国王様の寝室
「では、私は先に王宮に戻り、父上の部屋で待っている。アマル王宮でまた会おう。」
「オステオ卿、突然こんな事に成り申し訳ない。近日中にもう一度参る故本日は許して欲しい。それと、貴殿と奥方も一緒に父上に会っては貰えぬか? 父上が貴殿と奥方の心配をしていたようなのだ。どうだろう?」
「ご一緒させて頂ければ、この上無い名誉。妻共々ご一緒させて頂きます。」
「ではドラン、我々は先に王宮に戻っている。アマルの事を頼んだ。それとシズルを一緒に連れて行け、途中何が有るか分からないからな。」
「承知いたしました。」
アルノー様はまた天井に向かって、
「シズル頼んだよ。」と言うと、天井からノックするような音が聞こえた。
その後、王太子様とアンジェのお父様達夫婦は王宮に向かった。
その様子を皆で見送った後、ドラン様が私に向かって、
「では、アマル様我々も向かいましょう。」とドラン様の馬に一緒に乗せてくれた。
私達の後を、シズル様なのでしょう。女性が乗った馬が少し離れて付いて来ていた。
目的地に着いたのだろう私達が馬から降り、彼等が馬のお尻を叩くと、何処かに向かい走って行ってしまった。その後、「後ろから、申し訳ございません。」と、シズル様に目隠しされた後、手を引かれ暫く進むと、そこで目隠しが外された。
そこは洞窟の内部だった。そのままドラン様の後ろ進んで行くと、ドラン様とシズル様が警戒を始めた、視線の先に誰かいるよだ、シズル様がドラン様に目で合図を送り何処かに消えた。
ドラン様は何事も無かった様に、私の前を先に進み、所々有る分かれ道を、迷いなく進んで行く。私は必死に彼の後を追いかけた。そして暫く進むと、また、階段や分かれ道が有り、階段を登り、進み階段を登りそれを数回繰り返すと石の扉の前に出た。
その後、ドラン様は扉の様子を窺っている様に見えたが、その後ガタと言う音と共に その石の扉が動き、眩しい光が洞窟内に差し込んで来た。
暫くして光に目が慣れて来ると、部屋の内部が確認できた。そこには、大きな天蓋付きのベッドが有り、その周りに先程まで一緒に居た、王太子様とアンジェのお父様達夫婦が揃っていた。そして、王妃様なのでしょう、素晴らしいドレスを着た女性に執事さんと侍女さんらしき方が控えていました。
私が呆然と立ち尽くして居ると、侍女さんに手を差し出され部屋に招き入れられた。
「アマルわざわざ済まない。これが、今父上が処方されている薬だ。先程薬師が持って来た物を受け取って置いた。確認出来るかい?」と、アルノー様が薬包を差し出して来た。
「はい。直ぐに確認いたします。」と、先程と同じやり方で確認した所、アルノー様のお薬と同じ量の薬物が確認でき、その事をアルノー様に伝えた。
するとアルノー様が首を傾けた。
「私と同じ量なのに、父上の容態が何故これ程悪くなったのだろうか?」と呟いた。
「恐らくは、年齢の違いに伴う本来身体が持つ抵抗力の違いと、王太子殿下は王都で私と出会い、身体から薬物を一度全て排除している事が要因になっていると思われます。」
「そうか、あの時アマルと出会っていなかったら、私も今の父上と同じようになっていたという事なのか。恐ろしいことだ。では父上の治療を頼みたい。お願い出来るだろうか?」
「はい、ただ、王妃様の了解を頂いてからで宜しいでしょうか?」
「ああ、構わない。」
私は王妃様の元に向かい、
「お目に掛かれる名誉を頂き光栄の至りでございます。お目汚し致します無礼をお許しくださいませ。 私は貧民街の孤児アマルフィでございます。国王様の御身体を治療させて頂く無礼を、お許し頂けますでしょうか?」と跪き挨拶した。
「話は全て、息子やオステオ卿夫婦より聞いています。安心してアマルフィに夫の治療をお願いしたいと思います。どうか貴方のやり方で夫を救って下さい。お願いいたします。」と、王妃様に頭を下げて頂いた。
「頭をお上げ下さい。私の様な者に恐れ多い事です。お許し頂きありがとうございます。では始めさせて頂きます。」
王妃様が合図を送ると、執事さんと侍女さんが国王様のベッドに近寄り掛けていたお布団を外してくれた。
国王様の身体を見ていくと、身体中に薬物が回っている事が分かった。中でも心臓付近の光がかなり強い、本当に危ない状態の様だ。
「では、時間が有りません。申し訳ありませんが、このまま治療を開始させて頂きます。国王様の薬物は全身に回っていますので、危ない部分から治療を始めます。」
何時もの様に掌に魔力を込め、治療を開始まず心臓、続いて肺、お腹部分、頭と両脚、両手と治療を続け、皆さんに手伝って頂き、身体の向きを変えて背中部分と後頭部の治療を行い、光が全て消えた所で治療を終了した。
「恐らくこれで大丈夫だと思います。もう少ししたら、お目覚めになられると思いますので、その時もう一度見せて頂ければと思います。」
「分りました、では、隣の私の部屋で休んでください。」と王妃様に言われたが、アルノー様が機転を利かせ、
「母上こそずっとお休みになっておられないのでしょうお部屋でお休みください。」
「アマル申し訳ないけど、母上の容態も見て貰えないだろうか?」
「私は構いません。王妃様にも疲労が少し溜まっているようですね、内臓が少し弱っている様です。お部屋で横になって貰えないでしょうか? 治療をさせて頂きす。」
「私まで宜しいのですか?」
「はい、国王様と一緒にお元気になられるのが宜しいかと思います。」
「分りました。宜しくお願い致します。では、一緒に来て頂戴。アルノーにオステオ卿夫妻、夫の事を宜しくお願いします。」と言うと、王妃様はご自分のお部屋に入って行った。
治療が完了する頃には安心したのか、王妃様の寝息が聞こえていた。侍女さんに王妃様の事をお願いし隣の国王様のお部屋に戻ると、アルノー様がドラン様に、「裏道から私の部屋にアマルを案内してくれ、執事には伝えているから連れて行けば分かる。」と言った。
「アマル、お疲れ様、私の部屋で、父上と母上が目覚めるまで休んでくれ。」と、優しく言ってくれた。
「では、お言葉に甘えて、休ませて頂きます。」と、ドラン様の案内でアルノー様のお部屋に向かった。
お部屋に着くと執事さんが温かいお茶と甘いお菓子でゆっくりした気分にさせてくれ、ふかふかのベッドで休ませてくれた。
どれ位休んだのだろう? 目が覚めると、外が暗く夜になっていた。
「お目覚めですか? ゆっくり休まれましたか?」
「はい、とても幸せな気分です。」
「それはよかった。先程国王様がお目覚めになられた。と使いが来ておりました。アマル様には慌てなくて良いので、夕食を済ませてから国王様のお部屋に来てください。」と申しつけられています。お食事はどうされますか、運んで宜しいでしょうか?
「はい、お願いいたします。」
「では、直ぐに、ご準備致します。」と執事さんが両手を叩くと、侍女さんが隣の部屋から豪華な食事を運んで、目の前に並べてくれた。スープも温かいし、料理も冷めていない? どうしてだろう私が目覚めるタイミングが分って居たのかな? 凄く美味しい。
私が食べながら、不思議に思っている事が分かったのか、執事さんが隣の部屋は簡易ですが、遅くまで執務されるアルノー様の為の調理場になっているのです。
火魔法が使える侍女が、アマル様が目覚めた時に料理を始め、スープを温めたりしていたんです。と教えてくれた。
「皆さま、私の為にお気遣い頂きありがとうございます。全て美味しく頂く事が出来ました。」とお礼を伝えた。本当に有難い。ゆっくり食事を終え、お茶を飲み終えた時にドラン様が、「アマル様、お迎えに参りました。」と、また凄いタイミングで現れた。
「はい、ドラン様宜しくお願い致します。出来ればアマルと呼んで下さい。それでは皆さま、大変お世話になりました。」と皆さんにお礼を伝え部屋を後にした。
「国王様や他の皆様も今お食事を終えた所です。それと私やシズルの事は呼び捨てで構いません。」と、ドランが伝えてくれた。
「ありがとうございます。それと皆様をお待たせして申し訳ないと思っていたので、本当に良かったです。」
そう話しながら歩いていたら、先程と同じ扉の前に立って居た。
先程と同じように、ドランが何かを調べる様にしていると、ガタッと言う音がして扉が開いた。そして中から、今度は、アルノー様が現れ国王様のお部屋に招き入れてくれた。




