貧民街の婆さんになってギルドに向かえ。】

【今の姿では来るな。】

【分かりました。】

【後はシズルに従って、隠れて居てくれ。】

【ハイ】貧民街に居た時の服に着替え、この霞に怒りを感じながらお婆さんの姿になった時、シズルから、【今、治療院の出口通路に着きました。】と念話が来た。私は鍵を開け、誰にも何も言わずに、治療院を出た。


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