みんな手伝ってくれるかなぁ
教会を出るとそのまま、私達は貧民街のボブの家に向かった。ボブの家に着くとボブと父親が居た。
ロロアは仕事に行って居なかったので、帰る時間を聞き、次は先日お母さんと父親を治した子供の家二軒に向かった。
まず、女の子の家を訪ねると、仕事に行っているはずの、母親がそこには居た。
「こんにちは、私達を覚えていますか?」
「はい、覚えています。あの時は治療ありがとうございました。良く訪ねてくれました。」
「所で失礼ですが、今日はお仕事はどうされたのですか?」
「恥ずかしい話ですが、あの後、仕事をクビになってしまいました。娘が心配するので、毎日半日は市場で日雇いの仕事に行って居ます。」
「そうだったんですね。大変でしょう?」
「はい、でも仕事が無いよりはましです。」と母親は少し微笑んでくれた。
「では、私の手伝いを、お願い出来ないでしょうか?」
「はい…!?」
「お母さんは、読み書きや算術は出来ますか?」
「はい、多少であれば出来ます。今迄は、商店に勤めていたので、注文書やお釣りの計算位なら。」
「それでは、此れから、王都の広場に治療院を作って頂きます。その治療院では、貧民街の方々や庶民の方々の治療を行います。勿論商人や貴族の方々も来られると思いますが、その場所では、読み書きや算術も教えたいと思っています。それと職員や病人は勿論、付き添いの方や勉強をしに来た方達に炊き出しもします。なので、炊き出しの準備と食事の提供です。報酬はお支払いをしますので、お願いできないでしょうか?」
「いつからですか?」
「数日後には、治療院の工事が着工します。工事開始当日から工事関係者方々への炊き出しからスタートしたいと考えていますが、準備はまだ出来ていません。なので、今から人員の確保と、食材の購入契約に市場を訪ねようと思っています。」
「市場に向かわれるのなら、ご一緒しましょうか? それと娘マルに学習の機会を与えたいのですが、お支払いはどれ位に成りますか?」
「将来独り立ちできるようにするための学習施設なので、お支払いの心配はいりません。それと無料でお食事は準備します。その分娘さん マルには勉強を頑張って貰いますが(笑)」
「それは、とても助かります。」
「それと市場に一緒に行って下さるなら、とても助かります。宜しくお願い致します。」
その後、彼女と一緒に市場を回り、野菜、果物、肉や魚の店と契約、調味料は彼女が勤めて居た商店が価格や品揃えが一番との事で、その店の店主と契約する事にした。
市場の店主さん達にも、翌日ギルドに来て貰い契約書を交わす約束をした後、貧民街に戻っていた。
「では明日。そう言えばお名前を聞いていませんでしたが、市場の方がマリアと呼んでいましたが、マリアさんで宜しいでしょうか? 私達はリリア、アン、ノア、アマルです。」
「はい、では、私もマリアと呼んで下さい。」
「では、マリアもギルドで契約して頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」
「分りました。市場の皆さんと同じ時間で宜しいでしょうか?」
「はい。では、ギルドで明日お待ち致します。それとマリアには、学習施設と、炊き出し施設の責任者をお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」
「私で宜しいのでしょうか?」
「はい、先程の価格交渉や市場で見た、貴方に対する彼等の信頼の高さを考えると、適任と考えます。如何でしょうか?責任者手当も付けます。」
「分りました。私でお役に立つ事でしたら、お引き受けいたします。それと炊き出しのお手伝いが出来そうな方数名だったら心当たりが有りますが、声を掛けてもいいでしょうか?」
「はい、助かります。では、報酬は一日銀貨四枚と食事付で二十人から三十人を捜しています。もし人員が足りない時は、その都度考えたいと思っています。」
「承知しました。その方達もギルドに行った方がいいでしょうか?」
「いえ、マリアさんだけで大丈夫です。それと他に炊き出しを引き受けて貰える方が居たら、一度マリアを訪ねて頂いた方がいいと思いますが、如何でしょうか?」
「そうですね一度お会いしといた方がやり易いかもしれません。では、宜しくお願い致します。もし人数が予定より増えた場合はどうしますか?」
「多くても大丈夫です。炊き出しは一日四食、朝、昼、夜と警備の方の夜食を考えています。人が多くても、交代で頑張って頂きます。炊き出し人員の采配までお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」
「分りました。」
「では、また明日お待ち致します。」と。言って、彼女と別れた。
その後、少年の家を四人で目指して歩いていると、道の脇で蹲った少年の前にお婆ちゃんが立って居る。少年が蹲っているせいか、光は薄らとしか見えない。少年の様子が見たい。話しかけて見よう。
「どうされましたか?ご気分が悪いのですか?」
「はい、この子が急にお腹が痛いと言いがしまして、困っていたのです。」
「それは、お困りでしょう、少し私がお子様のお腹を見せて貰ってもいいですか?」
「はい、構いません。どうぞお願いします。」と、そのお婆さんが、蹲っていた少年から後ろに離れたので、変わりに私達が少年の前に進み、少年の様子を見ようと、前かがみになった時、何処に居たのか、大人の男性達五~六人に取り囲まれてしまった。
彼等は私達を捕まえようと両手を伸ばしてきた。私達は、彼等に気づき慌てて逃げようとしたが、私とアンは捕まってしまった。
「婆さん、あのお方の所に此奴を連れて行けば、たんまり分け前が貰えるのだよな?」
「ああ、周りの奴等が気付かないうちに、さっさと口を塞ぎ、連れて行くんだよ。」
男の一人が私の口に布を巻き付け声が上げられないようにすると、別の男一人が私を抱きかかえ用とした時、平民の格好をした、ドランとシズル他数人の護衛が突然現れ、彼等を倒し、私とアンを助けてくれた。その後、彼等は護衛の方々に何処かに連れて行かれた。
護衛に連れて行かれる時お婆さんは、一緒に捕まった男達に向かって、「何だよ、まったく口ほどにも無い、こんなガキ一人捕まえられないとは、酒や飯だけはガツガツ食いやがって。それよりお前等は私を何処に連れて行く気だい、放せ、放せって言って居るんだよ。さっさと放さないと、あの方が黙って居ないよ。」とお婆さんの割にはかなり元気にまくし立てていたが、護衛の方達には手も足も出なかった。
「彼等は何処に連れて行かれたのですか?」と、残ったドランとシズルに聞いて見た。
「衛兵の兵舎に連行しました。今から色々聞かせて貰うためですよ。」と、言ってドランは少し笑った。その笑みは少し怖いのですけど……(汗)
そして、いつの間にか二人は消えた。
私達は、気を取り直し、少年の家を訪ねると、お父さんが出迎えてくれた。
「お父さん、お仕事はどうしたのですか?」
「さっき帰って来た所なんだ。」
「では、夜、働いているんですか?」
「いや、皆がまだ寝ている早朝から、市場で荷運びの仕事をしているんだ。」
「そうなんですね。お体は大丈夫ですか?」
「ああ、あの時病気を治して貰ったから、身体は大丈夫だ。だが、子供とはすれ違いの生活さ。」
「今、あの子は?」
「ルカかい?ルカも市場の荷運びの仕事に行っている。だが、俺もルカも文字が読めないから、力仕事しか出来ないんだ。二人で働いても大した稼ぎにはならないが、でもここじゃあ仕事があるだけまだましさ。」と、父親は呟いた。
「お父さんは、悪者を捕まえたりするんですか?」
「ああするよ。市場の荷運びと言っても、店の警備も兼ねているからね。」
「ルカも悪者を捕まえたりするんですか? お父さんお名前は?」
「ああそうだな、それにあいつも強いよ。俺かい、俺は、バルと言うんだ。」
「では改めて、バルさんルカと一緒に私を手伝って貰えませんか?」
「手伝うって、何をするつもりなんだ?」
「数日後から工事が始まりますが、王都の広場に治療院を作る予定なのです。」
「王都の広場だって? あの場所に俺達の様な者は入れないはずじゃないのか?」
「でも、国王様から、許可を頂いたんです。」
「そんな事があるんだな。」




