奴隷落ち
「それと遅くなったが、アマルに報告をして置こう。」
「第二王太子派閥のバロン・バッシュ卿とその仲間に付いてだが、第二王太子ラルフは国王と第一王太子アルノーの毒殺については一切無関係だった。が、責任を感じたラルフは、王位継承から一歩退く事となった。」
「そうなんですね。」
「バロン・バッシュ公爵が己の保身の為、一部の王宮薬師と「金色の風」を金で買収し、父上と私の毒殺とアマルの誘拐を企てていた事が分かったのだ。」
「何故、私を誘拐しようとしたのでしょうか?」
「私が、アマルと初めて出会った日、不覚にもバロン卿の手の者に後を付けられていたようだ、奴等は私が差し込みで動けなくなって居た時、いっそこのまま私を攫い殺してしまおうと画策していたそうだ。」
「ではそこに、たまたま私が通り掛かたのですね。」
「そうだ、そして有ろう事か魔法で、私の病を治癒させてしまった。其処を見られていたようだ。」
「それで次は私を誘拐することになったのですね。」
「そうだ、アマルの誘拐を企てると、その話を「金色の風」に持ち掛けた。他国で病人の治療をさせ、今迄の数十倍の高額な報酬を、貴族や商人から取れる。そしてその上前を撥ねる計画まで立てたようだ。」
「そうだったんですね。皆さんがいつも私の近くに居てくれたおかげで、私自信に被害は在りませんでした。ありがとうございます。」
「それと処罰だが、バロン卿始め今回の件に関わった者全てが生涯奴隷落ちとなった。が、バロン元公爵は王族殺害未遂の容疑で数年後に断罪するそうだ。」
「数年後の断罪とは、どういう事ですか?」
「ああ、まだ余罪が出てきそうなのと、アマルを狙った事で、父上の怒りに火が付いて、バロン卿が楽に死ぬことは許せないそうだ。苦渋の苦しみを味わった後、断罪と決まったのだ。」
「そう…‼ なんですね(汗)」
「ああ、俺も賛成だ。奴隷落ちする場所も最底辺だ。それと、バロン公爵家の爵位は剥奪、財産と領地は全て没収、事件に関与していない家族も平民落ちとなった。」
「そうなんですね、王家の方々のお命を狙ったのですから。そうなりますね。」
「所で、貧民街でお婆さん達と一緒に捕まった少年はどうなりましたか?」
「あの少年は、「金色の風」とは無関係だった、腹が痛く蹲っていた所を、銅貨二枚で婆さんに雇われ、其処に蹲って居ただけだったそうだ。」
「そうだったんですね。」
「では、彼の病を治してあげないといけませんね。彼の居場所は分りますか?」
「あの時捕まった傍の家だと聞いていたが。」
「ドランが連れて行ったから、分かるはずだ。ドラン聞いてみるかい?」
「はい。」
「ドラン聞いていたかい。」
「はい。ではアルノー様、後でアマルをお連れします。」
「分かった。アマルを頼んだぞ。」
「ではドラン、後でお願いします。」
「だが、アマル油断だけはしないようにしておいてくれ。此れからも、このような輩は現れそうだからな。」
「はい、わかりました。」
「所でアマル、今からの予定はどうなって要るんだい?」
「今から、治療院の様子を見に行こうと思っています。」
「分かった。では送って行こう。」
私はアルノー様の馬車で送って頂き、治療院の様子を見にきていた。
思っていたより工事は順調に運んでいると、セドリックがアルノー様に報告していた。
私は、とんでもない物を見ている、元々かなり広い敷地があったはずなのに、狭く感じるのは何故だろう?
まず建物は全てレンガ造りとなっている。
治療院は地上二階建て。一階の受付室の横に扉が四つ並んでいる。文字が読めない人達のために扉には、模様が付いている。
王冠マークの、貴族が入室する扉のその先に男性、女性の扉があり、扉を開け階段を上がると個室の待合室が五部屋有る。
室内は豪華なラウンジの様になっており、その部屋の奥の扉を開けるとそこが診察室となっている。診察室には豪華な天蓋付きのベッドと人体模型がありそれを使って治療の順番が説明できるようになっている。
内装はさすが、王妃様や公爵夫人のセンスだと感心してしまった。
診察室を出て廊下の角を曲がると階段が有り、降りた所で会計を済ませそのまま馬車に乗って帰れるようになっていた。出口の扉は合計六カ所。つまり入口以外は他の人と顔を合わせずに済むようになっている。
馬車のマーク。商人が入室する扉。こちらも貴族と同じ作りになってはいたが、待合室と診察室は各7部屋あり、内装は貴族のよう作りではないが、それでも、前世の一流ホテルのラウンジやお部屋の作りの様になっている。
パン(女性専用)とミルク(男性専用)のマークは貧民街と庶民が入出する扉で、貧民街と庶民の待合室と治療室。どちらも待合室はフカフカのソファーと椅子が並んでいる。診察室は四つの個室になっており、入口と出口は別で、みんないつ帰ったか分からないようになっていた。
教育施設は地下一階、地上二階となっていた。地下は公衆浴場(男女別)とトイレに倉庫。
一階は食堂と炊き出し施設と食糧庫。二階は教育施設となっていた。
他に同じ作りで同じ規模の建物が三棟、建っていた。
一棟は警備隊と治療院や教育施設の男性専用宿舎。
二棟目は炊き出しの方々の女性専用宿舎。
三棟目が治療院と教育施設担当の此方も女性専用の宿舎。として建っていた。
この三つ建物は地下一階、地上三階建て地下は教育施設同様、その建物使用者限定の大浴場とトイレと物置、一階から三階までが入居者専用個室。それぞれの部屋には、ベッド、椅子とテーブル、洗面所、クローゼット、トイレ付。前世の高級ホテルのシングルルームみたいなものかな?
一階には管理人室が有る。約五十人近くが入居できるようになっていた。
ただ、三棟目は少し中の作りが違っていた。まず外観は他の二棟と同じ作りをしているが、
部屋の作りが前世の1LRみたいな感じ、言ってしまえば、他の二棟と比べると部屋の広さが二倍近くの広さとなった。
私の部屋は何故か七倍位の広さで、三階フロア―の半分が私の部屋で、前世の1LRにドレスルームに、ソファーセットにバス、トイレ付。これ以上部屋を狭くする事に王妃様とオステオ公爵夫人の同意が得られなかったそうで、当初三階のフロア―全てが私の部屋。として設計されていたのを、国王様とアルノー様で漸く納得させ、この広さで落ち着いたそうだ。
他の部屋の内装も設備も他の二棟と比べると豪華になり、前世の一流ホテルスイートルーム?と見間違うような内装と設備だった。
全ての建物には、私だけが使える場所があるそれは、この建物と治療院、それと教育施設この三つの建物の奥に鍵が付いた場所が有る。私だけが肌身離さず持つ鍵。襲撃者が襲って来た時、いち早くこの鍵を使ってこの場所から避難できるようになっているのだ。鍵を開け入って行くと階段と地下通路が有りそれを進むとギルドにたどり着けるようになっている。
この全ての棟の管理や治療院の維持管理はリガード公爵家とバロン公爵家から、国王様が引き抜いた優秀な使用人がやってくれる事になった。
それと、どの施設も、六つ外壁のどの門から入っても治療院の建物を隠さないように工夫して建てられていた。
建物を見終わった後、アルノー様に連れられ、王都の美味しいスイーツをご馳走になっていた。
「どうだいこの店のケーキは?」
「とても美味しいです。でも、アルノー様は召し上がらないのですか?」
「ああ、私は此方が好みなんだ。」と、ティーカップを持って見せてくれた。
「そうなんですね。では私は遠慮なくこちらを頂きます。」と、テーブルに並んだケーキを全て、頂いてしまった。
「アマルはそうしていると、ほんとに六歳の少女に見えるよ。」とアルノー様は可笑しそうに笑っていた。
その後、オステオ様のお屋敷まで送って頂き、以前から話が上がっていた、私が、オステオ公爵夫妻と王宮を訪ねる件の日程の調整が行われ、二日後の午前十時に王宮に向かう事で話が付いたようだ。
翌日、私は、ドランと一緒に、あの時貧民街のマリアの家の傍で蹲っていた少年の元を訪ね、お腹の光った部分を確認した後治療を行った。




