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黒い靄の老婆

 もう一度あいつに向かって、頭の中で、

【お前は誰の指示で少女を攫った? 早く答えないとお前の命は無い。】

と想像してみた。すると、奴は青い顔で怯えながら周りを見回し、

「助けてくれ、助けてくれ~~。俺は知らない。親父の命令で攫っただけなんだ。たすけてくれ~~。」

と叫びながら、階段を上って行った。

これは…‼ 使えそうだ。まず、ドランの顔を思い浮かべながら、

【ドラン、ドラン聞こえますか。アマルです。】

【アマル、今何処に居るんだ】と、ドランから念話が帰って来た。

【この場所が何処か分かりませんが、王都のクルリ商会主の別邸の地下です。】

【分かりました。すぐに調べます。】

【それと、商会の主はあのお方の駒らしく、あのお方の指示で私を攫い、他国へ連れて行く計画の様です。ただ、あのお方の事までは分かりませんでした。】

【分かりました。その事を含めた調査とこの報告を、今からすぐにでもアルノー様にしておきます。】

【お願いします。】


 そこにクルリ商会の主が現れ、私を見ると、

「婆さんお前は誰だ…⁉ なぜそこにお前が居る。アマル様はどうした、何処に遣ったんだ?」

「アマルかい、あんまり泣くんで、入れ替わってやったんだよ。」

「そうか、こいつは使えるかも知れん。あのお方の元には、此奴を連れて行こう。」

「親父、此奴はバケモノだよ。あのお方の所に連れて行っていいのか?」

「ああ、構わんよ。この老婆を痛めつければ、アマル様も放っては置けないないだろう。そうなれば、自然と二人共手に入るだろう。手当も倍になる。って事だ。」

「そうか、やはり親父は凄いな。」

「お前も、少しは賢くなれ。それと今、あのお方が王宮から戻ったとの知らせが届いた。此の老婆を連れてあのお方の所に向かうとしよう。」

 その後、私は両手を後ろ手で傍られ、そして目隠しされると、口は布を噛まされた後、担がれ、荷馬車の荷台に放り込まれたようだ、その後私の周りを男達が取り囲んだ気配を感じた。準備が済むとすぐに荷馬車は出発した。


【ドラン聞こえますか? 今、私をあのお方の元に連れて行くため、荷馬車で出発しました。】

【聞こえています。シズルが荷馬車の後を付いて行ってます。もう暫くご辛抱をお願いします。】

【はい、私は大丈夫です。】


 今は夜なのか? 通りに人の気配がない。荷馬車は石畳の通りを進んでいるようだ。

 感覚だが、ニ十分位走っただろうか?

 荷馬車が止まり、人の声が聞こえて来た。門番のようだ少し喋った後、又荷馬車が進み始めた。

 暫く進むと馬車が停まり、私は男に又担がれ荷台から降ろされると、そのまま屋敷入口でこの屋敷の男が待って居たようで、その男の案内で暫く屋敷の中を進んで行くと、彼等が立ち止まり、部屋の扉をノックする音が聞こえた。

 中から返事が有ると私を担いだ男は部屋の中に入って行きソファーに座らされた。そして私は、私を縛っていた物から解放された。

 目が慣れて来ると、その場所は先程まで居た場所とさほど変わらない場所で、同じ場所なのでは?と思ってしまった。

「此処は、先程の場所と同じに見えるが、同じ場所に帰って来たのかい?」

「いや、似ているが違う場所の地下牢だ。」と、男達は言うと部屋から出て行き、扉に鍵が掛けられた。


 その後、暫くすると、あのお方なのだろう品の良い服を着た男性とクルリ商会主と王宮で見た侍従さんが現れた。

 私を小窓から見た彼等、特に侍従さんは、

「これは誰ですか、王宮で案内したアマル様はこんな老婆ではありませんでした。可愛い少女でしたよ。それに、こんな黒い靄は出して居ませんでした。」

「では、この老婆は誰なんだ、貴様が連れて来た者ではないのか?」

「信じて下さい…!! エイトラル公爵、私はアマル様を予定通りに呼び出し、眠らせてから、オステオ公爵の馬車で待機していた彼等に引き渡したのです。」

「ならば、クルリ商会の彼等が入れ替わらせたと言う事になるが?」

「いえ、確かに我々の所に来た時は、少女でしたが、暫く目を離した隙に、このような老婆と入れ替わっていたのです。本当です。信じて下さい。」

「ほう…‼ こいつは魔法が使えるのか。魔法で入れ替わったという事なのか、興味深いな。」

「息子の話では、狂暴なバケモノのようだと言っていました。」

「どうなるのか、興味があるな。やって見てくれ。 それに、あのお方ももうすぐ来るはずだ。」

「あのお方とは誰なんだい? やって見ていいのかい?」

「教…!? 婆さんはそんな事は知らなくていい。それより早くやって、見せてくれ。」

「じゃぁ、やって見ようかねぇ。」

「ああ、見せてくれ。」


 彼等をコテンパンに懲らしめるイメージをしてみた。前世のテレビで見た、刑事ドラマで、悪人を素手で、バッタバッタと投げ飛ばして、気絶させて行く場面。

「よし、やって見よう。」

 エイトラル公爵をクルリ商会の主が思いっきり殴った。

「貴様誰に向かって拳を上げた。」

「すいません手が勝手に動いたんです。」


 ところが次は、王宮で会った侍従の男に向かってエイトラル公爵の拳が腹部を殴り、クルリ商会の主の拳が見張りを殴り、侍従の蹴りがエイトラル公爵に向けられた。

 みんな手や足が勝手に動き相手をボコボコにして行く。その内に、

「貴様誰を殴っているのか分かっているのかー?」

「止めろと言っている。ウッ…痛い、貴様―タダで済むと思うな―。」

「「「痛い、痛い、やめてくれ、やめてくれー。痛い、痛い、痛い。だが手や足が勝手に動く」」」

【駄目です。許しません。】

 みんなの悲鳴を上げ、此処から逃げ出そうと、みんな階段に向かったが、四人が同時に階段に向かった為に、身体どうしがぶつかり、勢いが付いていたために、転倒し、みんな頭を強く打ってしまい、気絶してしまった。

 其処に王宮騎士団が踏み込んで来て、みんなを捕らえられた。


 アルノー様が駆け付けて来てくれた。

「アマル、怪我は無かったか?」と、扉の鍵を開けてくれた。

「今、ドランとシズル達が隠れている奴等の捕縛に向かっている。」

「アルノー様、お忙しいのに駆けつけて下さりありがとうございます。所で、エイトラル公爵が、もうすぐあの方が来ると言っていました。」

「分かった、ドラン、シズル門に馬車が近づいて来ないか確認してくれ。」

「仰せのままに、ただ今の所は確認出来ていません。」

「では暫く、このまま待機するぞ。」

「分かりました。兵を隠れさせます。」

「所でアマル。お婆ちゃんの顔になっているのは良いんだが、この黒い靄はどうしたのだ?」

「私にも分からないんです。クルリ商会の主が今回の件に関わっている事が分かった時、無性に怒りが込み上げて来て、止めようの無い怒りが込み上げてきたんです。その時この黒い靄が現れたのです。」


「所でこの黒い靄にはどういう意味があるんだい?」

「そうですね、頭の中でこういう風に悪者を痛めつけたい。と思ったらそう言う風に痛めつける事が出来ましたし、ドランに念話を送って見たら、送れました。」


「その念話に付いては、最初は僕に送ってほしかったな。私も心配していたんだよ。」

「アルノー様…!? すいません。本当に送れるかどうか分からなかったのと、アルノー様に念話は失礼だと思ったのです。 ごめんなさい。次はアルノー様に送りますね。」

「頼んだよ。僕には何時送ってくれても構わないからね。」

「はい、わかりました」

 その後、暫く待機して待って居たが、我等に気づいた後だったのか、あの方は現れなかった。


 この一週間後後無事王宮で、国王様より他の貴族の方々の前で、「金色の風」討伐協力と、被害に遭っていた病の方々への治療のお礼の言葉と謝礼を受け取った。その後、晩餐会を開いて頂き無事式典は終了した。


 式典の後国王様に呼ばれ、先日捕らえたエイトラル公爵やクルリ商会親子他の処罰が決定した報告を受けた。

 まず、何のための誘拐で有ったか?

「セシール王国で貴族相手の治療院をさせようとしていたようだ。それも一回の治療で高額の金貨千枚でさせるつもりでいたらしい。これに、セシール王国の貴族と、教会の上層部が絡んでいたらしい。」

「そんな高額な治療費を誰が払うんですか?」

「アマル、貴族の治療ならば、決して高い金額とは言え無い。まして、当主の命となればなおさらだ。この金額で命が助かるとなれば、ちょっと無理をしても出すだろうな。」

「そうなんですね、」


「エイトラル公爵家については、当主は最下層の奴隷落ち、今回の件と無関係の家族達は、発言権の無い子爵へ降格と王都近郊の領地と財産を没収、王都から辺境の地へ領地替えの処罰。」

「辺境の地ですか?」

「アマル覚えているかい、「金色の風」に騙された者達を治療に向かった時に、最初に着いた村を。」と、アルノー様が聞いて来た。

「はい、覚えています。あまり裕福には見えませんでしたが、お野菜とお魚が美味しかった記憶があります。」

「そう、その村だ。」

「では、食べる物には困りませんね。」

「ああ、やり方次第だがね。それと、クルット商会については、今回の件に加担した者達全員奴隷落ちとなった。誘拐に無関係の家族は庶民落ち。それと全財産没収。商会は屋号を替え他の者が引き継ぐ事となた。」

「そうなんですね。分りました。」


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